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おじいちゃんが思ったよりも天然でした

2020,9,5 改稿済

次話であったものとまとめています。(そちらは削除済)



「なんじゃ? お腹でもすいたのか? ほれ、ミルクじゃよ~ 」


 赤ちゃんプレイ絶対反対の叫びを催促だと思ったのか、おじいちゃんが器を差し出してきた。ちょっと待っておじいちゃん。赤ちゃんの筋力じゃ器は受け取れないし、そもそもどう飲めっていうのさ。


 猫じゃないんだよ?顔寄せて舐めたって飲めないんだって。


「…旦那様、スプーンを使ってください 」


 いつの間にかメイドなお姉さんは部屋を出ていて、おじいちゃんの後ろに男の人が立っていた。


 オールバックに片眼鏡を掛けていて、The執事な雰囲気。服は……あんまり見ていると、全盛の制服萌えっていう不治の病が再発しそうだからやめておこう。その服だいすき。

 それに彼の名前は、セバスチャンかな、セバスチャンだよね。これはセバスチャン。

 おじいちゃんとも付き合いは長いようで、信頼を感じる。年もそう変わらなさそうだ。

 

「おお、そうじゃった。ほれ 」


 おじいちゃんがお盆からスプーンを取ってミルクをすくい、私に飲ませてくれた。

 ちょっとぬるめで、あっさりしたジャージー牛乳みたいな感じ。

 美味しい。

 そういえば、哺乳瓶じゃないのね。

 手元になかったのかな?


 まあ哺乳瓶の飲み口の所ってシリコンとかゴムだったから、近世ヨーロッパっぽいこの世界だと同じのは存在しないか。


 なんで近世ヨーロッパっぽいって分かったかって?

 部屋の装飾が派手すぎず、品よく整ったロココ調みたいだったからだよ。

 机とか椅子が猫足だったり、蔦の装飾が付いていたりしてるからね。

 装飾の研究をしていた血もうずくけど、これはもっと成長してからじゃないとケガしそうだからやめておこう。



 おじいちゃんにミルク飲ませて貰ってたら気付いたんだけど、私の今世のお母さんってどこにいるのかな?

 全然覚えてないんだよね。


 転生したって気づいた後に見た女の人って、さっきのメイドなお姉さんだけだし。

 覚えていないだけだと良いなあ。例えば、おじいちゃんの娘さんか誰かがお母さんで、一時的に預かっているとか。

 それで、私はお母さんのことをすっかり忘れてるんだ。

 きっとそうだよね。ただ、それにしては、おじいちゃんが育児に慣れてなさそうなの疑問だけど……


 やめた、やめた。

 転生したんだし、もっとポジティブに行こう!多分、お母さんはいるよ、多分。


 ……母親一人いないくらいどうってことないさぁ!



 いや、ほら。 神(笑)が信頼できる人間に預けるって言ってたし、それ多分おじいちゃんだし。

 何とかなるって。ねえ。


 おじいちゃんだけじゃ心配?セバスチャンもいるし、この家で暮らすことになるなら大丈夫じゃないかな。


 まあいいや。

 おじいちゃんにしっかりミルクを飲ませてもらっておなか一杯になったし、ちょっと本能に従って寝よう。問題解決は成長してからいいや。




目が覚めたのは良いんだ。

 お腹もいっぱいだし、体の調子は最高。

 だだしかし、一つ問題がある。

 なんだかお尻の辺りがむずむずするんだよ。ぬちゃっていうかべちゃっていうか。


 すごく気持ちが悪い。

 うーん、部屋を見まわしてもおじいちゃんはいないし、セバスチャンもメイドさんも見当たらない。困った。



 おじいちゃーん、セバスチャーン、メイドさーん


 呼んでみたものの、重大な欠陥に気が付いた。

 叫んでもおぎゃーって泣き声にしかならならない。


 ああ、でも泣いてればそのうち誰か来てくれるかな。できれば、おじいちゃん以外の慣れてそうな人がいい。



暫く泣いていると部屋の扉が開いた。


「よちよち。どうしたのかのう 」


 声を掛けつつ近寄って来たのはもふもふのお鬚。


 おじいちゃんか…ちょっと心配だなあ。



 お尻の辺りが気持ち悪いんだよ~。とってー!


 もちろん口から出るのは泣き声だけれど、何をしてほしいのか気付いてくれると良いなあ……


「一人で寂しかったから泣いてるのかのう? ほれ、じじいがおるぞ~。 」


 私に顔を近づけて、ひらひらと手を振ってくれた。こう、いないいないばあ!って感じで。


 チガウ。ソウイウコトジャナイ。



「ん? 違うのか? たかいたかーい 」


 おじいちゃんはひょいっと私を抱き上げて、あやし始めた。そういう事じゃないってのはわかってくれたみたいだけど、私は一人寂しいってわけでも、あやしてほしいわけでもない。


 この不快感をどうにかしてほしいんだってばー!!


「なんじゃ? どうして泣き止まないんじゃ? たかいたかいじゃだめなのか?

 ……ぴょんぴょんするぞ~。ほれ、ほーれ。ぴょんぴょん。じじいとぴょんぴょん 」


 ちがうってばー!!

 そういう事じゃないってばー!!


 ぴょんぴょんされるとずれてさらに気持ち悪くなる。


 やーめーてー!! 飛び跳ねないでー!!




 おじいちゃんとわちゃわちゃしていると、扉が開く音がした。物音に気が付いて誰か来てくれたようだ。


 おじいちゃんの肩越しに振り向いてみると、セバスチャンだ。

 流石セバスチャンクオリティ。

 なんて素晴らしいタイミング。



「旦那様、貴方は子育てに不慣れなんですから、その子が泣いたら私をすぐに呼んで下さいって言いましたよね? 」


 おじいちゃんの様子を見て、セバスチャンがため息をついた。天然な雇い主だとしょうがないか。でも、これができる関係性っていいね。なんて思ったり思わなかったりする。


「すまんのう。わし一人で出来ると思ったんじゃが 」


 セバスチャンの叱責におじいちゃんがしゅんとした。


 おじいちゃん、キャラ作ってるんじゃないかってくらい可愛いな。

 どこの乙女ゲームの主人公ですかってくらい。


 まあ、おじいちゃんが主人公とか恋愛系じゃ需要がなさそうだけど。

 おばあちゃんならともかくさ、70代位のおじいちゃんだよ?


 『どきどき!!禁断の老いらくの恋』的な?


 駄目だ、面白すぎる。コメディだね。

 そんなことを考えていると、体が宙に浮いた。


「無理に決まってるじゃないですか。何のために私が雇われたと思ってるんです? 」


 セバスチャンが私を抱き上げたようだ。

 ぐふぉ。


セバスチャンすごくいい匂いがする。

 おじいちゃんが臭かったってわけじゃないんだよ。

 石鹸っぽい良い匂いがするんだけどさ。


 イケオジにはぴったりって感じの沈香みたいな匂いには負けるよね。



「さっきの泣き方からすると…ああ、よかった。ありました 」


 私を抱えたままベッドの脇に屈みこんだタ○ナカさんが一枚の布を取り出した。

 彼の足元には茶色の藤の籠があって、中には何枚か柔らかそうな布が入っている。

 お母さんが私を連れてくるときにでも使ったのかな。 

 ?? なんだかセバスチャンが持ってる布の形状に見覚えがある。


 あ!


 これ、あれだ。

 私の叔母さんが「これ便利な上にエコで凄く良いのよね~ 」って言ってたやつだ。

 何か分かったかな?


 布おむつだよ!




 はい、恐れていた羞恥プレイのお時間でございます。


 気持ち悪いのもうそのままでいいから、おむつ変えないでー!!


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