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転生出来ました

2020,9,4改稿済

「おお、目が覚めたのか。よちよち、良い子じゃのう。」


 はっと気づいたら、真っ白なもふもふお髭のおじいちゃんが私の様子をうかがっていた。

お髭は某魔法学校の校長先生程長くはないけれど、その見た目は今すぐにでも触らせてもらいたい位。目元には笑い皺があって結構良い人そうだ。


 どこか凛々しいというか、貫禄があって、若い頃は結構高い地位にいたんじゃないかって雰囲気がする。きっとこの人が神(笑)の言っていた信頼できる人間なのだろう。

あの人…じゃない、あの神に信頼されるってことは神官でもやってたのかな?


 神官だとしたら愛し子のことをよく知っているだろうから、丁度良かった。愛し子の地位とか色々聞いておきたいことがあるからね。


 ただ、なんだかおじいちゃんが大きい気がするんだよ。ヨーロッパ系っぽい顔立ちだし、民族的なものかな?ノックの後にカチャッと扉が開いて、メイドさんっぽいお姉さんが入って来た。


 おじいちゃんのサイズの問題よりもお姉さんの服の方が問題だよ。


 白い器を乗せたお盆を持った彼女の服装は、ああ、素晴らしい。ヨーロッパ系の顔だから、平たい顔族な元日本人には美人さんに見えるし、実際そうだと思う。栗色の髪はまとめてあって、仕事ができそうに見える。そんなかっこいいおねえさんが、ほとんど黒に近い濃い緑の裾の長いドレスに、フリルが少しついた白いエプロンを付けていて、非常にかっこかわいさにあふれていて尊い。


 着物にふりふりエプロンも捨てがたいけど、ヨーロッパ系の顔立ちならやっぱりドレスだよね。

 お姉さんのドレスは、使用人階級のだからそんな豪華なものじゃないけど、メイドさんなんだもの、むしろ、エプロンの下はそんなに装飾がない方が良い。


「お持ちいたしました、旦那様 」


 メイドさんはおじいちゃんに声をかけて、器をおじいちゃんの脇のテーブルに置いていった。

 ちらっと見えた色から察するに、彼女の持ってきたお盆の上の木のボウルのような器の中身はどうやらミルクのようだ。

おじいちゃんは彼女に礼を言って、いそいそと何かの準備を始めた。


 ってあれ? 


 おじいちゃんが飲むならコップでだよね。何で器?

 そもそも、私ちゃんと転生出来たみたいなんだけど、どういう状態なんだろう。何かもふもふでふわふわの物に包まれて寝かされているみたいなんだけど。それに、さっきのおじいちゃんの言葉、私を完全にちっちゃい子扱いしてたよね。


 今、私いくつくらいなのかな?


 小説だと、物心ついてから何かの拍子に思い出すってことが多いよね。

 私、転生してからの記憶全くないんだけど。

 生まれてすぐに転生者だって気付いた時って、赤ちゃんとして成長していくわけだから、自我があると、おむつ変える時とか羞恥プレイ食らうよね。

 それはいやだなぁ、と思いつつも、何となく嫌な予感がして、手を持ち上げてみた。


 人の年齢って手に現れると思うんだ。肌のきめとか大きさとかにね。

 だから、こいつ何歳だ? って思ったおばさんがいれば手を見ればいいんだよ。

 後、首っておばあちゃんが言ってた。


 そうして視界に入ったのは、紅葉みたいにちっちゃなおててに、おもちゃみたいな爪。

おっと。これ私の手じゃなかったか。

おかしいな、私の手はどこ行った?

自分の手を左右に振ってみた。

 目の前の紅葉も動く。

 手を握ってみた。

 紅葉も握った。


あー、これは……つまりそういうことか。

 私はまだ、赤ちゃんだったようです。


 だったようです、じゃない。だったようです、じゃ。


 前途全難。行き先不安。ふざけた神は、あとで〆る。


 赤ちゃんプレイはいやだ―って叫んだ声も、オギャーっていう泣き声に変わってしまったのだった。


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