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来世はもふもふに囲まれたい

どうもこんにちは。暫く温めていたものを連載にしてみました。楽しんでいただけると幸いです。


(2020,8,27  現在改稿作業中です。)

 

なんだか大きな衝突音がして、視界が暗転した。


多分これが最期だった。




 次に目が覚めた所は、いや、これは目が覚めたって言えるのか? 目が開いているのかも分からないような暗闇だった。端も見えるはずはなく、どことなく不安であったが、膝を抱えて猫のように丸くなっていると、ざわつく心が少しは静かになるような気がした。




 なんとなく瞼の外が明るい気がして、私はいつの間にか下りていた瞼を開けた。


 そこにあったのは真っ白な天井。私の部屋の天井なら、愛しい推しのポスターがあるはず。


 ない。


 病院? にしては仕切りのカーテンが見当たらない。




 体を起こして辺りを見渡すと、そこはプラットホームのような、しかし何もない白い空間であった。


あれ? 私死んだんだっけ? 


 車だか何かとごっつんこした記憶がある。あれじゃ……ね。まあ、苦しんだ記憶はないからいいんだけどさ。家族とか親友に何も言えなかったってのはつらいけど、もうどうしようもない。




 さて、現状把握に努めよう。まずは、服装。


 薄手の白いワンピースを着ているみたいだけど、手足の輪郭があいまいな気がする。……白装束じゃないんだね。着物着るのは好きだったから、白装束かもな、なんて思っていたけど、まあ、今の世で白装束ってのもね…… 葬儀業界の身内いわく、故人の好きだった服を着せるらしっ……




 ……私は何を着せてもらったんだろうな。




 やめよう。こんな暗い思考。今自我があるってことは、転生なのかトリップなのかわかんないけど、少なくともこれから未来があるってことだ。




 


 私は、後ろ向きな思考を追い出すように頭を振って、とりあえず立ち上がろうと床に手をつく。その瞬間、数歩先に旧式の固定電話が置いてあることに気が付いた。




 ダイヤル式だってと言えばわかるだろうか。黒電話、とかいうやつ。


 祖母の田舎の家に古いのがあったから、使い方は知っているけど、なんだか目新しいような、懐かしいような…




 しかし、どうしてこんなところに? 今や固定電話すらない家もあるのに。スマホ1台でなんだってできる時代だよ?? 




 だれがこんなところに黒電話なんてレトロなもの置いたんだろうか。




 首を傾げていると電話が鳴った。




 公衆電話なら、鳴った時は近くにいる人が取るものだ、とかいう話を聞いたことがある。


 これを公衆電話って言ってもいいのかは分からないが、公衆の場所(多分)に存在する電話なのだから、定義としてはきっと公衆電話。




……とはいえ、実際体験した知り合いはいないし、映画とか小説の中だけの話かもしれないが。




正直こんな怪しい電話取りたくない。 どうせ、かかってくる電話はろくなもんじゃない。




……周りにはだれもいない、が、目の前の電話は鳴りやまない。取るっきゃないってことか。




 周囲を見渡し絶望した私は、恐る恐る受話器に手を伸ばした。




『はぁ~い! 初めましテ♪ ワタシ、エミアっていうの。生と死を司る神をし… 』




 ガチャン、と大きな音を立てて受話器を元に戻した。


 やっぱり碌なもんじゃなかった。




 生と死を司る神、って何。




 高校生になっても、厨二病から抜けきらなかった弟だって、もっとまともな設定を思いつく。


 誰がその先の話を聞くかって言うんだ。片目だか片腕だかがうずく患者の相手は弟だけで十分。……は?日本刀使う剣舞の地区大会に出てただろお前、って何さ。わっわたしは厨二病じゃないもん!! 日本人たるもの1度くらい刀振ってみたいよね、とか思ってサークルの練習体験しに行ったら、気が付いたらドハマりしてただけだもん!!




 そんなことを考えていたら、また電話が鳴った。




 前回よりも大きな音で鳴っているし、心なしか電話が音に合わせてぴょんつく飛び跳ねているように見える。


 死後の世界では電話も飛び跳ねるんだ、なんて感心しつつ心の中で30数えてみた。鳴りやまない。 




 電話を取れ、という事らしい。




 私は、諦めてもう一度受話器に手を伸ばした。




『んもう。途中で切らないで頂戴な』




 相手は先程の病人さんである。




「なんの病気にかかっていらっしゃるんですか?」


『病人じゃないわよ。……まあでも、今のワタシを指す表現があるとしたら病人かしら。こっちだって色々事情があるのよ。』




 どことなく不満げな声で神(笑)が答えた。まあ、確かにそうだ。


 (笑)っていうのは私の無意識の抵抗。ここで説明してる時点で無意識じゃないだろ、なんて突っ込みを入れてはいけない。これは仕様デス。


 こんなキャラの濃い神がいてたまるか。


 まあノリで触れてはいけない話もあるということか。次から気を付けることにしませう。


 …次って言っても、いつあるかは分からないけどね。




『それで、本題に入るわね。直球で聞くわ。転生、したくない?』




 転生、とな。なんだ、ココはよくある転生物の序章だったようです。ほら自分の死は神のヘマで、そのお詫びにチートもらってってやつ。


 でも、神(笑)って設定を除けば仕事出来そうな感じがするから、そういう事じゃないか。




 もしもそのシナリオだったら、私はこの先勇者にでもなって、チートで魔王でもなんでも倒せばいい、って訳だ。


 ……それとも、乙女ゲーム転生? イケメンに囲まれてキャッキャウフフすればいいの?




生前の自分を昔見たアニメに当てはめてみて、少し吐き気がした。逆ハーとか柄じゃないですわ。無理。推しを推すのも推されるのも一度に1人で充分。




 ああ転生なら、聖女って可能性もあるか。ただ聖女ってな……




 『国民の皆様が幸せに暮らせますように』


 なんて祈る役回りでしょう? 嫌だね。そんな博愛じゃないもの。




 まあ、『世界中のもふもふが幸せに暮らせますように』


 だったらできる。これだけは自信をもって言えるよ。




 私は人間よりも、もふもふした獣が好きだ。


 もふもふの獣でなくとも良いね。鱗でも羽でも甲羅でも問題ナシ。両生類もイモリだとかそういう類ならいける。




 どうせならあれだな。ティマ―になりたい。ドラゴンだとか、魔獣だとか従えるあの職業につきたい。 RPGな世界に転生したらやってみたいことリストの一番上にある。


 ああ、剣と魔法の世界じゃないって可能性もあるのか。


 何処に転生するのでも、平穏でもふもふにかこまれた生活が送りたいな。政争に巻き込まれるなんてまっぴら。






さて、推測はここまでにして話を進めようか。




「勿論!」



お読みいただき、ありがとうございます。改稿作業中につき、この先拙文ですが、お付き合いいただけると幸いです。

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