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忘れてた約束

 目的の店につくとまあまあ繁盛しているようでちらほら客がいてショーウィンドウを覗くと派手なデコレーションをされたケーキがずらりと並べられていた。


・・・派手すぎないか?いやでも、女はこのくらいのが好きなのだろうか


とりあえず、二人用の可愛らしいケーキを買ってみた。


これで少しは機嫌が直ればいいが・・・







翌日



結果として妻の機嫌は直らなかった

むしろ悪化した


昨日の夜不機嫌そうな妻におずおずとケーキを差し出したら顔面に叩き付けられた。

そこからまた大喧嘩


何故だ加藤

女は甘いものを与えてれば良かったんじゃないのか


「よお、どうだった?うまくいっただろ?」


1人で悶々としているときに加藤が来てくれた

ちょうどいい

事態をややこしくしてくれたお礼に明日までに提出の書類をすべて押し付けてやろう


おぉ、遠慮なく書類の束を奴の顔面に叩き付けたら少しすっきりした


加藤がぎゃんぎゃん騒いでいるが知らん。仕事だ仕事


昼休みになり、加藤に引きずられていつもの定食屋に行き昨日の事を話した。

すると怒り心頭だった加藤はみるみる申し訳なさそうな顔になっていった

口調は少し軽いが基本は良い奴なのだ

今朝は少しやりすぎたかもしれない

こいつも悪気はなかったのだ


「悪かった、まさかお前が奥さんにまでコミュニケーションを取るのが下手くそだったとは、俺も予想外だった」

「殴るぞ」


前言撤回もっと大量の書類を叩き付けてやればよかった


「じゃあ、なんで更に怒らしてんだよ?奥さん別に甘いもの嫌いじゃないんだろ?」


妻は甘党。それは確かだ

普段ならケーキをぶん投げるなんて所業は絶対にしない


「もう、長期戦しかないんじゃないか?」

「それは出来ない」


怪訝な顔をする加藤

当たり前だ。俺だって誠意を見せたつもりが無碍にされたら怒るし、もう時間に任せようと思う


だけど、妻は泣いたんだ


普段は絶対誰にも涙を見せない意地っ張りな妻がケーキを投げた後泣きながら怒ったんだ


なんで怒っているのか何が悲しかったのか何もわからないけど妻は悲しんで苦しんでいる

それだけは嫌でもわかる


だからこれ以上長引かせてはいけない


「でも、どうするんだよ」

「全く分からない」


完全に手詰まりだ

加藤が物憂げな顔をしだした

こいつが真面目な顔をすると周りの女性社員がざわめくから少しうるさい。


「お前、まさかとは思うけど奥さんの誕生日忘れてないよな?」

「殴るぞ」


こいつは俺をなんだと思っている。


そもそも妻の誕生日祝いはつい最近したばかりだ


「じゃあ、あれだ。プレゼントが気に食わなかった」

どうだと言わんばかりに指を鳴らした加藤

正直殴りたい


しかし、


「プレゼントは送ってない」


「………は?」


誤解が無いように言っておくが別に忘れていた訳じゃない


「元々誕生日に物を送るのはお互い無しにしようと決めたんだ」

付き合って1年目からの二人の決まり事だ

誕生日に物を送るのじゃなくて、相手のために何か行動をすることになっている


「なんで?」

・・・・なんでだったっけ?

確か、妻の誕生日が近づいたとき・・・


「おい、どうした?」

加藤が突然黙った俺を不審に思って話しかけてきた


「加藤、俺今日直帰するわ」


ようやく思い出した


妻との約束

次で最後です。

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