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プロローグ
灯りのない部屋に一つの呼吸音がしています。
窓の外は日の入りから降りだした雪がまだ舞っています。
部屋には空調設備は無いため、大きく息をはき出すたびに白い道ができそうです。
この部屋には時計もないので今が何時かも分りません。
しかし呼吸の主は寒さに負けずじっと、来るべき時を待っているのでした。
・・・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・
どれほどの時間が流れたでしょうか。
静寂が支配していたこの部屋に突然ブーンという機械音が流れました。
どうやら机に置かれたパソコンのモニターが点灯したようです。
そこには「メールを一通受信しました」と書かれています。
暗闇の主は机へ向かい、震える手でマウスを動かし、内容を確認します。
そこには・・・
『 title:事務連絡
from :GREEN
アップルへ
手配完了 』
と短く書かれていました。
アップルこと暗闇の主は一つ息をはき出し、深く目を瞑りました。
その両手は震えていましたが、それはどうやら先ほどとは違う意味のようでした。