雪ときどき居眠り
「昨日の不審者ー!」
瀬川の発言に周りは凍り付いた。流石にリズも不味いと思ったのか俺の方を見て来て目線が合う。
何かが充満してる感じ…リズが手をかざした時と一緒だ。一瞬にして光が周りを覆った。
俺には特に影響は無いみたいだ。何の魔法だ?一体…
「あれ?さっき何の話してたっけ?」
「俺も全く覚えてない…」
「まあいいじゃん!それより美少女転校生の話しよーぜ!」
どうやら記憶失ったらしいな。良かった。後は瀬川の記憶さえ亡くなっているのを確認出来れば…
「瀬川?さっき何の話してたっけ?」
「うーん?剣道の話じゃない?というか剣道の話をしよう!!」
ホッ。瀬川の記憶無くなってるみたいだ。テンションもいつも通りだし安心した。
また盛り上がるクラス。相変わらず騒がしいクラスだ。
「おーい!お前ら席につけ!授業始めるぞー」
先生の声でやっと席につきはじめた。
今思えばこの時の俺はある一つの危険性に気付いて無かった。いや、少し考えれば分かる事なのに楽観視していたのかもしれない。リズの存在する影響について…
★★★★放課後
「やっと授業終わったぁぁぁぁ!部活だ部活だぁぁ!」
瀬川が声をあげる。まあいつもの事だから気にしないけどそれにしても…
「もうちょっと声小さくしろ。他のクラスはSHR中かもしれないだろ?」
「はーい!次から気をつけるね」
元気よく返事する瀬川。ただ次から気をつけた試しが無いのだが…
「あっそれより唯人!今日部活来てよ!」
「何で俺が…」
剣道部でも無いのに、何故俺が行かないと行けないんだよ。
「だって強い人と戦いたいんだもん!ウチ男子剣道部無いし!って事は唯人が適任でしょ」
「流石に今のお前の相手になるか分からないぞ。久しぶりだし」
「いいのいいの!弱くてもいいから!」
「さっき言ってる事と矛盾してるだろ…まあ取り敢えず行くぞ」
道場に向かって歩き始める。ちなみにリズは今日用事があるからと言って先に帰った。早速情報収集するらしい。
着替えおえて、ウォーミングアップをする。他の生徒はまだ来てないみたいだ。おかしいな。そろそろ来てもいいと思うのだが… 俺と瀬川が来てから20分は経ったと思う。確かにウチのクラスは早く終わったけどそれにしても遅すぎるな。
「唯人〜今日何かもしかして放課後行事あったっけ?」
どうやら瀬川も怪しいと思ったらしい。
「無い筈だぞ。それぐらいは確認してるし仮に急にあったとしたらSHRで連絡するはずだからな。まず大丈夫だ。」
ガチャ。ドアを開ける音がする。
「おっやっとキター!」
瀬川が竹刀を上にあげて喜ぶ。不安だったのかな?まあ何にせよ良かった。
入って来たのは同級生で、1年の松本莉奈だ。でも何か様子がおかしい?
「雪ちゃん。遅くなってごめんね。」
「大丈夫大丈夫!莉奈は3番目の好タイムだよ!」
「ふふ。でも1番になりたいなー」
「それは既に私と唯人来ちゃったから明日だね!明日勝負だー!」
「でも2人とも居なかったら第三者から見たら私1番だよね」
少しづつ近付いてくる。絶対に何かある。
「そうだねー!で第三者って何?唯人!」
「それは後で説明するから俺の後ろに下がれ雪!」
「唯人…久々だね…雪って言うの」
「…今ラブコメ臭出さなくて言いから!頼むから今は後ろに下がってくれ…」
雪を無理矢理後ろに下げる。松本の周りから恐らくだが魔力を感じる。リズが魔法を使う時と同じ感じだ。警戒するに越した事はない。手に持ってる竹刀を構えた。
「何してるの?友達でしょ?友達に竹刀を向けるなんて酷いなーでももういいや。本題に入ろっか。近衛君についてる魔力の形跡について吐いてもらおうかな」
なるほどな。ということはリズと同じ異世界出身の奴が松本を操ってると見て間違いなさそうだ。
「魔力の形跡?知らないな。大体魔力って何だ?厨二病の設定か?」
ここは知らないふりをして逃げ切るのが1番だ。魔力を持ってるとなると何が起きるかさっぱり読めないし…このまま何とか逃げ切れ「あっ唯人嘘ついてる時の癖出てるよー莉奈に嘘つくなんてダメだよ!世界が許してもこの瀬川雪が許さないよ!」
……「魔力の形跡?知らない「2度目はいらん。少し虐めて吐かせるにしようか」
あぁもう!どうせ雪がいる時点でこうなると思ってたよ!俺に出来る事をやるしかない。
松本が竹刀を構える。流石に体を操ってたとしても女の動きには限界がある。相手が竹刀を使うなら大体の動きは読めるはず。
しかし俺の予想と反して、剣道の構え方とは違う。だらんとした揺るい構え。だが油断したら駄目だと気持ちを引き締めると意識した時には接近してきた。
予想とは遥かに速いスピードで接近してくる。少なくとも松本のスピードじゃない!そして急に視界から消えた…
「なっ!?」
速すぎて目が追いついてない!
「唯人!上!危ない!」
上?雪の声に反応した時にはもう遅かった。流石に頭の防具を付けてな状態で受けたらアウト…
当たる…そう思った竹刀は間一髪雪の竹刀によって振り払われた。
「すまん。雪!助かった!」
「気にしないで!でも今の莉奈の一撃相当重かった。いなしたから良かったけどまともに受けたら竹刀がアウトかも…」
「マジかよ…ただでさえこのスピードなのに。どうすれば…」
いやまて…そういえばリズは魔法を使うには魔力がいるって言っていた。という事は松本を操るにも限界があるんじゃ…つまり魔力が無くなるまで時間を稼げば自然に松本が解放される筈だ。とにかく攻略法が分からない以上これに賭けるしかない。
「雪!今から2人で撹乱しながら時間を稼ぐぞ!」
「分かった!」
松本の竹刀を2人でサポートしながら捌く。しかし、このままだとキツイ。2人でやっとのレベルだ。
また一気に間合いを詰めてくる松本。今度は雪の方に行ったか。また竹刀を雪が弾く。弾かれた竹刀は宙を舞った。よしこれで…しかし一瞬の雪の油断。松本が見逃さない。手で雪の竹刀を掴んだ。
「雪!」
くそっ。間に合わない…
竹刀を掴んだまま、雪が松本に蹴られる。そのまま道場の壁にぶつかった。急いで駆け寄る。
「雪大丈夫か?」
表情を見るとかなり痛そうだ。それにさっきの威力だともう戦えないだろう。
「うん!大丈夫!唯人は私に気にしないで戦って!」
無理に笑顔を作ってるのがすぐに分かった。彼女をこれ以上傷付けるわけにはいかない。
「分かった。後は俺に任せろ」
「うん!…エヘヘ〜少し疲れたから寝るね」
「って寝たら「すー」
ってガチで寝てるし…まあ雪の怪我も軽傷っぽくて良かった。後は俺がこいつを倒すだけだ。
また竹刀を構え直す。
竹刀を持ってない松本に竹刀を向ければ確実に怪我する事になる。でも俺は雪の為なら鬼だってなれる。覚悟を決めろ…
また一気に接近してくる。面は避けられる可能性が高い。銅で振り払う。しかし読まれてたのか竹刀を掴まれた。
だがこれは予想の内だ。思いっきり松本の腹を蹴り飛ばした。竹刀を止めた時はどうしても無防備になるためそうしたのだ。
竹刀を離してよろめいた。その隙を竹刀で一気に面で決めに掛かる。松本の視線が上を見た瞬間に足払いをした。松本が尻餅をつく。後はトドメを…
「降参だよ。」
松本が両手をあげる。
「じゃあ早く松本を解放しろよ」
「分かったよ。でもまた今度会う機会があると思うよ。今度は直接ね」
松本の周りから魔力が消える。どうやら解けたみたいだ。
「大丈夫か?松本」
「イテテっ身体中が痛い…」
いつもと松本だ。とにかく保健室に連れてかないと。
「雪は歩けるか?」
「すー。うん?歩けるよー!」
サッと立ち上がって言った。相変わらず目覚めがいい事で。
松本を背負い保健室に向かった。
保健室の先生が松本の傷が酷いため病院に向かった。
俺と雪は1人で手当て出来るくらいだったので先生には先に行ってもらった。保健室には2人だけだ。
雪が服を脱ぎ始める。
「おい!雪!俺今居るから」
「う〜ん?大丈夫だよ。下着は脱がないし上だけだし」
「お前モテるんだし、そんな無防備だと毎回大変だぞ!」
そう…雪は美少女で明るく天然で男女ともにモテる。スポーツも出来る為、雪を狙う倍率はかなり高い。こいつが気付いてるかはおいといて…
「しつこいなー今は唯人だけでしかいないでしょ!唯人以外には見せる気無いから大丈夫だよ」
「…え?」
「どうしたの?あっ私の手当て終わったー!唯人全然手当て出来て無いじゃん!傷は無いけど左手のテーピングするね。古傷痛むでしょ?」
「ああ。かなり痛む。ってそれよりさっきの話「テーピングの方が大事ー!それにまた私の所為で怪我したら嫌だから。」
「…左手は十分回復してるし最近は剣道の相手も出来るだろ。それにアレは事故だったんだから雪が気にする必要は無いよ」
「それでも私は……なーんてね!じゃあ気にしない事にするよ!それより速く帰りにミスド寄ってこー」
「はいはい。制服に着替えてからな」
「やったー!唯人の奢りね!」
「ってそれは関係ないだろ!今回だけだからな。じゃあどっちが先に更衣室行って着替えるか勝負だな」
「おー!」
この笑顔を守る為に、魔法を使った戦いになるなら強くならないと。そう胸に秘めた唯人だった。
唯人「久々の投稿すぎて皆絶対忘れてる!作者あの夏の方に気を取られすぎなんだよ!」
雪「作者だって忙しいの!きっと!勉強したり寝たり寝たり寝たり!」
唯人「寝過ぎだろ!間違いなく」
雪「だから体重計乗って焦るんだよ」
唯人「もう暴露は辞めてあげて下さい雪」
雪「じゃあこれぐらいにしてっと。よし!宣伝!これからもこの作品のラブコメに期待してね!皆さん!See you again!」
唯人「この作品ラブコメじゃないからね!」




