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雪ときどき誤解


目の前にいる女の子が本当は男。

見た目は正直可愛い。鈴川高校の中でも5本指に入るのは間違いないだろう。でもそんな女の子が元男。


世の中甘くないなぁ…もし俺が山岡なら気絶してるぞ……そんな事をぼーっと考える。


「じゃあこの家に居候させてくれるな。よし魔法で手続きしてくる!」


「おっおい! 待て!頼むから少し待ってくれ」


「何だ?唯人だっけ?容量の悪い奴だな。もう一回説明してほしいのか?」


「唯人であってる!さっきの説明は分かった。俺が理由もなくお前を家に居候させるわけないだろ?面倒くなるだけなのに」

その言葉を聞くと女は少し笑みを浮かべる。怪しいな…何かするつもりか?


「なるほど。理由がいるわけか。確かに居候させる理由が無いな。ならこれはどうだろう?もし僕が千年病を治せたならお前の願いを何でも魔法で一つ叶えてやろう。どうだ?悪い条件ではないだろう?」


さらに女は続ける。


「勿論、家事とかも出来るように努力するし頼む」


「……分かった。本当に何でも叶えてくれるんだな?」


「ああ。勿論だ。約束する」


「なら契約は成立だな。居候してもいいぞ」

よし!と大袈裟に女は喜ぶ。


「あっそうだ。もう必要は無いな」

指をパチンと鳴らす。さっきまでの黒髪から金髪のロングへと変わる。


「日本で金髪は目立つから、隠していたんだが家も決まったし必要無いだろう。後、僕の事は…リズ。リズって呼んでくれ。苗字は近衛を借りるから、学校では近衛リズだ」


「リズか。分かった。同じ苗字はかなり心配だがまあ何とかなるだろ」

変な誤解を招かないように願うだけだ。特に…山岡!


「これからよろしく頼む唯人。僕は必要最低限の必需品と情報収集してくる」


「こちらこそよろしくな。リズ」

正直不安な所は沢山ある。だが、本当に願いを叶えてもらえるなら、その可能性が少しでもあるなら俺はそのためなら何でも出来る。だから俺はリズの千年病を治さないといけない。


決意を新たに一日を終えた。






翌日。いつもより少し多めに飯をつくる。

と言っても1人分増えるだけだからそんなには負担にならないし、お金は貰ってるので対して苦にはならない。


あっそろそろ、リズを起こさないとな。昨日急造したリズの部屋に向かう。


コンコンとドアをノックしてみる。反応がない…


「おい!そろそろ起きないと転入初日から遅刻するぞ!」

…それでも反応が無いので、ドアを開けるとぐっすりと眠っているパジャマ姿のリズがいた。



…可愛い。純粋にそう思う。ただこいつは男だ。そう言い聞かせてリズの頭をポンと叩いた。


「時間か?」

やっと起きたようだ。


「ああ。飯作ったから着替えて早くリビングに来いよ」


「もう飯は出来てるのか。それはありがたいな。なら今すぐ行こう」


「だから先に着替えて…ってもう着替えたのか?」


「魔法を使ったからな。早くリビングに行こう」


「魔法連発出来ないんじゃなかったのか?」


「…早くリビングに行こう」


「誤魔化してもバレバレだからな?」





朝飯を食べて準備が整ったので学校に登校する。


女の子と2人での登校か。あいつに見られなかったらいいんだけどな。でもこれから毎日だし…気にしたら負けか…


「そういえばリズ。お前、自己紹介とか出来るのか?」


「勿論だ。自己紹介ぐらい僕にとっては容易いものだ」

自慢げにリズは語る。一抹の不安を感じながらも歩いているとポンと頭を叩かれる。


「唯人ー!おはよー!」

瀬川か。早速見られたくない人物に…


「おはよう」

冷静におはようと返す。そのままリズに気付くな。昨日の不審者とバレたらヤバい。


「あれー?唯人の隣の人…もしかして…」

ヤバい。流石にマズイ…



「唯人の彼女でしょー?朝から一緒に登校とは唯人も隅に置けないなーでもこれで唯人も私の永遠の敵のリア充になるのか…ムムム…爆発しろーー!!!」

そう言って瀬川は走り去って行く。


「おい!瀬川待て!誤解だ」


絶対に勘違いされた…そして永遠の敵って瀬川もしかして永遠に非リア充でいいのか!?



仕方ない…学校で誤解を解くしかない。ハァ…何か先が思いやられるな。



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