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The last key...  作者: may
透明世界編
8/12

ep007 たった一つの

 「──不可能じゃない。一つだけ方法があるんだ」

 と、俯いた俺に話しかけてきたのは、巨体な男だった。

 「え・・・・?」

 「少し、場所を変えようか」

 その男は、俺に手招きし、それに引かれるかのように俺はついって行った。



 “情報街インフォーメーションシティ”の中の小さなカフェ・インセアル喫茶に来ていた。

 俺は、巨体な男と向かい合わせに座り「どういうことなんだ?」と問うた。

 「うん、まあ・・・・まずは、自己紹介から。俺は、ガルゼス・ファイゼ──お前は?」

 「俺は、レイト・アノベル」

 ガルゼスと名乗った男は俺に手を差し出し「よろしく」と握手を求めていたようだった。俺はそれに応答するかのように、握り返した。

 「で・・・・本来、透明世界はこちらからの干渉は基本的不可能なんだ。だが、一つだけ最近になって方法が発布された」

 「その方法って・・・・・・?」

 俺は、眉間に皺を寄せながら聞いた。

 ガルゼスは、ウェイトレスが持ってきた珈琲を一口口に含み、口を動かし始めた。

 「その方法なんだが、ちょっと危険でな・・・・・・。己自信の身体を昏睡状態にして、あっちの世界へ飛ぶって言う方法だ。危険なのは、戻ってこれない可能性があるってことなんだ」

 彼は、強い眼差しで俺の目を見ながら言った。

 「だが戻ってくる可能性が0じゃないわけないんだろう?」

 ガルゼスは、肩をすくめ「まあな」と短く言った。

 可能性が0じゃないなら、試すだけ試したかった。ラフィを救えるのなら・・・・俺があんなふうに別世界へ飛ばしてしまったのが迂闊だった。何故、動けなかったんだろうと、今でも思う。

 「なら、俺行くよ」

 俺は、真剣な表情でガルゼスにそう言った。ガルゼスは、少し思い詰めて俯いてから、顔上げ、

 「わかった。もし戻ってこれなくても、俺は保障しないからな」

 「・・さっき会ったばっかなのに、なんか世話になりそうだな・・・・。ごめん」

 「いやいや、俺から首を突っ込んだ話だから。気にするな」

 ガルゼスは、微笑みたくましく胸を張った。そして、立ち上がり、

 「そうと決まれば、準備済ませて来いよ。俺はまた、ここに来るからさ明日。何時9時ここ集合な」

 「ああ」

 


 ガルゼスと別れたあと、俺は自分のレダント宿に戻り準備を始めた。

 一通り終ったあと、俺はベッドにダイブする。そして、ポケットから星型のクリスタルを取り出し、右手で掲げる。夜の月の光に反射して青白く輝く。

 「絶対、助け出してやる。今、行くからな・・・・ラフィ」

 星型のクリスタルを、四角いミニテーブルにそっと置き、俺は早く寝ることにした。



 朝。

 再び“情報街インフォーシティ”のの中の小さなカフェ・インセアル喫茶に5分前くらいに来ていた。

 そこで、待っていると後ろから、

 「おう、おはよ。早いな」

 「おはよう」

 ガルゼスだ。ガルゼスが、手を振って挨拶を交わした。

 「・・・・本当に行くのか?あっちの世界に」

 「ああ。大切な人が待ってるから」

 「そうか。ならついてこい」

 と、言われるがままに俺はガルゼスの後を追った。

 



 いつの間にか、人通りの少ないところに来ていた。

 「さて、着いたぞ」

 人通りの少ない場所に聳え立つ少し小さい建物。

 「まずは、昏睡状態にする薬と昏睡状態から回復する薬を買わないと行けない」

 「へえ・・・・」

 俺は、その建物を少し眺めてから、がゼルスの後を追う。

 からんからんと、よくある喫茶店の店のような鈴が俺達を出迎えた。

 「いらっしゃい。・・・・あれ、ガルゼスじゃない」

 ここの店の経営者だと思われる女性が、ガルゼスに気付く。

 「よお。アルア」

 アルアと呼ばれる、女性がこっちに近づいてきて「どうしたの?お客さん?」と首を傾げガルゼスに尋ねていた。

 「昏睡状態にする薬と昏睡状態から回復する薬・・あるか?」

 アルアは腕を組み、少し考えてから言った。

 「あるわよ。でも、どうして?」

 ガルゼスは、どうして?と聞かれた瞬間ガルゼスの後ろにいた俺に目を向けた。

 「ちょっとな。透明世界に行くために・・・・俺じゃないけどな」

 「お願いします、どうしても行かなくちゃならないんです」

 アルアは、少し眉を引き攣らせて、俺に言った。

 「貴方、元の世界に戻れないかもしれないってわかってながら、そう言ってるんだ・・よね?まあ、お客さんに頼まれたものは、必ず売る主義なの・・・・危ないものは売らないけどね、流石に」

 と、アルアは苦笑しながら言った。そして「ちょっと待っててね」と、店の奥へと消えていった。

 



 しばらくして、アルアが戻り両手を腕を組むような形で2種類の薬を持ってきてくれた。

 「はい。これね。550Lね」

 俺は、それを受け取り550Lと交換した。

 「まいどあり!」

 と、アルアはニカっと白い歯を見せ笑った。

 「じゃ、またな。アルア」

 「うん」

 アルアは、ありがとうございましたと言わんばかりに手を振っていた。


 

 「とりあえず、ひとまずお別れだ。あとは、部屋に戻り水でその昏睡状態にする薬を飲み心の中で“透明世界”と唱えればきっと行けるはずだからよ」

 「おう。ありがとう・・・・ガルゼス」

 「おうよ、レイト。気をつけてな」

 と、俺達は身を翻した。


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