ep002 青い空
俺はやっとイグレスシティの出口を見つけ、アルティバルの森に来ていた。
きっと、俺はあの時弱かったから守れなかったんだろう。RPGで言えば、レベルが低いかったと言える。
この世界も、RPGに近いと言えば近いが、遠いと言えば、遠い。微妙な世界なのだ。
俺は、何故こんな世界に生まれてしまったのだろうと思うと、またあの記憶が込み上げてくる。
「くそっ・・・・。なんで俺はあんなこと言ったんだ。アイツに言えば、なんとかなるって言うわけじゃないのに」
そう考えてるうちに、魔物が現れる。アルティバルの森は、そんなレベルの高い森じゃない。一人でも、倒せる敵だ。
俺は、別空間から愛用の長剣を召還させる。俺の魔法は、基本的に剣の換装だ。別空間にいくつか剣があり、その剣を呼び出し召還する。
「っりゃあ!」
長剣に魔力を込めた瞬間、光を帯びその魔物に攻撃を与える。
魔物を倒すと極稀に“石珠”が手に入る。それ以外にも、RPGのように役に立つアイテムが手に入る。例えば、剣を作るための必要な材料や服を作る材料など。様々だ。
その魔物からは何も出てこなかった。
「・・・・石珠が必要なのに、なんで出てこないんだ」
俺は、唇を噛みしめながら一人呟いた。今、石珠を持っている数は5個。
強い魔物ほど、出てくる確率が上がるっていうわけではない。ランダムなのだ。強い魔物から石珠が出てくるなら、もうやっているだろう。ある程度、訓練度を上げて・・・きっと。
お昼時になったので、街に入る。ラアイエバナシティ。ここは確か、高級レストランで有名。
流石に、ルア──この世界の金の呼び名だ。通称L。Lがピンチなので、そういうのは無理だ。一度は食べてみたいとは思っているのだが、そう思い通りにはいかない。
比較的、安そうな店に足を踏み入れ席に座る。
ここの店の女性店員が、テーブルにお冷を置く。俺はそれを、一口口に含み顔を伏せる。
「ご注文、ありますか?」
伏せた顔を一気に起き上がらせ、ランチセットを注文する。
女性店員が、去ったのを確認すると俺は、ぼーっと窓を見つめた。
「空は、青いな・・・・・・」
当たり前なことを、ぼそっと呟く。ふと、朝会った女の事を思い出す。
栗色の背中まで長い髪に空のように・・ちょっと濃い色の青の瞳。
昔、俺が守りきれなくて殺してしまった少女に似ている。
「まさか・・な」
ふうと息を漏らす。そう考えてるうちに、
「お待たせしましたー」
と、元気の良いソプラノの声の女性店員がランチセットを運んでくる。それを、俺の座るテーブルに素早く置く。
立ち去った女性店員が去るのを見計らって、
「いただきます」
と、手を合わせると食べ始める。
ここの料理は、安いわりには美味しい。金がピンチな俺にはもってこいの場所だった。
広い空を見ながら、食事を進めて食べ終わりLを置いて俺は、その店を後にした。