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The last key...  作者: may
迷い編
2/12

ep001 似ている少女

グランディーシティは、壮大な場所であり、商売が盛んな街だった。そこで俺──レイト・アノベルが生まれた。

 グランディーシティが、数年前大火事にあった頃に両親は俺を庇い死んでしまった。原因は、ボスレベルの魔物の仕業だった。

 今頃悔やんでも仕方が無いので、俺は気にしないことにしていた。

 復興して今は、元通りになっているのだが。

 「あっちかな──」

 一人呟きながら、この街・イグレスシティの出口を探していた。

 この世界を終らす為、俺は強くならないといけない。ずっとそう思いながら、一人で旅をしていた。

 俺は、仲間と旅をしたことがなかった。ずっと自分から、避けて一人でいた。人を守る資格なんて、俺にはないからだ。きっと、その仲間を俺が殺してしまう。──守れきれなくて。だから、なるべく一人でいることにした。

 昔、一人の少女を守りきれなくて殺してしまったことがあった。それが、今でも怖かった。

 一人で3つ目の条件なんて、探すのは無謀かもしれないがそれでもやるしかなかった。

 ──この世界を終らせる為に。

 闘いは、良いことを生まないからだ。俺は、心から平和を望んでいた。誰でも、平和が一番だと思ってるだろう。だから、俺がこの世界を終らせるんだ。

 石結晶ラピスクリスタルを狙うやつは、少ないとは言えない。その結晶を使って、悪用したりする奴もいるだろう。この世界にはそういうのは沢山存在する。勿論反対に、悪用したりするわけではなくいいことに使う奴もいるだろう。俺は、そいつ等より先に手に入れなければならない。

 そう思った瞬間、いつの間にか急ぎ足で歩いていた。

 歩いていると、曲がり角から少女が猛ダッシュでこちらへ走ってきた。

 「わあっ!」

 彼女は、驚いて、スピードを抑えようとするが、間に合わなく俺におもいっきり突進して来た。その衝撃で、俺はその場に尻餅をつく。

 「いててて・・・・」

 「いたぁ・・・。ご、ごめんなさい!ちょっと急いでたら、周りが見えなくなっちゃって・・・・・・」

 彼女は必死に、俺に頭を下げて謝り続けた。

 「あ、いや・・・大丈夫」

 俺は、咄嗟に彼女から目を背け、そう言った。一刻も早く、その場から立ち去りたくて、体を持ち上げる。

 「・・・・・・なんで、目を見て話さないの?」

 今の俺は、きっと驚いた顔をしているだろう。あの頃の、記憶を少し思い出してすぐに掻き消した。

 「ごめん・・・・・・」

 唇を噛みしめて、その場を去ろうと足を進めた。その女の隣を過ぎて歩く。ぱしっと腕を突然掴まれた。

 「ちょっと、何で逃げようとするのよ」

 その女は、眉を八の字に寄せて俺に向かってそう言った。

 俺は、相変わらず俯くしか出来なかった。昔の記憶が、どんどん込みあがってくるような感じがして。

 「・・・怖いんだ」

 突然、無意識にその言葉が口から零れた。それを聞いた、彼女は、首を傾げていた。

 「ごめん、こっちの話」

 と、俺はその手を振り払った。俯いて、また歩き始めた。彼女は、それを呆然と見つめていた。 

 ──俺は、何がしたかったんだろう。

 彼女に訴えてしまった言葉。無意識に。彼女は、昔の少女に似ていて。きっと、あの人と関わっていたら、俺がまたあの時のように、守れ切れなくて殺してしまうだろう。

 

 いつしか、俺は一筋、涙を流していた。

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