ep001 似ている少女
グランディーシティは、壮大な場所であり、商売が盛んな街だった。そこで俺──レイト・アノベルが生まれた。
グランディーシティが、数年前大火事にあった頃に両親は俺を庇い死んでしまった。原因は、ボスレベルの魔物の仕業だった。
今頃悔やんでも仕方が無いので、俺は気にしないことにしていた。
復興して今は、元通りになっているのだが。
「あっちかな──」
一人呟きながら、この街・イグレスシティの出口を探していた。
この世界を終らす為、俺は強くならないといけない。ずっとそう思いながら、一人で旅をしていた。
俺は、仲間と旅をしたことがなかった。ずっと自分から、避けて一人でいた。人を守る資格なんて、俺にはないからだ。きっと、その仲間を俺が殺してしまう。──守れきれなくて。だから、なるべく一人でいることにした。
昔、一人の少女を守りきれなくて殺してしまったことがあった。それが、今でも怖かった。
一人で3つ目の条件なんて、探すのは無謀かもしれないがそれでもやるしかなかった。
──この世界を終らせる為に。
闘いは、良いことを生まないからだ。俺は、心から平和を望んでいた。誰でも、平和が一番だと思ってるだろう。だから、俺がこの世界を終らせるんだ。
石結晶を狙うやつは、少ないとは言えない。その結晶を使って、悪用したりする奴もいるだろう。この世界にはそういうのは沢山存在する。勿論反対に、悪用したりするわけではなくいいことに使う奴もいるだろう。俺は、そいつ等より先に手に入れなければならない。
そう思った瞬間、いつの間にか急ぎ足で歩いていた。
歩いていると、曲がり角から少女が猛ダッシュでこちらへ走ってきた。
「わあっ!」
彼女は、驚いて、スピードを抑えようとするが、間に合わなく俺におもいっきり突進して来た。その衝撃で、俺はその場に尻餅をつく。
「いててて・・・・」
「いたぁ・・・。ご、ごめんなさい!ちょっと急いでたら、周りが見えなくなっちゃって・・・・・・」
彼女は必死に、俺に頭を下げて謝り続けた。
「あ、いや・・・大丈夫」
俺は、咄嗟に彼女から目を背け、そう言った。一刻も早く、その場から立ち去りたくて、体を持ち上げる。
「・・・・・・なんで、目を見て話さないの?」
今の俺は、きっと驚いた顔をしているだろう。あの頃の、記憶を少し思い出してすぐに掻き消した。
「ごめん・・・・・・」
唇を噛みしめて、その場を去ろうと足を進めた。その女の隣を過ぎて歩く。ぱしっと腕を突然掴まれた。
「ちょっと、何で逃げようとするのよ」
その女は、眉を八の字に寄せて俺に向かってそう言った。
俺は、相変わらず俯くしか出来なかった。昔の記憶が、どんどん込みあがってくるような感じがして。
「・・・怖いんだ」
突然、無意識にその言葉が口から零れた。それを聞いた、彼女は、首を傾げていた。
「ごめん、こっちの話」
と、俺はその手を振り払った。俯いて、また歩き始めた。彼女は、それを呆然と見つめていた。
──俺は、何がしたかったんだろう。
彼女に訴えてしまった言葉。無意識に。彼女は、昔の少女に似ていて。きっと、あの人と関わっていたら、俺がまたあの時のように、守れ切れなくて殺してしまうだろう。
いつしか、俺は一筋、涙を流していた。