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序章 旅のはじまり
──俺は、人と一緒にいるのが怖かった。
誰かを見捨てて、自分だけ生きるなら俺も死んだほうがマシだ。だから独りを選んだのだ。
この闘いの世界を終らす為、どんな願いでも叶える石結晶を探していた。
一人で旅をすると、捧げる代償なんてなんでもいい。例え、記憶でも。俺が、この世界を終らせてまた来世生まれてこれればいいと、そんな甘い考えを持って、旅をしていた。
石結晶を見つけるには、いくつか条件がある。
1つ目は、本当にその願いを叶えたいという気持ち。
2つ目は、強くなること。
3つ目は、石珠をできるだけ沢山集めること。
3つ目の“石珠”を何個集めれば、いいのかまでは明らかにされていない。
その条件を満たした上で、天空に浮かぶ“レイエント・セゼル”の扉を開けなければならない。
その扉の奥の未知な世界は、誰も未だに見たことが無い。
どんな世界でも、死は存在する。勿論、この世界でも。
RPGだと、HPバーがあるので死の直前がわかりやすいが、この世界にそんなものはない。
旅の途中に、彼女を失うなんて思ってもいなかった──。