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人形遣い  作者: 黒乃澪
2/3

第二幕「天使」


人形。


僕の人形。


それは僕のモノ。


それは僕だけの人形。


やっと手に入れたモノ。


やっと見つけた人。


心のない人形。それが彼女だった。


夜。


真夜中。


僕は街を彷徨っていた。


なにをするでもなく。


ただただ、足を動かすだけだった。


でも。そんな僕の足が止まった。


何故なら。


そこには。


目の前に歩道橋があったから。


何故なら。


そこには。


その歩道橋の手すりの上に立っている人が見えたから。


今にも地面に飛び降りそうな。


いや。


今にも夜空に飛んでいきそうな。


そんな天使のような。


いや。この場合。


堕天使といったほうがいいだろうか。


そんな堕天使のような。


美しい少女だった。


それが彼女だった。


ぽつり。ぽつり。


白い雫。


白い粉。


雪が降りだしてきた。


初雪だろうか。


珍しい。


こんな街にも雪が降るんだな。


でも、珍しいのかどうなのか。


僕は。あまり分からないけど。


きっと。珍しいんだろう。


たぶん。今年初めての雪なのだから。


だけど。


雪なんか。


そんなものなんかどうでもいいんだ。


佇んでいる少女。


彼女は、ただただ。空を見ていた。


夜空を見上げていた。


何もない真っ暗な空。


白い雪が舞う空。


月が耀く空。


そして。


そんな僕は、歩道橋の少女を見上げていた。


白い雪の中の少女。


そんな彼女を見つめていた。


地上に降りた天使のような。


夜空を見上げる堕天使のような。


白い少女。


そう。それが。


僕が彼女を最初に見た日だった。


そんな雪の降る夜だった。


僕は人形を見つけたんだ。



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