マレーナの誕生日のようです
少し短めのお話になりますが、今回は“日常生活編”としてどうしても書きたかった回です。
戦いの中で見せる強さだけじゃなく、マヤたちの“人としての温かさ”を描きたくて──
ほんの一息つけるような優しい時間をお届けします。
「マレーナの誕生日のようです」
(朝。王都の陽が差す窓辺)
マヤ「さて!今日はマレーナの誕生日っ!」
サリル「はい。マスターがその“さて!”を言うときは必ず面倒事が発生します」
マヤ「失礼なっ!」
まずは買い物だよね!!
サリル「はい。マスター」
店の中—
店主「あら、マヤちゃんいらっしゃい!」
マヤ「ちょっと買い物に来たの!」
店主「もしかして、恋人でもできたのかい?」
マヤ「ち、違いますよ!!ってか私に恋人なんか,」
サリル「マスターの体温が上昇し続けています。冷却魔法を使用しますか?」
マヤ「もう!サリルまでそうやって!!」
店主「ごめんね、マヤちゃん!ゆっくりしていって」
マヤ「もう!!」
(マヤの頭の中で思考リンクが展開)
マヤ「まずはリボンだよ!女の子といえばリボン!」
マレーナ「リボン?……アンタね、私を何歳だと思ってるの」
サリル「却下。対象が“幼児退行したと思われる危険性”が78%」
マヤ「うぐっ……」
(少し間を置いて)
マヤ「じゃあ!花束!綺麗だし、定番!」
マレーナ「悪くないけど、ありがちなヤツはね〜。覚えてくれてるだけで嬉しいけど」
サリル「平凡。マスターらしさが存在しません」
マヤ「うるさいなぁぁぁ!」
(数回の脳内会議の末…)
マヤ「……もう自分で作る!手作りが一番気持ち伝わるもん!」
サリル「推奨します。マスターが本気で作るなら、それが最も“価値ある贈り物”です」
マヤ「決まり!」
店主「マヤちゃん、何も買わないのかい?」
マヤ「うん!また今度買いにくるよ!!」
――
夕方。街の広場、装飾されたギルドホール。
冒険者たちが集まり、笑顔と喧騒に包まれる。
ハロットル「マレーナ、誕生日おめでとう!」(手渡すのは、戦闘時に守りを強化するペンダント)
マレーナ「ありがと……あんた、意外とセンスあるじゃない」
ハロットル「勇者だからな」
マレーナ「うるさい」
(そしてマヤが差し出したのは、青い光を放つ水晶球)
マヤ「マレーナの魔力に反応して光るの。
もし迷ったとき、悲しいとき、この光が“私たちがいる”って教えてくれるから」
サリル「マスターが三晩徹夜で仕上げました」
マレーナ「……は? アンタ、そんなことまで……」
(少し顔を赤らめて)
「ほんと、バカね……ありがと。大事にする」
――
夜。マレーナの部屋。
(静かに灯る青い光。マレーナがその水晶を手にする)
マレーナ「……あったかい。ほんと、マヤたちって変なの」
(少し涙ぐみながら)
「でも……こんな仲間がいてくれて、よかった」
サリル(遠隔通信で)「マスター、マレーナ様は泣いております」
マヤ「いいじゃん、それだけ気持ちが伝わったんだよ」
サリル「……はい。マスターの“感情”という魔法、確認しました」
(マヤは笑って、青い空を見上げる)
マヤ「うん、これが“仲間”ってやつだね」
そして、何事もなく終えた誕生日かと思えた瞬間。
――
ドーーーーーン
マヤ「な、なに!この大魔法の波動は」
サリル「確認しました。神々の大魔法の召喚を感知しました。何者かがこの世界に送り込まれたと推測します。」
マヤ「それって,,,」
天界では,,,
テラネ「ごめんね、マヤ。あの子がどうしてもあなたのそばに行きたいというもんだから飛ばしちゃって。」
「でも、これでこの世界が平和になれるのであれば、わたしは何も言わないわ!」
???「やっと、あなたの元に辿り着いたよ。真耶」
読んでくださってありがとうございます!
次回はついに――“あの世界”からの召喚者が現れます。
果たして、味方なのか? それとも……敵なのか?
どうぞお楽しみに。




