師の帰還、そして救済
今回は、**勇者ハロットルの“覚悟”とマヤの“救済”**を描いた回になります。
戦場の臨場感、ギルドの緊迫感、そして“師弟の絆”が交錯する物語です。
マヤがいつも通り圧倒的な力で救いに現れる一方で、
ハロットルが勇者としての誇りを貫く姿も必見です。
サリルとの連携もいよいよ“完成形”に近づき、
マヤの存在が本格的に「神話」に近づいていく回になっています。
「師の帰還、そして救済」
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―ギルド本部・作戦会議室―
緊急討伐任務。
魔力異常の報告が届いた。
地図上で赤く染まる一帯――そこは、隣国バルセア。
ギルド長:「……まさか、こんな短期間でここまで魔物が増えるとは」
マレーナ:「魔力の波動が異常。自然発生じゃないわ」
ハロットル:「なら、行くしかない。放っておけばこの国まで侵食される」
マヤは少し離れた席で報告を聞いていた。
サリル【魔力密度、既に危険域を突破。発生源は……おそらく“誰か”による召喚】
マヤ「やっぱりそうか……」
ギルド長:「イナ・マヤ。君にも出てほしい」
マヤ「了解。でも、先に私が別任務を抱えてるから、先発はハロットルたちで」
マレーナ「本気で言ってるの!?」
マヤ「大丈夫。サリルが異常を感知したら、すぐ飛んでいくから」
サリル【マスター、自己判断で危険を放置するのは不合理】
マヤ「うん、でも……信じたいんだ。彼らの力を」
サリル【……了解。マスターの判断を優先】
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―場面転換:戦場・バルセア北部―
灰色の空。
黒煙が舞い、地が割れ、魔物たちの咆哮が響く。
剣を構えたハロットルが叫ぶ。
「全員、退くなッ! ここで止めなきゃ王都まで来るぞ!!」
マレーナ:「回復魔法、間に合わない……!」
兵士たち:「勇者様、後退を!」「だ、駄目です、魔法が効きません!」
敵の群れの奥――禍々しい巨影。
それが“神龍ブォリタロス”だった。
ハロットル:「……師匠が、これを見たら……笑うだろうな」
剣を構え、光を宿す。
「師匠の弟子が……簡単に負けるわけにはいかねぇ!!」
閃光が走る。
剣と爪がぶつかる音。地が裂ける。
だが――刃が届かない。
マレーナ:「ハロットル!!やめて!これ以上は――」
爆発音。土煙。
勇者の身体が吹き飛ばされる。
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―同時刻:別国、マヤ側―
サリル【マスター、勇者ハロットルの生命値が低下。致死圏内です】
マヤ「……やっぱり」
サリル【転移は空間崩壊のリスクがあります】
マヤ「構わない。守るために、行く」
サリル【了解。転移門、展開――】
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―戦場再び―
(ハロットルが剣を杖代わりに立ち上がる)
ハロットル:「……まだだ……まだ俺は……」
その瞬間――
空が裂け、光の雨が降る。
マレーナ:「な……なに、これ……」
魔物の動きが止まり、空間ごと凍結した。
光の中心から、少女が降り立つ。
マヤ:「……間に合ったね」
サリル【対象数:853体。殲滅モード、展開】
マヤ「サリル、浄化領域、最大出力」
サリル【承認。浄化率――100%】
一瞬。
神龍ブォリタロスの体が光に包まれ、跡形もなく消えた。
風も、音も、戻る。
ハロットル:「……師匠、遅ぇよ……」
マヤ:「ごめん。信じてたけど、やっぱり危なかったね」
マレーナ:「……あなたって人は、いつもギリギリで来るのね」
マヤ:「その方が、かっこいいでしょ?」
サリル【マスター、無意味なポーズに3秒費やしています】
マヤ「うるさいなぁ!」
(3人が笑う)
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ナレーション:
「マヤの姿は、まるで光そのものだった。
その背を見て、ハロットルは心に誓う。
いつか、この人の隣に立てるように――」
ここまで読んでくださってありがとうございます!
今回はハロットル中心に、彼の“師への想い”を描きました。
マヤの到来はまるで光そのもの。
そして、サリルとの“神域の連携”はシリーズの中でも屈指の見所です!!
これからも“願星夢叶”の世界を楽しんでいただけたら嬉しいです!
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