突如現れた古代遺跡の調査だが、、、
平和に見える世界に、最初の“歪み”が現れる回です。
マヤたちの日常をそっと揺らすのは、ひとつの遺跡。
ただの冒険のようで、これが後の大戦へと繋がっていきます。
朝のギルドは、いつもは穏やかだ。
だが今日は違う。鐘が鳴り響き、全冒険者への“緊急召集”が掛けられていた。
受付嬢
「S級パーティ《マヤ一行》!優先で奥の会議室へ!」
マヤ
「朝からすごい騒ぎだね……」
アオイ
「ただ事じゃない雰囲気だよね……」
魔王カラト
「ギルドがここまで慌てるとは珍しいな」
サリル
「マスター、何かが起きています。注意を」
扉が開くと、ギルド長が資料を叩きつけるように机に置いた。
ギルド長
「南の平原に、数時間前“突如”遺跡が出現した」
マヤ
「遺跡が……出た?」
「出現した」という表現に、全員の表情が固まる。
ギルド長
「空間ごと転移したようにも見える。内部調査はS級以上のみ可能と判断した。すまないが──マヤ、任せたい」
マヤ
「了解。調べてくる」
その声には、一切の迷いがなかった。
――南の平原。
そこにそびえていたのは、砂でできた巨大な建築物。
頂点へ向かって斜めに伸びる四角錐──
アオイ
「……ピラミッド?」
マヤ
「うん。地球の遺跡に似すぎてる」
階段を降りると冷気が広がった。
壁には線のような未知の文字──しかしなぜかマヤには読めた。
マヤ(心の声)
『これは古代世界の封印式……どこで知ったんだろう、私』
最深部の扉の前。
何かが封じられている明確な“気配”が漂っている。
マレーナ
「開けるの?」
マヤ
「……いまは、開けちゃダメな気がする」
魔王
「我も同意だ。これは“世界に関わる何か”だ」
一行は遺跡の中を記録し、ギルドへ戻った。
会議室。
ギルド上層部と、国王から派遣された将校までもが揃っていた。
ギルド長
「マヤ一行からの報告。遺跡は地下型ダンジョン。深部に何かが封印されている可能性あり」
将校
「放置しては危険。即時攻略すべきだ!」
別の役員
「生命反応がなかったのなら封印のまま維持すべきだ!」
議論は平行線だった。
マヤ
「みんな、落ち着いて。……遺跡は誰かが作って“封じた”んだよ」
会議室が静まり返る。
マヤ
「封印を守る側が作ったのか、倒すために閉じ込めたのかはわからない。でも……“間違った判断をしたら取り返しがつかない”」
魔王
「我もそう思う。攻略も封印も、軽々しく決めるべきではない」
サリル
「仮設結論。遺跡は監視し、調査班を編成し、完全消滅の危険がないか識別すべきと判断」
ギルド長
「……最終判断はマヤに任せたい。お前が最も世界を知っている」
マヤ
「私は“封印を維持しつつ監視”を提案する。誰にも触らせずに」
全員が息をのむ。
マヤ
「怖いのは“封印が守る側のもの”だった場合の解除。
開けていいものなら、必ず“開けてと言いに来るはず”だよ」
魔王
「……見事だ」
会議はマヤの判断をもって結論となる。
退室したあと──サリルが静かに囁いた。
サリル
「マスター──遺跡は“世界の均衡の装置”です。
もし崩れれば……戦争が起きずとも世界が滅びます」
マヤ
「だから監視しかできない、ってこと?」
サリル
「はい。現時点では “触れてはいけない”」
マヤ
「わかった。守るよ。世界も、遺跡も」
その横で、アオイは小さく震えた。
アオイ(心の声)
『マヤの言い方……まるで“戦いを覚悟した人”みたい』
風が吹き抜けた。
その瞬間、誰も気づかないほど小さく──
遠くで鐘の音が鳴った。
それは“戦いの始まり”の予兆だった。
読んでいただき、ありがとうございました。
何気ない依頼に見えた遺跡調査。
しかし、その遺跡は世界の均衡を保つ装置。
触れても、放置しても、世界が動き出してしまう “危険な静寂”。
平和の裏で、何か大きなものが動き始めています。
マヤたちはまだ気づいていません──
この遺跡が、国同士の争いに火をつけるきっかけになるということに。




