マヤ、ディノに会いに行く!
ついに物語は“過去”へと踏み込む回になります。
これまで語られてこなかった精霊のルーツ、そしてマレーナの出生の真実。
軽い気持ちで行ったわけではないはずなのに、気づけばこの回は物語の本筋を揺さぶるほどの重要回に育っていました。
“優しさに満ちた世界” を理想とするマヤ。
その仲間であり友であり支えであるマレーナ。
その過去に眠る謎が、彼女自身の未来を大きく変えていきます。
笑いも友情も、そして少しの不安も──
全部がこの先の展開を繋ぐために必要なピースです。
それでは、本編へ──
■天界の許可
マヤ
「サリル、私たちが過去に行くことって……できる?」
サリル
「マスター。過去への干渉は本来――」
???(空から)
「いいんじゃない?マヤちゃんが行きたいんでしょ?」
一斉に空を見る。
マヤ
「テラネ様!!?」
テラネ
「過去を変えない限りは問題ないわ♪」
マヤ
「え!?本当に行っていいの!?」
テラネ
「変え“なければ”ね??」
マヤ
「わかった!ありがとう!!」
サリル
「マスターは本当に不思議なお方です……
本来、最高神でさえ許可を得るのが困難なのですが。」
マヤ
「きっと私が困ってたから手を貸してくれたんだよ!
テラネ様は優しいから!」
――そのころ天界。
他の神
「テラネ様、本当に宜しいのですか?
新人の神が過去に行くなど前例がありません!」
テラネ
「マヤちゃんの構成は、あなたたちも嫌というほど知ってるでしょ!」
他の神
「しかし、なぜそこまでマヤ殿を……」
テラネ
「えっと……その……
ってそんなのどうでもいいでしょ!!?」
⸻
■過去へ向かう準備
マヤ
「みんな準備はいい?」
マレーナ
「今度は何をする気なのよ……!」
マヤ
「精霊神ディノさんが生きてた時代まで遡る!」
マレーナ
「はぁ!? ちょ、ほんとに!?」
アオイ
「そんな簡単に言う!?できるの!?」
マヤ
「今サリルが過去の時代を検索してくれてるから、
特定できれば行けると思う!」
ハロットル
「さすが師匠です!!!」
サリル
「確認完了しました。
――過去への大魔法、いつでも発動可能です。」
魔王カラト
「マヤに何かあってはならぬ。我も同行する。」
マヤ
「あなた、過去で何もしないでよね?」
魔王
「何もせぬ。……傍観はするがな。」
マヤ
「サリル!!」
サリル
「了解。
――タイムクロニクル、発動!!!」
眩い光が全員を包み込み、時空が逆流していく。
⸻
■ディノがまだ生きる精霊界
マヤ
「つ、着いた……?」
サリル
「はい。ここは精霊神ディノが生きていた時代の精霊界です。」
アオイ
「見た目ほとんど変わってないんだけど……
時が止まってるみたい。」
すると、柔らかい風が集まり始める。
???
「……誰?
ここは精霊界。
人間が簡単に来れる場所じゃないよ?」
マレーナ
「っ……!!」
銀髪の青年――ディノが現れる。
ディノ
「あなたは……」
マヤ
「あ、あの、ディノ様……ですよね?」
ディノ
「え? あ、はい。
って、そうよ!!何しに来たの?」
マヤ(心の声)
「本当に……マレーナそっくり……」
マヤ
「私はマヤ。これでも最高神なんです!」
ディノ
「え?あなたが?
最高神はテラネじゃなかったっけ?」
サリル
「マスターはまだ期待の新人ですが、
発言はすべて事実です。私が保証します。」
ディノ
「あなたは……?」
サリル
「私はサリル。」
ディノ
「神の力を感じる。サリルからは。」
マヤ
「私からはしないんだ……」
ディノ
「あなたからは神よりむしろ……
恐ろしいくらいの魔力を感じるのよ。
だから様子を見に来たの。」
マヤ
「あ、」
マレーナ
「ほんと何やってるのよ!!」
ディノ
「あなたは精霊……?」
マレーナ
「そ、そうよ!?悪い!?」
ディノ
「あなたから、少し“私”を感じる。」
マレーナ(心の声)
「やばい……バレたらマジで終わる……!
ここは……」
マレーナ
「ディノ様は精霊を生み出す者と聞くわ!
あなたから私を感じるのはつまり……
あなたに産み落とされた精霊だからよ!!
きっと!!」
(心の声)
「最後意味わかんないけど……押し通す!!」
ディノ
「あっ……なるほど。
私、勘違いしてたみたい!
本当に似てたからごめんね!?」
マレーナ
「そ、そうよ!!」
(心の声)
「危なかった……!!」
ディノ
「それで──ここに来た理由、教えてくれる?」
マヤ
「えっと……精霊って“進化”ってするんですか?」
ディノ
「いい質問ね。でもその質問、そこのサリルさんに聞けばすぐ答えられるでしょうに!」
マヤ
「え?どういう──」
ディノ
「わたしだって馬鹿じゃないんだから。」
サリル
「有り得ません。私の存在を見抜くなど……」
ディノ
「これが“精霊の力”だよ。
そのサリルって人──スキルの姿の半分が精霊と同質だったから、覗いたら分かったの。」
サリル
「わ、わたしが……精霊……?」
マヤ
「え、サリルって精霊なの!?私全然──」
ディノ
「質問の答えね。
精霊は進化するよ。でも、精霊によって“進化条件”に差があるの。」
マヤ
「そうなんだ……」
ディノ
「えっと──」
マレーナ(食い気味に)
「マレーナよ!」
ディノ
「はいはい、マレーナの進化条件は “感情の変化” によるものよ。」
マレーナ
「感情……?」
ディノ
「そう。
仲間の一人が死んじゃった……とか。
心が大きく揺れた時に進化する。」
マレーナ
「そんなの!マヤがいるのなら関係ないわ!!
仲間を死なせるわけないもの!!」
ディノ
「だから“進化しにくい”んだと思う。」
マヤ
「ちょっ……私が原因なの!?」
ディノ
「ファイアボール。」
マヤ
「ん?──え!?あつっ!!!!」
マレーナ
「ま、マヤ!!なにしてんのよ!!」
ディノ
「へぇ……これでも進化しないんだ。
じゃあもっと──」
サリル
「マスター!!」
マヤ
「大丈夫!ただのファイヤーボールだよ!完全に油断しただけ!」
ディノ
「ごめんね!?本当に悪気はなかったから!」
マヤ
「ううん!私は大丈夫だよ!」
ディノ
「進化条件は伝えたから、あとは何か聞きたいことある?」
マレーナ
「特にないわ。」
ディノ
「じゃあ、私はそろそろ戻るね。
また会おう──未来で。」
ディノは光に溶けて消えた。
──静寂。
アオイ
「ディノ様、ちょっと天然で可愛かったけど、
さっき危うく“マレーナが転生体”ってバレそうでヒヤヒヤしたよ……!」
マレーナ
「言わないで……心臓止まるかと思ったんだから……」
魔王
「ところでマヤ。
お前のサリルが精霊だったのは、驚きでしかないのだが。」
マヤ
「だから!!いま聞こうとしてたの!!」
サリル
「!?」
マヤ
「サリル、精霊なの?」
サリル
「テラネが私の構成を作った際、
知識の半分に“精霊の機構”を感じていたことはあります。
ですが、自分が精霊だと自覚してはおりませんでした。」
マヤ
「謎のまた謎が出てきたんだけど……」
マレーナ
「はいはい!いま考えてもしょうがないでしょ!?
気にしてたらハゲるわよ!!」
マヤ
「いやハゲは困る!!」
アオイ
「ふっ……いつもの感じに戻ってきたね……笑」
魔王
「まぁ、いつも通りの方が落ち着くな。」
サリル(小声)
「……マスターが無事で、本当に良かった……」
マヤ
「みんな!!未来に帰ろう!!」
サリル
「はい。“帰還魔法”を開きます。
――タイムクロニクル、終幕!」
光が広がり、一同は未来へと戻っていった――。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
過去の世界でのディノとマレーナの邂逅は、
“思い出すべき記憶” と “思い出してはいけない記憶” の狭間に立ったシーンでした。
マレーナはまだ進化しない。
だけど今の読者にも伝わったはず。
――あの少女は、必ず“運命の日”に目覚める。
その未来を、希望として受け止めるか。
それとも絶望として見届けるか。
それはまだ読者すら知らない。
しかし確かなことがひとつあります。
マヤは、誰が相手でも。未来がどれだけ残酷でも。
仲間を絶対にひとりにしない。
次回は再び“今”の世界へ。
少しずつ平和の影が揺らぎ始める二章中盤。
どうぞこのままお付き合いください。




