3.男性不信
次の日から父は私の部屋への出入りが制限された。
というのも私が父が近づくだけでパニックになるからだ。
さすがに原因が父親とわかりお母さんやメイドさん達も父を私に近づけないようにしくれた。
「ラーミア・・・」
父の悲しそうな声が扉の方から聞こえてくる。
私はその声を聞くだけで体が硬直してしまうのだ。
あの父とは違う人だとわかるが男の人はすぐに変わるから信用出来なかった。
しかし父はそんな私に気を使ってか決して部屋の中には入らずにいてくれた。そしてこんなにも嫌われているのに毎日会いに来るのだ。
「ラーミアおはよう、今日は気分どうかな?」
「ギャー!」
私の叫び声までワンセットとなっている。
みんなももう慣れたのか私をあやしながら父から見えない場所へと移動してくれる。
「ラーミア様はなんで旦那様が来ると泣くのでしょう?」
「一度医者に見せた方がいいかしら?」
お母さんが心配そうに眉を下げていた、そしてその医者が来たことで私の男嫌いが発覚する。
その医者が男の人だったのだ。
私はその人を見るなり父と初めて会った時と同じ状態になりその日は熱をだしてしまった。
「うー、うー」
苦しくて熱くて上手く息が出来ない私は呻き声をあげていた。
泣き好きで目も開けられずに真っ暗ななか苦しんでいた。
お母さん・・・誰か・・・
恐怖で手を伸ばすが誰もいない。
うっうっ・・・
あんなに流したのに涙は枯れることなくまた流れていった。
私一人、また死ぬのかな。
そう思っているとふと恐る恐る私の手に触れる指が当たった。
私は思わずその指を掴んだ。
その指は太くなんだが安心する指だった。
お母さん・・・じゃないな。お母さんのはもっとスベスベで柔らかくて優しい。
この指は逞しくてなんか守ってくれそうで安心する。
私はフッと安堵から気を失うように眠りについてしまった。
「だ、誰か!」
と、近くで父の声が最後に聞こえた気がした。