41 日本ダービー 43 新馬、花 44 おめでとう 45 JUMP
ママ
43
44
45
ハミヤ
頑張ろうな
うるせえ!
あー走りたくねー
走りたくねーな
たくよっ!
ビリでいいだろ
別に
俺さ、俺が勝ったところで
賞金入るの人間だろ?
栄誉とかさ、人間のエゴだろ
俺一生懸命走ってさ、勝ったとしてさ
なんなの?
ハミヤ
調教だ
ウッドチップだ
「来週はパンジーレースだから、軽めだ」
H調教師が花美哉に、2馬身ほどの距離を保ちながら声を掛けた
「よかったな、ハミヤ。足元に負担の少ないウッドだし、軽めだ」
タケル厩務員がハミヤの左頬に触れた
「ぶるる、はい。練習嫌いだぜ、ブフッ!」
ハミヤが豚っぱなを鳴らす
タケルは優しい苦笑いで彼を見つめている
「なあ、タケル」
「ハミヤ、なんだい」
「俺は何処まで走るんだ」
大地に視線を溢すタケル
坂路を見上げた、ハミヤ
「ハミヤ、よく聞け。俺たちが目指すのは、雄馬4冠レースだ。来年の4月に虎杯、5月の熊杯、10月の竜杯。これがHRAの3冠レースだ。JRAの皐月賞、ダービー、菊花賞のようなものだ。それからもう1レース熊杯の1年後に、猫杯。猫杯は熊杯の再戦のようなレースで、熊杯勝ち馬にとっては1年経て絶対的最強を示す、熊杯で敗れた馬達には絶好のリベンジの機会。熊杯と同日開催だよ。目の黒い猫。
2034年の虎杯、熊杯、竜杯、2035年の猫杯。この4冠を制す。これが、花美哉、お前の走る意味だ」
Hの真剣な眼差しがハミヤを差した
「ちなみに、ハミヤ。今は2033年だからな。お前は今3歳。JRAで言うところの2歳。2001年に馬齢表記が変更になったんだ。その前までは数え年が採用されていて、生まれた時点で1歳だったんだ。だから昔はダービーも4歳馬のレースだったんだ。今は当歳って0歳から、人間と一緒だな。ダービーは3歳。コホン、HRAは数え年を馬齢に採用していて、虎杯、熊杯、竜杯は4歳馬のレース。猫杯は5歳馬限定レースなんだ」
厩務員が調教師を補足した
「あーあ。だりい。虎とか、熊、竜、なんで猫なんだよ。最後が一番弱っちいじゃねえか」
ゲンナリ漏らすハミヤ
「猫が最強だ。虎も熊も食肉目だ」
「しょくにくもく?なんだそれ」
「ネコモクだ。食肉目は猫目のことだ。虎も熊も猫の元に分類されているんだ。最強は猫」
「竜は?」
「恐竜は爬虫類」
Hが空を見上げた
「俺たちは?」
「奇蹄目だよ」
「きていもく?」
「蹄が綺麗に一つだろ。割れてない。蹄が二つに分かれていると偶蹄目なんだ。牛とかな」
「よし、調教だ」
右に調教師、左に厩務員、真ん中に芦毛
「しまった!」
「先生どうしました!」
「ジョッキー決まってなかった!」
「先生!来週ですよ!レース」
「新馬で乗ったプレイの奴、断りやがったんだ!やべぇ、忘れてた!お前たち、行ってろ!俺は厩舎に戻る」
見詰め合う、馬と人
間が、
アッハーハー
笑いへ誘った
「おい、タケル。誰が調教つけるんだ」
「俺だよ、俺、調教厩務員だから。乗れるんだ」
「ふん」
「しっかり稽古つけないと。ゴリラが出走してくるからな」
「なんでゴリラが出てくるんだよ!滅茶苦茶じゃねえか!」
「馬名だよ。ゴリラって名前の馬。熊杯、有力視されているんだ。かなり強い」
「だろうな、ゴリラだからな。ちなみにアレ、なんだ」
「霊長目だ」
「ああ、お前達と一緒か」
「行こう、花美哉」
鼻垂れ小僧が走っている。
小学校から家路を走る。
玄関勢いよく開けてそのまま、エチケットに駆け込む。
用足して学校出りゃいいのに、また家路で催す。
勢いよく放って溢してエチケットを蹴り飛ばした。
お膳卓に向かって几帳面に積まれた2枚を握り締め玄関肩ぶつけてまた走る。
近所の駄菓子屋でJUMP買って歩きジャンプスキップ。親父とドラゴンボール、競馬と少年。
あれはいつものあのコロの月曜日。
月曜日に競馬を書く
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#20251006