2023年9月3日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#100 ロールキャベツ
サクソフォン奏者八巻和行さんのラジオ番組
こうのすFM フラワーラジオ
フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)
八巻和行の七転び八巻
というラジオ番組の投稿コーナー
妄想【愛の劇場】
毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。
小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。
そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。
妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!!
こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです!
《番組への参加方法》
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②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー
③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表
④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿
※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。
※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。
サイト投稿回数 第53回目の今回は………
2023年9月3 日放送。
妄想【愛の劇場】#100 ロールキャベツ
息苦しい。とにかく、息苦しい。
真っ暗な、何処とも思い当てはまらぬその場所で、八巻の体は何かが巻き付いて身じろぐ事すらままならない。
自分の体は今タテなのかヨコなのか。
それよりも、なんとか息がしやすい様に体を動かしたい。
八巻は右足を動かそうとするが、うまくいかない。
なんとか右手の親指を動かそうと意識を集中させる。
動いた感触は、ない。
しかし、なんとなく息苦しさが緩和された気がするのは何故なのだろうか。
理由は分からないが八巻は少しだけ息を吐いた。
束の間、ジリジリと八巻の体に熱が帯びる。
暑い。
再び八巻は身じろぐ事もままならなくなる。むしろ、体が固定されるかの様にミシミシと八巻の体を何かが巻き付いて息苦しくなった。
声らしい声も出せないほどに、八巻をこれでもかといわんばかりにギリギリと締め上げていく。
八巻はあまりの息苦しさに気を失った。
ガタン!という大きな音と全身を打ち付ける痛みで八巻は目を覚ました。
目の前はまだ暗い。
気が付いたのはよいが息苦しさと身じろぐ事のできないこの現状を、八巻はなんとか理解しようと頭を巡らせる。
自分は一体何がどうなって今に至るのか。
しかし、八巻の頭は動かなかった。
その時、ズルリと八巻の体に巻き付いている何がズレる感覚があった。
その瞬間、八巻は息苦しさから少しだけ開放される。と同時に、体が右に左に揺れ始め自分の態勢が横向きである事を知った。
頭の上をヒヤリとした何が過ぎる感触がする。すると、体に新しい空気が触れる。
爽やかさを感じた。
光はまだない。
次いで首の辺りを中心にして、ズルリと八巻の体に巻き付いている何がズレる感覚があった。
頭の上から光が入る。
八巻はギョッとした。
視界に広がる状況を理解した。
八巻は少しズレた巻き付いている何かを、右に左に体を揺らしながら解きほどいて力の限り逃げ出した。
足元は黄金色の湖だった。
バシャリバシャリと音をさせながら八巻は走り出した。
滑りやすくて走り難い。
思う様に走る事ができない湖の中で、八巻はそんな事など構いもせず、一心不乱にその場所から逃げ出した。
しかし、恐怖で腰が落ち着かず八巻はヘタリと尻もちをついた。
八巻の様子に気付いていないのか、再びヒヤリとしたものを振り下ろし前に後ろに動かして八巻が入っていた塊を切り落としていく。
切り落とした小さな塊を、ヒヤリとした槍のようなもので刺しては、上へと運んでいく。
それは何度も繰り返された。
八巻はその様子を上目遣いに眺めていた。
恐怖に息を殺しながら。
ありがとうございました。
次回もラジオ番組の投稿コーナー
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妄想【愛の劇場】#101「妻」