魔王配下の生き残り
アーロンは本性を現した、その姿はさながら悪魔そのものだ。
アーロンは手をかざし、俺を外へ吹き飛ばす。
俺を部屋のドアを、屋敷の壁を貫通させてに庭まで落ちる。
咄嗟に防御の体勢に入ってたお陰か、ダメージはそこまでない。
しかし、この肌に感じる強さは、魔王の配下、それも精鋭のそれだ。
着地した瞬間、アーロンは俺に魔法を放つ。
これは…闇の魔法の最上の位、世界を覆う闇、こんな所で放つのか! 俺は、剣を抜き、相殺する為に輝きを統べる者を剣から放ち、二つの魔法は空中でぶつかり、目論見通り、相殺するが…二つの魔法がぶつかった余波で、辺りに相当な衝撃が来る。
騒ぎに駆けつけた、執事のマルケスや女騎士アラン、アーロンの娘、息子である、ジョン、サーシャ、そして…ロベルトが来た。
「ドモンさん! これは…」
ロベルトが聞いてくる、変貌した父親…いや、息子を体を乗っ取ろうとした、魔族の一人に目を見開いている。
「お前の父親は、魔族だったんだ、お前の体を目当てのな! 」
「そんな…父さんが…」
「ロベルト、下がってろ、アラン!! ロベルトを守ってろよ、あと、他の子供もな! 」
「わ、分かった、ドモン……お前は一体…」
「今更だが、これでも勇者でな、ドモンって名も偽名だ、本当の名は…後でな! 」
「フフ、本当に今更だな、勇者よ」
空中から降りてくるアーロンは余裕綽々の様子だ、俺が勇者である事を知っているにしても相当腕に自信があるようだ。
「以外だな、メアリーでも人質にとって俺の戦意を削ぐなり出来るだろう、アーロン」
「真の強者はそんな事はしないのさ、まあ、クリソベリル様なら、したかも知れないがね、あの方は人間の苦しみが何よりの娯楽の方だった」
お前は違うのか? と聞くと私はそんなもんには、興味はない、ただ、人間の生活に混じり、その文化、文明を愉しむのが、私にとっての娯楽だと答える。
悪いが、その為に罪なき人の体を乗っ取るのは、見過ごせないと俺が言うと、アーロンは笑った。
罪なき者などいないと、それは、勇者であるお前だってそうじゃないのか? と俺はガーネットの事が頭に過る。
アーロンは図星のようだなと、勇者よ、私の平穏の為にここで、死んでくれと言う。
俺は…俺は、それは断ると言い、アーロンに斬り掛かった。
アーロンはそれを避け、近距離で魔法を俺の腹部に放つ。
爆炎よ踊れ、炎の上位魔法だ、だが…それを避けずに受けた。
「妖精の加護か…」
「御名答、アーロン……お前には全力の半分で倒す」
「何だと? 」
俺は、纏っているマントを脱ぎ捨てた。