斬る斬る斬る斬るキル
夢を見た、魔王討伐の旅の時のだ。
向かってくる、魔族、魔物、殺し屋達を斬り捨てる。
剣は赤く染まり、血飛沫がこちらにかかる。
勇者の魔王討伐の大義の元、魔王に与する者達を、俺は斬り伏せていった。
だが、勇者としての行いとしては、正しいと信じたこれらは、魔王討伐を終えた俺にとっては、本当に正しいものだったか、幼い頃から親友だったガーネットを手にかけて、俺がしてきた事は、正しいのか?
ロベルトに刺客として、差し向けられたジュエルの連中は結果的には殺さなかったが、俺にはいつから、壊れた心で、殺そうとしてた。
それが、ロベルトの父親のダイヤを斬り、これも、結果的には、ロベルトを救ったと思ってるが、いや、俺は…何を考えているんだ。
魔王にしろ、勇者にしろ、勇者は無数の屍の上で魔族、魔王は、人間、エルフやドワーフの亜種族の上で、互いの種族の勢力争いに、躍起になってるだけで、正義なんてもんは、ただのお飾りに過ぎないのでは……苦しい、俺はロベルトに、こんな俺がロベルトに教える事なんてあるのか?
俺がベットでうなされていると、誰かが、俺の腹にドッスンと肘打ちをかましてきた。
アリスだ。
「アンタ、うるさいのよ! うーん、うーん、ってうなされて、それでアリス様の世界征服が達成出来ると思ってるの! 」
「まだ、そんな事言ってるのか…俺はそんな覇業には興味はないと言ってるだろう…」
俺達は、裏魔術会を名乗る、十人の魔術師を王国の騎士団に引き渡し、ミハエルの勧めで、宿屋に泊まっていた。
ロベルトはとっくの内に、母親に万能薬を飲ませてるだろう。
あっちには、アランもいるから、賊の心配はない。
それより、このアリスのお転婆ぶりが、凄まじい、十人の魔術師を騎士団に引き渡しのも彼女だ。
世界征服、世界征服とうるさいし、今後の旅に彼女を連れていくのは、骨が折れそうだ。
かといって、置いていくのも、何しでかすか分かったもんじゃない。
宿屋で相部屋であるにも、関わらずも彼女はどこ吹く風だ。
「なあ、何でそんなに世界征服に拘るんだ? 」
「そんなの、決まってるわ、私の存在を世界に知らしめて、この王都にあるのより、でっかい城で悠々自適に暮らすのよ」
「今でも悠々自適に見えるんだが…」
「うっさいわねぇ、そんな事より、アンタは何か凄い思い詰めてるようだけど」
「ああ…それはだな」
あの裏魔術会と名乗る奴らが、俺が世界の調和を乱す者と、話してた事だ。
だが、アリスは俺の話を笑ってた。
「アハハハ、アンタが世界の調和を乱すなんて無理よ! 勇者だと言うから、どんなに肝が座った奴かと思ったら、ウジウジと悩んでいる弱虫さんじゃない」
「………あんたはいいな、悩みなんてなさそうで」
「馬鹿にしないで、悩みならあるわ」
「何だよ、悩みって」
「世界征服をどうやってやろうかって」
ハア……誰か、この女に品性というのを教えてやってくれ、俺は、何だか疲れたよ、そして、眠気に任せて、再び、睡眠に入った。
翌日、俺に会いに来た奴に、びっくりするのも、この時は知らなかった。




