世界の調和を乱す者 二
俺をつけてた者を人のいない時間まで、待っていると、そいつは現れた。
そいつは男だ、フードが付いた法衣を着て、見るからに俺に敵意がある雰囲気を醸している。
男は持っている杖で、魔法陣を出すと俺に魔法繰り出したくる。
属性は氷と風の複合魔法だ、氷塊と鋭い風の刃が襲ってくるが、俺はそれらを魔力を込めた剣で全て捌き、無効化する。
「流石、勇者ですね…いや、今となっては世界の調和を乱す者!! 」
世界の調和を乱す者? 俺がか、身に覚えはないが、こいつを捕えて吐かせるか。
俺は男の方へ、一気に間合いを詰め、剣を振りかぶると、別の方から魔法が飛んでくる。
それをマントで防ぐ。
鋭い石礫だ、土の魔法を…こいつ以外にも、複数いるみたいだ。
男以外にも…何人いるんだ? さっきは感じなかったが、十人くらいか。
それぞれ物陰から、俺を狙って、もしくは阿吽の呼吸で協力して、俺を倒そうというのか。
だがな、今更、複数戦なんて魔王討伐の旅で幾度無く、くぐり抜けてきて来てるんだよ、こっちは!
とりあえずは、物陰から隠れてる連中を倒してやる。
一人目は建物の屋根からこっちを狙っているので、投げナイフを投げる、魔術封印の刻印が刻まれた特製のナイフだ、受けた者は魔術を使えなくする。
二人目は…いや、四人で固まってるなぁ…それならば、俺は路地に固まってる四人を見つけ、素手でそれぞれ、顎、側頭部、肋、脳天に一撃いれて、無力化する。
残り、五人……んっ、なんだろう…気配が無くなった、何故だ。
だか、原因はすぐに分かった、金髪のオッドアイの少女が鉄甲を着けて現れる。
「ちょっと、アンタ狙われ過ぎよ、気をつけなさい」
「アリスか」
「アリス様よ、敬意ぐらい持ちなさい、アンタを狙った賊もとっちめてやったんだから」
「ロベルトと一緒に行かなかったのか」
「うん、アンタが何やら不穏な気配に気付いていたからね、こっちの方が面白そうだったから」
なんちゅー女だ、こいつ等も決して雑魚ではないぞ、ただ、俺には及ばんというだけで…とんだお転婆娘だ。
「そんな事より、何を企んでいたか吐かせましょうよ、勇者のアンタを狙った理由をね」
「ああ…そうだな」
こいつ等は、見る所、ミハエルの言った聖教騎士団では、無さそうだ、殺し屋ジュエルの手先でも無さそうなんだよなぁ……じゃあ、何者なんだ。
「ほら、さっさと吐かないなら、この自白剤を飲ませるわよ」
アリスが不気味な笑顔で、脅しているが…こいつ等に聞くのだろうか? すると、連中の一人が参った様子で俺に喋った。
「あんたは世界の調和を乱す者として、裏魔術会であんたを討伐する事が決まったんだ」
「なんだよ、世界の調和を乱す者って、まるで俺が魔王みたいな扱いじゃねーか」
「正にその通り、あんたは勇者でありながら、魔王の素質を持っているんだよ」
俺が……魔王の素質だと…。
「こらぁ、アンタ達、仮にも私の部下の勇者を魔王呼ばわりって、見る目が無さすぎよ、いいこと? 世界征服するのは、わたしよ」
その場の空気は、一気に凍りついた。




