本気なのか?
アリスと言う、この女は何処まで付いてくるんだ? 後ろから付いてくるのを無視し俺は王都にある聖職者の寺院に向かっている。
そこには、嘗ての仲間、ミハエルがいる。
彼女に、ロベルトの母親の薬を作って貰おうと思ったからだ。
暫く歩くと寺院が見えてきた。
「ねぇ、勇者トウドウ、アンタは私に力を貸しなさいよ、世界征服を達成した暁には、そうね…世界の四分の一くらい、分けてもいいわよ」
「アリス様…いや今は、王家から追放されてるんだっけ、アリス、俺はそんなもんには、興味はないし、部下にもならない」
「勇者って、結構ケチねぇ、それに寺院なんかになんの用事があるのよ」
「それは、ある人に薬の調合を頼もうと思ってな」
「あーー、分かった! アンタの仲間のミハエルちゃんね、私、会ったことあるわ! 」
結構、お喋りだな、それにしても、ミハエルは会ってくれるだろうか…以前の手紙では、文面から怒っているのが、ひしひしと感じたからな。
寺院の受付に、ミハエルに会いたいと伝えると…受付の娘が、「ミハエル様なら二階に居ますよ」と答えたので、二階に向かう。
寺院は、一階から五階まであり、おびただしい数の書物がある。
歴史から、魔物の種類、薬の調合まで、それはもう常人には覚えきれないくらいの書物が溢れ、ミハエルは、この書物の七割を覚えているという。
そして……二階に上がるといた。
法衣を身に纏い、腰まで伸びた黒髪の彼女、ミハエルが。
「よう…」
「…………」
「実はよ…」
「はぁ……大体の事は察してますよ…トウドウ、なんというか……貴方は勝手な方ですよね、まあ、私達に何も言わず旅に出たのも、ガーネットの件があったからでしょうし…」
「すまねぇな…」
謝る俺に、溜め息をつき、彼女は懐から薬瓶を出した。
「ロベルト君だったね、君も大変だね、この男に振り回されてない? 」
「いえ、トウドウさんはそんな方じゃないです」
「フフ、これは万能薬だ、私、ミハエル特製のね、お母様に飲ませて上げなさい、病弱の体に凄く効くから」
「ありがとうございます、ミハエルさん! 」
ロベルトは万能薬を受け取り、喜んでいる。
これで、ロベルトの心配ごとはなくなるな。
「ちょっと、何さ、私も話に入れてよ、独りぼっちみたいで、惨めじゃない!! 」
ああ、そういえばいたんだ、アリス。
「トウドウ、この方、アリス様じゃない、どうして一緒にいるの? 」
「ああ…それは、だな」
アリスが権力争いに負けて王家から追放された事、そして、何をトチ狂ったのか、世界征服を目指すとか言い出して、俺に協力しろとまで言うのだ。
さっきから、付いてくるし…。
「フフ…アリス様らしいですね、お城にいた頃から、お転婆な方だと思っていましたが…」
ミハエルが珍しく笑っている……どうやら、相当な珍事らしい。
「こらー、そこ笑わない! 私が覇業を成し遂げるのを、見ておくことね! 」
「ごめんなさい、アリス様、でもアリス様が世界征服したら、案外、世界は平和になるかもですね」
「分かってるねーー、流石、勇者の旅の支えにも、なった人ね、見る目がある! 」
この女……本気で世界征服を目指しているのか? うーん、だが、ハッタリでも無さそうなのが、また……仮にも王家にいた女だ、やりかねんと思わせてくる。




