壊した家庭、そしてロベルトの決意
魔王クリソベリルの配下であるアーロンいやダイヤを俺は討った。
しかし、歪んでいたとはいえ、そこにあった家庭を俺は、壊した。
ダイヤはどういう思いで、この家庭の日々を歩んでいたとか、正妻メアリー、その子ども達のジョン、サーシャは夫、父親を見ていたとか…俺は、同じく息子のロベルトの為とはいえ、これが最善の方法だったのかと自問自答してしまう。
それに追い打ちをかけるように、メアリーから「この人でなし!! 」 ジョン、サーシャからは「パパを返してよ!!! 」 「いつか、あんたを殺してやる!!!! 」 それは、奪われた家族の必死の嘆願であり、俺への批判だ。
俺は、剣を鞘にしまい、散々の批判を背にロベルトの方に向かった。
側にいた女騎士アランは、何とも言えない顔をしていた。
執事のマルケスも同様だ。
そんな修羅場さながらの空気の中、俺は、ロベルトに言った。
「………ロベルト、俺の旅に付いてこないか? 」
「えっ……」
ロベルトは動揺してる、今、それを言うのかと。
だが、俺は言う。
「お前は今まで、この狭い世界で生きてきた、俺はお前の父親を殺めた、その真相も意義も旅を通じて、お前が解釈すればいい…憎き父親の仇として俺を殺したいなら、そうすればいい、そこのお前の兄妹のようにな、憎んで恨んで…俺の寝首を掻けばいい」
「ドモンさん、いや、トウドウさんってズルいですよ…僕に選択肢を与えてるようで、その実、僕の生き方を決めてるじゃないですか…」
「決めるのは、お前だ、どうする? 」
ロベルトは拳をギュッと握りしめ、俺の提示した旅に付いてくるか否か、悩んでいる。
そして…
「行きます、僕は貴方の旅に付いて来ます」
「お坊ちゃま!」
「ロベルト様!」
ロベルトの決意表明にアランとマルケスは驚き、更にアランの方は反対している。
「お坊ちゃまは、旅と言うのを軽く見てます、道中、危険な魔物や盗賊だって…」
マルケスの方も「ロベルト様、アラン殿の言う通りですぞ!」
だが、ロベルトの決意は固かった。
「アラン、マルケス、ありがとう、でも僕は知りたい、この世界、そして勇者と呼ばれてる人がどんな人かを! 」
「お坊ちゃま……ドモン、いや、勇者トウドウ殿と呼ぶべきだな、私も同行するぞ! 」
アランも主人の行く末を案じてるのだろう、俺はそれを了承する。
だが、マルケスは困っていた。
「しかし、ロベルト様が出ていかれると、母君はどうされるますか? メアリー様はきっとロベルト様の母君、ジャンヌ様を見捨て、毎月の仕送りも…」
金の問題か……それは深刻な問題だな。
俺は一計を案じる。
それは、王家からの報酬金だ、魔王クリソベリルを討ち倒した功績はまだ効力はある。
だから、王都へ向かう事にした。
その事をロベルトに伝えると、「いいんですか? そのお金はトウドウさんの物じゃ…」
構わないと言った、それに旅の最中に世話になったのは、俺も同じだと、ロベルトに伝える。
ありがとうございますっとロベルトは言った、だから礼には及ばないって、目的も決まり、マルケスが王都までの馬車を用意すると言い、その場から離れて言った。
そして…ロベルトは俺の方を見て、言った。
「僕は…トウドウさんを恨んでいませんよ」
それは、本心なのか、それとも、俺の警戒心を解くための言葉なのか、それは、きっと…神様だって分かりゃしないな。




