魔王の配下の生き残り 二
マントを脱いだ俺の体からは、漲る魔力に満ち足りていた。
「貴様、それで私を倒せるとでも…」
「倒すさ」
人間離れした動きで、あっと言う間に距離を詰める。
「あっ…」
俺は、近づいたアーロンに八連撃の剣閃をお見舞いした。
その攻撃で体中から血を吹き出した、アーロンはその場に跪く。
「くっ……まさか、勇者がこれ程の力を有するとは…」
俺は、アーロンに何故、魔王との戦いに来なかった?と聞いた。
先程のやり取りで忠誠心も全くなかった訳では、ないと感じたから、魔族の頂点に立っている、あのクリソベリルと俺達、勇者との戦いに参加しなかったのは、妙だ。
それに、アーロンはこう答えた。
「魔族と云えど、クリソベリル様は寛大な方でな、我々には戦いの強制はしなかった、あの方は、あくまで、魔族の誇りを自ら示すこそが、魔王としての矜持だと以前、会われた際に仰った…だが残念な事に、貴様ら勇者に討ち滅ぼされた…せめて、勇者である貴様を私が討ち、魔族としての義理を果たそうとしたが……この様だ…」
アーロンは、そう語る。
俺に、嘗ての親友を戦わせる、狡猾な魔王像とは、違い、同族には寛大で気配りが出来る良き支配者としての在り方が、アーロンから伝わった。
そして、更に語る。
「あとな…勇者よ、貴様には理解出来ないだろうが、魔族と人間、互いに相容れない存在、ここでの生活は、歪な物だろうが…生活は成立はしてただろう…」
何が言いたいんだ。
「何か意味深な語りだが、ロベルトの体を狙ってた、お前に…」
「あなた!!」
「「パパ」」
俺が言いかけると、正妻のメアリーとジョンとサーシャの子供達がアーロンに駆け寄る。
その光景は、アーロンの言う歪ながらも、魔族と人間が共に営みを歩んでいた証拠だった。
魔族として変貌してたとはいえ、傷付いたアーロンに軟膏薬を塗る、メアリー、パパ、パパ、と必死に声をかけるジョンとサーシャ、俺がやったことは……。
ロベルトを助ける為とはいえ、一つの家庭を壊したのか…俺は、メアリーやジョン、サーシャに聞こえるように言った。
「アーロン、お前はもう助からんが、黄泉の手向けに俺の名を教える、俺はトウドウ・ギョクズイだ」
「フフフ、黄泉の手向けか…ならば…こちらも魔族としての名を言おう…ダイヤだ……妻よ、私の子供達よ、そう泣かないでおくれ、せめて笑顔で逝かしてくれ」




