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第二十三話『ASMRオフコラボ、開幕』

 しろさんがデビューしてから、九か月。

 季節は五月。

 桜も既に散り、若葉が茂る季節。

 暑すぎず、寒すぎない快適な時間。

 そんなさわやかな時期に、しろさんははじめてのオフコラボ配信を開始した。




「こんばんながねむー。今日は、ASMRオフコラボをやるよ」

「はーいご主人様、こんナルキー。金野ナルキです。今日は、しろちゃんのお家にお邪魔してまーす」




 右耳からしろさんの声が聞こえて、左耳からはナルキさんの声が聞こえてくる。

 因みに、配信画面には二人の立ち絵がそれぞれ表示されている。

 メイド服を着たナルキさんが左側、学生服を着たしろさんが右側である。



【うおおおおおおおお!】

【始まった】

【両耳から聞こえるのヤバい】



 コメントにもあったが、コラボASMRはただコラボするというだけにはとどまらない。

 片方の耳からしろさんが、もう片方の耳からナルキさんの声が響いてくる。

 その快感は、単体のASMRとは一線を画す。



「今日はね、朝から来てもらってですね。一日のんびり過ごした後に、こうして配信をさせていただいております」

「今日は一緒にお風呂入ったもんね。おんなじシャンプーの匂いするもん二人とも」

「お風呂あがった直後にいきなり匂い嗅いできてびっくりしましたよ、ナルキさん。スンスン、スンスンって」




【解像度あがってきた】

【えっっっじゃん】

【これがてぇてぇってやつか】

【しろ金てぇてぇはあります】

【シャンプーの銘柄教えてください。飲みます】

【雑談配信で言ってたぞ。クッソ高い奴】

【しろちゃんの鼻息当たってる。最高】




 ちなみに、お風呂上りということで二人ともパジャマを着ている。

 しろさんは、薄いピンクのネグリジェ。

 肌の露出はさほどないが、普段可愛らしい寝間着を着ることが滅多にないため、正直見ているだけでどきどきする。

 鎖骨とか、くるぶしとか、別に性的でも何でもないはずの部位にものすごくフェチズムを感じてしまう。

 風呂上がりとかは、もっとヤバかった。

 上気した頬とか、湿気を含んだ髪とか、もう見慣れたはずの光景に対してどきどきしてしまう。

 これが、可愛らしいパジャマを着たことによるものだ。

 恐ろしい子!




「ごめんごめん。それじゃあそろそろ始めようか。うーん、ちょっと動きにくいね」

「……ああ」



 そして、ある意味ではもっとヤバいのがナルキさんだ。

 何がヤバいのかと言えば、胸部装甲である。

 しろさんが今日、可愛らしいパジャマを着ているのはナルキさんの目を意識してのことだ。

 有体に言えば、見栄を張った形になる。

 さて、ナルキさんは風呂に入れてもらうことまでは考えていなかったらしい。

 そもそも、今の彼女は生活リズムが大いに乱れており、夕方に風呂に入るという習慣すらない状態らしい。

 つまり、着替えをそもそも持参していなかった。

 


 それによって導かれる結論は何か。

 


「身長も、胸囲(・・)もあってませんもんね」

「あはは、今日はしろちゃんにパジャマも借りちゃってます」



 ナルキさんが現在来ているパジャマは、しろさんが来ているパジャマとデザインやサイズは同じもの。

 ただし、色だけが違う。

 しろさんがピンクなのに対して、ナルキさんは彼女のトレードマークである黄色のパジャマである。

 


 そして、サイズがあっていない。

 身長が足りていないせいで、ふくらはぎや臍が露出している。

 そして何より、胸部装甲の主張がとんでもないことになっている。

 間近に彼女の保有する大量破壊兵器があるだけで、理性と知性が崩壊してしまいそうだった。



【今パツパツってことか、えっちだなあ】

【ふぅ……】

【胸だけじゃなくて、太腿とかも張り付いてそう】

【しろちゃんもすごい緊張してそう】




「正直、すごく緊張してるよ。めちゃくちゃ距離近いからね。君たちの顔がなかったら息がかかってるんじゃないかってくらい。髪はかかってるし」

「おっと、ごめんよ。一旦、私の髪は君にかけておこうかな」

「ナルキさん、ダミーヘッドマイクはかける場所じゃないです」



 髪が私の頭部に触れている。

 触覚はないが、どういうわけかくすぐったく感じる。



「じゃあ、まずは耳のマッサージをしていこうか」

「はい、じゃあナルキさんは左側をお願いしますね。私は、君の右側をマッサージするから。とんとんとんとん」

「じゃあ、ご主人様、丹念にご奉仕しますね?ごしごしごし、ごしごしごし」




 しろさんが、私の耳をタッピングする。

 一方、ナルキさんは私の耳をタオルで痛くない程度にごしごしとこする。

 



【いつもより三百パーセントくらいセンシティブなんだよね】

【両方から同時にマッサージされるの良すぎる】

【助かる】

【二人とも好き】



「しろちゃん、手、震えてない?大丈夫?」

「あ、ごめんなさい。ちょっとナルキさんと、君が近くて緊張しちゃって」

「そっかー。そういう時は肘を胸にあてて固定すると、震えにくくなると思うよ」

「それ、ナルキさんだからじゃないですか?あ、でも止まった」




 しろさん、やっぱり緊張しているみたいだな。

 まあ、本当に至近距離にいるから仕方がないけどね。

 あと、見えているわけではないんだけど、ふたりとも会話でしっかりと胸部装甲について匂わせてくるんだよね。

 二人ともとんでもないものをお持ちなのでそういう話をされるだけでもどきどきしてしまう。

 さて、ふたりともマッサージを続けている。

 ナルキさんは、タオルマッサージを、緩急を続けつつ継続している。

 しろさんは、タッピングで耳のあちこちをうるさくない程度に音を立てている。



「気持ちよさそうだね、良かった」

「こうやってとんとんされるの好きなんだねー」



 くすくす、と小さな声で二人は笑いあう。

 二人で相談しながら、視聴者()に対して奉仕しているようなシチュエーションに、コメント欄も活性化しているようだった。



「じゃあ、交代しようか」

「そうですね」



 今度は、右耳担当のしろさんがタオルによるマッサージを、左耳担当のナルキさんがタッピングを始める。

 ごしごしごしごし、としろさんの持つタオルが耳介を丹念に拭いていく。

 さらにそこでとどまらず、タオルを指に巻き付けて耳道までこすってくる。

 先ほどとはまた違う刺激が加えられる。



「とんとんとん、ふうぅぅぅ」

『~~!』



 ナルキさんもまた、タッピングだけにはとどまらない。

 タッピングだけではなく、耳道に吐息を吹きかけてくる。

 しろさんよりいくらか厚みのある唇から吹き込まれる吐息が、耳の中をくすぐってくる。

 タオルと、吐息。

 両耳の中を同時に責められる快楽に、脳みそが侵食されていく。



「じゃあ、お次は耳かきをしようか。今日は、ふたりで一緒に梵天を使っていこうと思います」

「思いまーす」




 しろさんがタオルを置き、足元にある梵天を取り出す。

 ナルキさんも、それと同時に自分の分の梵天を手に取る。

 因みにタオルとか梵天とか、使う道具一式は、ナルキさんも持ってきているみたい。



【思いまーすってナルキちゃんが続けるの仲良しで良き】

【両方耳かきされるの楽しみ】

【これ耐えられるのかなあ】




 私にとって、視聴者にとって。

 今日の夜は、いつもより少しだけ長い。

現在カクヨムというサイトにてコンテストに参加しています。

良かったらリンクをクリックして、応援をよろしくお願いいたします。

https://kakuyomu.jp/works/16817330649978711652



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