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第二十二話『収益化記念、感謝のマシュマロ読み 其の三』

「えーと、次は企画とか関係ない奴だね」



【ブレザーのボタンを上げ下げしてほしいですハアハア(センシティブ発言)】

  



「そもそも、なんだけどこれはどういう意味なんだろう?ボタンを上げ下げなんてできるはずがないんだけどなあ」

『まあ単純に、服を脱いでいるところを見たいってことなんじゃないんですかね?』

「あー、脱いでほしいのか。でも、ブレザーもシャツも大して変わらないんじゃないかい?」



 まあ、現役女子高生のしろさんからするとそうだろうな。

 たぶん彼女にとっては、暑いか寒いか、あるいは服を着る手間が一枚多いかの違いでしかないんだろうと思う。

 だが、視聴者たちにとっては、違う。

 私には、わかる。

 画面の向こうにいるはずの彼らと、確かに心が通じ合っている。



【わかってない、わかってないよしろちゃん……】

【シャツ一枚になったしろちゃん、スケベすぎる!】

【透け……いやなんでもありません】


 

 白いシャツ。

 そしてうっすらと透けるインナーや、小麦色の肌。

 ブレザーを外せば、その時点で既にもうそこは別世界なのだ。

 ロマンが詰まっているのだ。

希望が、この腐り切った世界を照らしうる、世の光が私達には見えているのだ。

 男子高校生ならば、あるいはそれを経験した者達ならばきっと理解できるはずだ。

 それこそが、男の性、というものだ。

 そもそも、一枚服を脱いだというシチュエーション自体がスケベなんだよね。

 あんまり言いすぎるとしろさんがドン引きしかねないので、口を閉ざすけど。



「結構、みんな服一枚脱ぐだけでだいぶ変わってくるんだね……。まあ、今後の参考にするということで。新衣装、やるってなったら夏服とかがいいのかな?」



 あれ、ちょっとしろさん引いてない?

 いやまあ、引かれても仕方がない類の話ではあるけど。

 ただの下ネタだし。

 ともかく、そんなマシュマロを戻して彼女は次のマシュマロを取り出す。



「ブレザーがらみだと、こういうのも来てたよ」



【そういえば、しろさんは8月なのにブレザー着ているんですね。最近はそういうものなのか、単にブレザー好きだからなのか……】



「ふっ、ふっ、ふっよくぞ訊いてくれたね。実は冥界は日が当たらないから、暑さとか無縁なんだよね」




 因みに、出会った当初に文乃さんはブレザーを着ていたが、あれはどうやらうっかり出かけるときに間違えてきてしまったものらしい。

 学校に行く際に、車の中で脱いで、また車を降りて家に入る際に羽織ったのだとか。

 そんなことを聞いた。

 なんとなく、気になって訊いたのだが、ただ単に彼女が冷房に慣れ切っていることを知っただけであった。




【それただの引きこもり……いやなんでもないです】

【強く生きて……¥600】




「いやあの、待って。別にずっと引きこもってるってわけじゃないよ?今度出かける用事があるから、家を出ないといけないし」



【それで、その外出は何日ぶりですか?】



「あー、二か月ぶり?」



 因みに、しろさんがデビューしてからおおむね二か月である。

 つまり、活動を開始してからほぼすべての期間、彼女は引きこもって過ごしていたということになる。

 




「というわけで、今日のマシュマロ読みはここまで。ここからは、スーパーチャット読みをさせていただこうかな、と思っているよ」




 配信者の中には、配信の流れを切らないために、スーパーチャットの読み上げを配信終了後にまとめてやる人も多い。

 有料のコメントゆえに、配信者としてもなるべく読みたいが、読み過ぎると空気が逆に悪くなってしまう。

 そもそも、ASMRでもスーパーチャットをもらうことも考えると、まとめて読んだ方がいい。

 実際に、これでASMR中に読み上げたら興ざめというものであろう。



「その前に、一つだけ」



 彼女は、改めて真剣な声音で、顔で言葉を発する。



「今日は、マシュマロを読ませてもらったけど、本当にありがとう。全部、目を通しているし送ってくれていることが本当にありがたい。みんなの意見を取り入れて、しっかりとこれからも活動を頑張りたいと思っています」



 それは、彼女の本心からの言葉。

 今まで見てくれた人に、言葉をくれた人に対して、彼女ができる精いっぱいの言葉。



「じゃあ、改めて。おつねむー」



【おつねむー】

【おつねむ!収益化改めておめでとう!】

【これからも応援してます!¥700】


 


 その後、彼女は初めてのスーパーチャットの読み上げをした。

 その日は、彼女史上最長時間の配信となったのだった。

 

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