ショパン,ワルツ第7番
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別れを告げた日は、
私の世界が壊れた日だった。
自分で決めたことなのに
見知らぬ彼女を妬んでしまった
貴方が選んだ黒髪の彼女
どうして私ではだめだったのかと涙が止まらなかった
どれだけ激しく愛し合っても
貴方は私を自分のものにはしてくれなかった。
けれどいま、
別れて良かったと心から思う。
鏡のなかの私はすっかり痩せ細り、
貴方が愛してくれたからだの面影はもうどこにも無い。
病が私を蝕んで、
命の灯さえも残り少ない。
いちばん美しい自分でいられた時間、
貴方と共に生きることができた喜びが、
去り逝く私の宝物
私はあなたの記憶のなかでいつまでも
豊かで美しいからだのまま輝き続けるでしょう。
ああ、そうだわ
きっとこれが最後だから
ピアノを・・・
ピアノを弾かなくちゃ
私の大好きな、
あなたが好きだと言った、
ショパンの━━━━
私の指は空中の、見えない鍵盤を叩いてる
それでも聴こえる 私には・・・
さよなら、あなた
私の愛したひと
『愛してくれてありがとう』
あなたと交わした愛の時間を抱きしめて、
私は神の世界に旅立つわ
━━━ここで臨時ニュースを申し上げます。
オーストリア放送は、世界的な人気ピアニストのエリサ・シェーファーさんが脳腫瘍のため先月亡くなっていたと報じました。エリサさんは日本でも人気の高い女性ピアニストで、昨年三度目の来日公演を果たしておりました。29歳でした━━━