リアルな幼児・児童と、童話の乖離についての考察
童話を書くにあたって、迷路に踏み込んでしまった作者が、つらつらと書いただけの文章です。
※ご意見をいただいたので、少し補足を。
なぜ作者が、こんなにぐるぐると考えてしまったのかといいますと……
仕事柄、子育て相談にも関わりますが、
大人が良かれと選んだ本を「それではない」「理解はできるけど、つまらない」「そもそも絵本にも童話にも興味がない」いうお子さんの実態を複数、見聞きしてしまったからです。
まるで、大人が選んだクリスマスプレゼントに、がっかりする様子みたいだな、と。
「大人が読ませたい、感じてほしい内容」と「子どもが欲する内容」の差とは何で、どこから生まれるのだろう? という疑問について語っています。
まったく差がないケースがあることも、承知しています。
前置きがずいぶん長くなってしまいました。
失礼を。
「小説家になろう」で交流させていただいている猛者でさえ、難しい! と悩んでいる童話。
私なぞが手を出すまいと思っていたが、何となく書いてしまった。
さながら、遠距離恋愛中の彼女が、彼氏の家に突然「来ちゃった☆」と言わんばかりに「書いちゃった」
まだ、投稿はしていない。
書いてはみたものの、どうも主人公が幼い。
童話と言えば、お話の中に教訓があったり、情景をイメージする力や国語力をを伸ばしたり、人の心を慮るなど、いわゆる情操教育のツールの一つだと、大人になった今は捉えている。
しかし現在、等身大の幼児、児童向けの話とは、どのようなものだろうかと、迷宮入りしている。
キレイな世界で、可愛らしい子どもが何かを体験し、成長するものだけが読み物ではないよな、と。
つらつらと書いている、このエッセイの内容すら迷走している。
一応、私自身も、絵本やら童話やらを読んで育ってはいるし、それらの全てを「つまらないっ!」と思っていたわけではない。
きちんと起承転結はあるし、起伏もある。
ハラハラ、ドキドキすることもあった。
ただし、私は残酷描写に規制がかかる前の世代だ。
学生時代、童話作家という仕事も夢があるよね! なんて考えもしていたくらいだから、童話は好きである。
しかし、年齢を重ねるにつれて、幼児や児童の思考や行動に、読み物が追いついているだろうか、と疑問に思うようになった。
時代だって変わっていく。
子どもは、大人が思っている以上に、世の中や大人の行動を見ている。
子どもは純真無垢なだけの生き物ではない。
わりと強かだし、叱られないための嘘もつける。
どこで覚えてきたのだ? というセリフを使うこともある。
それが最初は、テレビや大人の真似事であっても、わりと早くに真相を掴むようになる。
まるで世の中の全てを知っているような、酸いも甘いも噛み分けてきたように語る節もある。
それを大人が笑ったりすると、憤慨する。
本人たちは、いたって真剣に話しているのだ。
そして案外、その内容が的を射ていたりする。
大人が建前で隠すことを子どもは隠さないため、ギョッとすることもある。
つまるところ、やはり子どもは世の中をある程度、正しく理解しているのだ。
大人と同じように、人間の汚いところも、優しいところも、多かれ少なかれ知っている。
読める漢字と知っている単語が少ないだけで、本質を見抜いてしまう子どもたちを、たくさん見てきた。
彼らを楽しませ、間違った道に誘わない読み物とは何たるかを、いつか私は掴むことができるのだろうか。
映像であれば、『鬼滅の刃』で大人よりも号泣することができる彼ら。
残酷描写にケロッとしていることにも拍子抜けするが、それよりも、キャラクターの機微をきちんと理解し、共感していることに驚く。
小さな体には、大人と同じくらい、場合によっては大人顔負けな感性が詰まっているのだ。
現代のリアルな子どもたちに向けた物語を書くとすれば、大人の娯楽にも十分成り得る物語が出来上がってしまうように思う。
子どもたちを、乳児から幼児になっただけの、汚れを知らない天使のようだと見くびると、おそらく痛い目をみることになる。
しかし、あまりにも大人びた内容だと、「子どもたちには相応しくない」と大人は捉える。
さて、どうしたものか。
リアルな世界を生きている幼児、児童向けの物語とは、これいかに。
ちなみに、
物語にあまり興味がない幼児たちは、何の本なら好きかと尋ねてみると「図鑑」や「乗り物系の本」という答えが複数あった。
なるほど、ストレートに視覚から入る情報は大きい。
大人でも図鑑ブームがあった。
今もあるのだろうか?
生物の大きさの対比や、走るスピードを比較したものなど、大人が読んでも面白い。
私も欲しくなる時がある。
そして、その図鑑などに負けない物語とは? と同じループにはまっていくのだ。
勝負する対象が間違っていることは重々承知のうえで、やはり物語も読んでほしいなぁ、とは思ってしまう。
また、まだ文字の読み書きもあまり出来ない子が、一般的な幼児向けの本を、
「こんなの子どもっぽいから、いやだ!」と言うパターンがある。
そんな時、驚きながらも「おぉ~大人だねぇ」と言うと、
ふふん、そうでしょ? とばかりに誇らしげにする。
「あなたの年齢に合うのは、この本なんだから読みなさい!」とは言えないよなぁ、と。
強要すれば、きっと、何かが歪んでしまう。
「じゃあ、どんなのが良いかなぁ?」と尋ねると、少し上の年齢向けの本を選ぶ。
そして、背伸びをしているのではなく、本当に楽しそうに話を聞くのだ。
あぁ、この子の精神年齢は実年齢より少し上なんだなぁ、と感じさせられる。
それが、その子の生まれ持った気質によるものか、養育環境が影響しているのかは分かりかねる。
本でも、おもちゃでも、ゲームでも、「○歳相当」とは、よく言ったものだと思う。
これ、後書きなんですかね?
本文のような……
お読みくださり、ありがとうございました。