表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

2 俺は予言者じゃないのに

「私は徳川慶喜。そなたは?」


え、徳川慶喜?え?


えっ、ええ?


「えっと、その、霧麓きりふもと流星りゅうせいです」

「なるほど、武士の家柄なのか?」

「え、あ、いいえ、違います」

「ふむ。であれば、よほど位の高い豪商か?」

「あ、その、いいえ」

「どういうことだ?まさか、農民であるというのに、無許可で名字を名乗っているのか?」

「ちちち、違います。・・・ひっ」


いきなり腕を掴まれた。


「話を聞かせてもらおうか」


うわっ、何だかこの人警察みたいだよ。


で、今から俺は、刑事ドラマでよくある職務質問的しょくむしつもんてきなことをされるわけ?


有り得ないんですけど!


まだ状況もきちんと把握できていないのに。


まず、ここどこ?しかも俺の服、なんか和服に変わってるんだけどな。


ていうか、この徳川慶喜を名乗る人も、和服だ。


どうなっているんだよ、まったく。


「さてと、まずは茶でも飲め」


お、ありがたい。緊張すると、喉が渇くんだよなあ。


いきなり徳川慶喜ですとか有り得ないこと言い始めたけど、意外と良識的な人なんだな。


出された緑茶を一気飲みして、自称慶喜さんを見る。


「まず、お前はどうやってこの屋敷に入った?」

「分かりません。というか、ここはどこですか?」

一橋家ひとつばしけの屋敷だ。私は徳川斉昭とくがわなりあきの7男だが、この一橋家の養子に出されている。して、お前はなぜここに侵入した?」

「死んだと思ったらここにいたんです!あなたがもし本当に慶喜さんだとしたら、俺は未来から来たことになります!だから何かを盗もうとか、そんなこと考えてません!」


どうやら、必死の「俺は無実です」アピールによって、どうやら自称慶喜さんも、俺がただの侵入者ではないことに気づいてくれてたようだ。


「死んでこの屋敷に来たというのか。昔、母上がよく、それに似たおとぎ話をしてくれていたものだ」

「でも、おとぎ話じゃ無いんです。貴方ももうお分かりでしょう?」


自称慶喜さんは、しばらくは腕組みをして「う~ん」と唸っていた。


眉間みけんにしわがよっている。


「よし、そこまで言うのならば、信じることにしよう」

「ありがとうございます」

「ただし、条件がある。何か予言をしてみろ。未来から来たのであれば、これから先に起こることも予想できるはずだ。そうだろう?」


うう・・・何だかこの人鋭いよ。


もしかしたら、徳川慶喜であるっていうのも、噓じゃないのかな。


予言・・・うむ、予言か。


もしここで、井伊直弼が後に安政の大獄を起こすなんていったら、桜田門外の変が早期に勃発することになりそう。


いや、それもいいかもしれない。


こんなわけの分からないところに飛ばされたんだから、好き勝手していいよね。


「では、お知らせします。井伊直弼殿は後に、徳川家茂様とくがわいえもちさまを将軍とする為、慶喜様を将軍職に就けさせようとする人々を処刑・謹慎きんしんさせます」


その場の空気が凍りついた。



安政の大獄・・・井伊直弼が、徳川慶喜を将軍職に就けようとする一橋派を弾圧した政策の事。

この政策によって処刑された人々の中には、吉田松陰や橋本左内もいました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ