あら、最初の街に...
ふぅ、なんでこんな初日から拉致られて、やべぇ武器渡されたりするんだろうね。
しばらくは大人しく、ゲームを楽しむんだぁ。
にしても、これからどうしようか?
取り敢えず、このまま常設依頼の報酬をもらいに行くのは確定だな。問題はその後、選択肢としてはまた草原に兎とかゴブリンを狩りに行くか、受付で依頼をもらって他のモンスターを狩ってみるか、はたまた今日はログアウトするか。
そうだなぁ...依頼のモンスター倒しながら、兎とかも狩るってのもありだな。うん、そうしよう。
そんなことを考えてる間にギルドについたな。
どうやらあまり人もいないみたいだな。適当な所でいいか。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。ご用件は?」
「常設依頼の達成報告と、あと適当な討伐依頼を受けに来ました。」
「納品依頼の物はこちらのトレーに、討伐依頼ならそこのクリスタルにギルドカードを当てて下さい。」
う、うーん...これ絶対載らないな。流石にやっぱ狩すぎたか?
「すいません。納品の方確実にトレーに載らないんですけど。」
「あら、ではこの袋に入れていただけますか?アイテムボックスのスキルが付与されてるので見た目より入りますので。」
「了解です。」
えっと、クリスタルにカードをタッチと
(ピッ)
なんかあれだな、ICカードみたいだ。
で袋に入れてと...
「はい、お願いします。」
「確認させていただきますね。ゴブリンが531体、兎肉が211個、亀の甲羅...全て優ですね、これが114個ですね。...?えっ?あれ?す、すごい数ですね。」
あぁぁ、もう反応で分かる。流石に異常だったかぁ。
ちなみに兎肉は確定ドロップじゃなくて、皮か肉のどちらかが落ちるみたいだ。
「えっと、石亀の甲羅の評価が優なため買取額が5割増しになるので、報酬の方が合わせて24万5100Rとなります。また、これでユウ様はランクがDとなります。」
「金額はいいんですけど、Dに昇格ですか?Eが飛んでますけど。」
「大丈夫です。Eランクへの昇格条件は何か1つ依頼を受けることで、Dランクへの昇格条件は適正ランクの依頼を10個か常設依頼を20回達成ですので。問題はありません。」
「そうですか。では、ファウセン草原のモンスターの討伐依頼で良さげなのありますか?」
「その前に、報酬はギルドカードに入れておきますか?それとも一部硬貨でお渡ししますか?」
ギルドカードに入れる?なんだそれ?
「ギルドカード云々とはなんですか?」
「はい。Dランクからご利用いただけるのですが、所持金をギルドで預かる事が可能です。その場合、ギルド内の酒場および一部ギルド連携店舗ではギルドカードでお支払いいただけます。目印としては、先程のクリスタルがあればギルドカード払いが可能と思っていただいて結構です。」
なるほど。ギルドが銀行みたいな役割をするわけだ。つまりはギルドカードはクレジットカードかな?なんにせよ便利だな。
「じゃあ、4万Rは硬貨で残りはギルドでお願いします。」
「かしこまりました。では、続いて依頼ですが垂直鷹の討伐依頼などいかがでしょうか?」
「その垂直鷹について教えていただけますか?」
「はい、垂直鷹はその名の通り、上空から垂直に急降下してきて攻撃する事が特徴のモンスターです。畑を荒らしたりと迷惑なモンスターですが、敏捷が高く攻撃がいかんせん当たりません。しかし、モンスターとしては弱いので高速で動く相手に攻撃を当てる練習にもなるのでオススメですね。報酬はノルマ10体で1万5000Rで、それを超える分は1体につき1000Rお支払いします。素材はご自由にお使いください。」
なるほど、ならこっちに攻撃してきたのを避けて首を狩るか。いや、弓か魔法の練習台にしてもいいなぁ。うん、そうしよう。やるなら弓かな?現状、俺は物理攻撃の手段が多いし。
「わかりました受けます。」
さて、新しい獲物だ。
あれ?そういえば、アルルは?...寝てるな。道理でうんともすんとも言わないわけだ。
――――――――――――――――――――
ところ変わって再びやって来ました、ファウセン草原。
うん?回復アイテムとかは買わないのかって?買っても、どうせ一撃受けたら死ぬんだから意味ないよね。あるのか知らないけどMPポーションも魔法使わないからいらないしね。
さてと、パッとみた感じ、見える範囲に鳥はいねぇな。
しばらくは、アルルに首狩るのを見せるか。
「おーい、アルル起きろー。」
「ぷぅ?...ぷ!ぷぅ?」
「俺が今から、モンスターを狩るからな。おっと、その前に心構えみたいなのを言っとこうかな。」
「ぷ」
「最速で接敵、最速で離脱が理想だ。そして一撃で仕留める必要もある、少なくとも俺は一撃でも攻撃を受けたら耐えれないからな。そのためには無駄な動きは出来るだけ減らさないといけない。そこで役立つのがシミュレーションだ。いかに最速を出すのか、どうすれば無駄なく動き首を狩れるのか、一体どこを斬れば確実に一撃で倒せるのか。そういう事を先に考えておくんだ。想定外の事態への対応は取り敢えず即離脱ぐらいでいい。変に力むと狙いがズレたりするからな力の入れ方もイメージするとなお良いぞ。」
「ぷ!」
「分かったんだな?」
「ぷぅ、ぷぅ」
頷いてるしそうみたいだな。
じゃあ、始めるか...でも待てよ。俺根本的に弓使えるか?たしかにスキルのサポートはあるが、短剣を使った感じからして、そんなに強いモーションアシストでもないんだよなぁ。
もし、急に鷹に遭遇した時に弓を使おうとして使えないと困るな。先に一回ぐらい練習しとくか?
首狩武器には弓もあったよな?...あった。ん?矢は?
無い?無いっぽいな。多分、矢もいるよな?ファンタジー的な弓じゃないだろうし。あいつに聞いてみるか。
「フレンドコール、アキラ。」
『なんだ?ユウ。』
「今大丈夫か?」
『あぁ、問題ないぞ。』
「このゲームって弓使う時に矢もいるよな?」
『勿論だが、待て。お前弓にも手を出そうって言うんじゃないだろうな?』
「駄目か?」
『お前...あんな金食い虫やめとけ。このゲーム矢は消耗品だし、物理法則がリアルに再現されてるせいでただでさえ当てにくいのに偏差撃ちやら重力の考慮やらでマジ割りに合わない武器だ。しかも何故かNPCの店には矢が売ってないからプレイヤーメイドの物しかなくて割高だしな。』
「なるほどな。」
『お前武人なんだから、魔法使えよ。魔法の方が何倍も有用だぞ。』
「まぁ、考えてみる。ちなみに今どこにいるんだ?」
『俺か?今、セカウントだ。ファウストの次の街だな。知ってるか?こっちのセカトリ平原の敵の方が敵の強さは少し上だが、報酬が倍だぜ。エリアボス倒すのは少し骨だが、お前でも可能だしこっち来ないか?もう知ってる限り、お前以外のプレイヤーはほとんどこっちに来たぞ。』
「もうか?そんな急ぐこともなかろうに。」
『ファウストじゃ、金属系の素材が全く手に入らないんだ。こっちなら鉄とかなら手に入るからな。ファウストの物はセカウントから回ってるらしくてな、武器もこっちより割高なんだ。だから、掲示板とかでもゲームを始めたら多少無理してでもセカウントに来ることが推奨されてる。』
「俺は行かないかな。行くのはもっと準備を整えてからだ。」
『お前ほんとマイペースよな?すっげー石橋を叩くタイプというか、なんというか。』
「あ?俺は石橋は叩き壊してから、自分で頑丈な鉄橋を掛けなおすよ。ちゃんと安全に叩き壊す方法と鉄橋を掛ける方法を学んでからな。」
『それは用心しすぎだろ...だからいつもペースが違うのか。』
「なんだよ?用心に越したこたぁねぇだろ?」
『限度ってものがあるだろ...』
「はっはっはー。もう聞きたいことは聞けたし、そろそろ。」
『あぁ、じゃあな。』
「じゃあな。」
ふぅ、さて矢はどうしようかな?
せっかく、こっち(ファウスト)にプレイヤーがいないのが分かってるのに自重する必要はないよね?
せっかくのチャンスだ、貰った武器は全部使いこなせるようにしないとな。
タイトルの「...」に入るのは「プレイヤーがもういない」ですね
ユウに弓を使わないなんて選択肢はありません。
ファウストの街がゲームの最初の街なのに異質なのは理由があります。端的に言うと運営の意地が悪い。