すれ違いの桃太郎
むかしむかしある所に、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんもそれについていくことにしました。
おばあさんが川へ洗濯に行かなかったので、桃はどんぶらこ〜どんぶらこ〜と流され続け、拾われることなく鬼ヶ島までたどり着きました。
鬼ヶ島にたどり着いた桃は鬼の手によって真っ二つに切られ、中から元気な赤ん坊が生まれました。
赤ん坊は大事に育てられ数年の時が経つと、鬼から大事なことが言い渡されます。
「桃太郎。人間たちはこの鬼たちの姿を嫌いこの島まで追いやった。昔は広い土地で暮らしていたのだがなぁ……今は人間から食料を奪って生活しなければ生きていけん……だが、これでは人間とやってる事は同じだ。だから人間であるお前が、鬼との架け橋になってくれぬか」
桃太郎はその事実を知り、なぜだか分からないが心が痛くなりました。
必ず仲良くさせると鬼と約束し、きびだんごを渡されて船に乗り、桃太郎は広い土地へと向かいます。
広い土地に着いた桃太郎は、犬・猿・雉と出会います。彼らはきびだんごさえくれれば仲間になると言いました。
ただ戦う意思のない桃太郎は、「大丈夫。」とだけ言います。しかし、お腹の空いていそうなのを見兼ねて、きびだんごだけあげてから立ち去りました。
集落にたどり着いた桃太郎は人間と話し合うことを望みましたが、鬼の名前を出しただけで興奮する人々を見て、相手の事を知らぬまま迫害している事が、直感的に桃太郎は分かりました。
最初は平和的解決を望む桃太郎でしたが、自分を育ててくれた鬼のことをが馬鹿し続ける人たちを相手にして、怒りの沸点を超えてしまい剣を抜いてしまいます。
それには、さすがに人々も恐れますが桃太郎には周りが見えていません。目の前に居た人に斬りかかろうと剣を振った瞬間。先の犬・猿・雉が懸命に呼びかけてるのが聞こえてきました。
「攻撃してはいけない。」
「さっき貴方が言ったことです。」
「平和的に解決するのでしょう?」
3人に止められた桃太郎は我を取り戻し、鬼たちの良さを必死にアピールしました。最初は受け入れられない様な雰囲気でしたが、人々は今まで鬼のことをわかろうとしなかった事を悔いて、自ら恥じました。
人々は鬼を自分の土地に受け入れ、これから共に暮らすことを決めることとなりました。めでたしめでたし。