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幸福とレズ
彼女の声が聞こえた。
細い、風のような声。
もう人の言葉を成さない声。
その声に導かれるように。
私は銃身を動かす。
何時ものように。
狙って撃つ。
何度も繰り返した動作。
彼女との絆の証。
もう意識しなくてもできる。
ああ、きっと今の私は。
彼女と同じように。
機械仕掛けのような、冷たく恐ろしい眼をしているのだろう。
それは、きっと、とても幸せな事。
ずっと望んでいた事。
私は忘れない。
この感覚を。
このまま死んでしまっても。
人でなくなってしまったとしても。
きっと繰り返す。
彼女と一緒に。
ずっと。
ずっと。
ずっと。
完