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異世界転生後は自分らしく  作者: zawa
第五章 少年編
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復学

「結局あの爺でも、雰囲気すら偽装できるようなマジックアイテムは持ってなかったらしいな。それを娘にポンっと渡せる古代竜ってやっぱりすごいな」


 結局、俺の指輪のように魔力などを抑えて鑑定の効果を受け付けない指輪はあるが、フローゼが持っているような姿や与える印象までも偽造していしまうような高性能なマジックアイテムは見つからなかった。

 どうやら俺は隠しているつもりでも、経験を積んだ者からしたらBランクかCランクに見え、超一流の冒険者とかならほぼ正確に実力がわかるらしい。

 それにそもそも魔力を悟られないようにするならともかく、自分の雰囲気まではなかなか抑えるというのはできないものである。カリウス曰く、母さんからもらった指輪がなかったらもっとばれやすくなっているらしい。


「ウォル、フローゼとローマはどうしたらいい?」


 俺はこれから一度学校に行くつもりだ。眷属であるローマはともかく、学校関係者じゃない上に明らかに十歳にも満たない見た目のフローゼを連れて行くわけにはいかない。だが、この国の常識があるかどうか怪しいローマと、それがまったくないと断言できるフローゼを自由に王都散策させるわけにはいかない。二人がどんなトラブルをやらかしてもおかしくない。当然、ローマは学校に連れて行ってフローゼ一人で王都散策はもっとダメだ。


「そうだなあ。できればここに行ってお留守番してもらいたいけど、さすがにそれはかわいそうだよな。それに、そうしたら絶対フローゼは勝手にどこか行くだろ?フローゼは恥ずかしがり屋だけど、そのくせ好奇心は旺盛だからな」


「ウォル、フローゼのことよくわかってる。四年間一緒に暮らしただけある」


 ローマは学校に連れて行くこともできるが、フローゼはなかなか難しい。それに俺がこれから再び学校に通うとしたら、その期間のフローゼの行動も心配である。今日一日だけならともかく、さすがに俺が学校に行っている間ずっとここにいろと言われてもフローゼは絶対に納得しないだろう。


「それならばフローゼもいっしょに学校に通えばよかろう。儂が許可したと言えばあの小娘も許してくれると思うぞ」


 それは名案かもしれない。学校に通うことである程度の常識も学べるだろうし、フローゼの目的でもある人間たちの知識や技を学ぶということにもつながる。それに、学校に通うのはせいぜい後二年だ。フローゼが退屈することもないだろう。


「カリウス、それ名案。フローゼも学校行ってみたい」


 フローゼも乗り気である。これは決まったな。


「ならそうするか。じゃあ爺さん、念のため一筆書いてくれないか?校長も口頭だと動かないかもしれないけど、爺さんの一筆があれば理解してくれると思うから」


 この爺さんの影響力はこの国でもトップクラス、人によっては国王よりも優先することもあるほどだ。なんたってこの爺さんは誰がどう見ても今生きている中ではこの国最高の功労者だ。本人の希望から貴族になっていないとはいえ、その影響力はものすごいものである。この爺さんに恩があるとか言っていた校長もきっと要求を呑んでくれることだろう。


「うむ。それなら少し待っておれ、今簡単なのを書き上げるから」


 そうしてカリウスは、手紙の最後に自分が書いたことを証明する印をつけて手紙を書きあげた。


「ほれ。これを見せればフローゼも五年生から編入できるぞ。クラスもちゃんとウォルと同じにするよう書いておいたぞ。後、学校に行っている間は二人とも寮ではなくここに住むことにするのじゃ。フローゼを寮に入れるのは心配じゃし、かと言ってフローゼと儂の二人というのも味気ないしの」


「いいのか?」


 それは確かに願ったりかなったりである。確かに今のフローゼを寮に入れたら何やらかすかわからん。それなら三人一緒に住んだ方がよっぽど安心である。


「うむ。フローゼは儂の親友の子供じゃし、お主は儂の孫みたいなものじゃ。一緒に住んでも構わんじゃろう。それに、儂の書庫にある本は自由に読んでもよいぞ。お主たちのいい勉強になるじゃろう」


「まじで!」


 この家にある本をざっと見たが、そこにあるのは珍しい本ばかりだ。魔法関連の本から他国の本、それに昔の英雄や魔法使いの伝記に竜や魔族の生態など、家や学校の図書館で見た本とは比べ物にならないほど貴重な本だ。これほど貴重な本をたくさん読める人間はほとんどいないのではないだろうか?


「まじじゃ。そういうわけだから、今日学校が終わった後もここに帰ってくるんじゃぞ」


「了解」


 俺とフローゼ、そしてローマは手紙をもって学校に向かった。俺とローマにとっては懐かしい、約四年ぶりの学校である。




「そういえばフローゼ、その服はどうやって出してるんだ?フローゼが人化したときはそんなの着てなかったと思うけど」


「これは魔法。お母さんが人間は服着ないとだめって言ってたから練習させられた」


「すご!そんな魔法があったのか?ちなみにそれってどんな服を着るか自在に変えられるのか?」


「イメージができれば自由自在」


 つまりフローゼは、お金を払わなくてもいろんな服を着られるってわけだ。


「その服の魔法効果とか耐久性とかは再現できるのか?」


 服の中には特別な効果がかかったものがある。高価な素材を使っている服や特殊な技量を持っている職人が作った服だと、戦闘でも使えるような特殊効果が付与されていることが多いのである。


「それは無理。これはあくまで戦闘用じゃないからデザインだけ」


「そうか。じゃあその服ってフローゼ以外も着られるか?」


 フローゼ以外も着られるならば、素晴らしい商売ができるかもしれない。


「それも無理。これはフローゼしか着れない」


「つまりはフローゼ専用スキルか。まあ、フローゼの服を買う金が浮いただけでも良しとするか。フローゼ、その能力は誰にも見せてはだめだし、他の人に教えるのもダメだぞ」


 こういう特殊な魔法を使えることがばれたら、フローゼが怪しまれるかもしれないからな。フローゼはただでさえ学校では珍しい編入生、しかも高学年である五年生からの編入だ。フローゼは人間世界の常識がない。怪しまれすぎるといろいろぼろが出そうで怖い。


「わかった。このことも言わない」


「くまくまー。ウォル、学校が見えてきたくまよ」


「おお!そうか。四年ぶりな上にまだ四ヶ月しか通っていない学校だから、いざ見るとなんだか懐かしいというより新鮮な感じがするな」


 最初は懐かしいと思っていたが、そういえばまだ一年もこの学校で過ごしていなかったのである。五年生として復帰するのに、なんだか新入生のころのような新鮮な気持ちになった。


「ここがフローゼの通う学校?お父さんたちの倍くらいの大きさしかない小さいところ。お父さんとお母さんが暮らそうと思ったら無理そう」


「いや、それはフローゼのお父さんたち古代竜がでかすぎるだけだ。人間からすると十分広いし、フローゼからしても十分広いだろ?」


 魔の森でフローゼが住んでいたところは、オーロラさんたちが古代竜の夫婦である自分たち二人がいても狭さを感じずに過ごせるところというコンセプトのもと作ったところだ。あくまで広さだけで言うと王城よりも上である。


「確かに。フローゼたちなら十分な広さ」


「それじゃあ校長室に行こうぜ。早速フローゼをここの生徒にしてもらわなきゃな」


「うん。それに、吸血鬼も見てみたい」


「校長室の場所は覚えてる。こっちだ!」


 俺は学校の景色をフローゼに見せるためにも、テレポーテーションを使わずに校長室まで行った。幸い今は授業中だったようで、警備の人に会うことはあったが、学校の生徒や先生に会うことは無かった。


 警備の人に呼び止められたときはちょっとビクッとしたが、訳を話すとすんなり通してくれた。小熊と少年と幼女の組み合わせに油断してくれたのかもしれない。今回はそれで助かったが、校長のようにフローゼとほとんど変わらない見た目で百歳超えてる人もこの世界には普通に存在しているんだから、もう少し警戒するべきである。

 実際、俺とフローゼはこの学校を簡単につぶせるだけの実力は持っているのだ。もちろん俺たちはそんなことしないが、もうすこし警備は慎重にやった方がいいと思う。とても以前襲撃されて王女がさらわれた学校の警備とは思えない。


 俺はこの学校の簡単な警備に一抹の不安を覚えながらも、四年ぶりの校長室に向かった。




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