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異世界転生後は自分らしく  作者: zawa
第一章 幼少期
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状況

 俺が生まれてから一年が経った。

 

 この一年はとにかく現状把握を優先した。一年もすれば、いい加減俺の身に起こったことの現実は受け入れられる。というか、正直記憶を持った状態での転生など嬉しくてたまらない。誰だって人生をやり直してみたいと思ったことの一回や二回くらいはあるはずだ。


 転生できたことは嬉しい。だが、この世界は俺の生きてきた世界とは違うところがたくさんある。そのため、この世界のことを調べてどういう世界であるかを知らなければ、自分がちゃんとふるまえるかも怪しくなる。

 

 例えば、自分と同じ転生者がいるのかどうかとかだ。ここはおそらく自分の暮らしていた世界とは別の世界であるが、自分と同じように違う世界の記憶を持った状態で異世界転生又は異世界転移してきた者がいるかなども重要だ。俺は基本的に自分だけが特別とは思っていない。そして、異世界の知識というのは世界にとって毒にも薬にもなると思っている。

 また、自分のいた世界の常識で行動すると痛い目にあう可能性もある。幸いなことに自分は異世界転移者ではなく、赤ん坊になって母親から生まれた子供である。よって、両親に守られているうちにこの世界の知識を得て、現在自分がどんな状況に置かれているのかを知ることが大切だと考えて行動した。

                       



                       

                      

 行動しようとしたのはいいのだが、なんにせよ俺は赤ん坊だ。頑張って起き上がろうとしても起き上がれないし、しゃべろうとしても発声器官がまだ未発達だからかうまく声が出せない。だが、言語が日本語と同じなのか似ているのか、とにかく言葉は理解できていたので、周囲の会話を聞いたり時折読み聞かせてくれる物語だったりを聞いたりして情報収集をしていた。

 

 まず分かったのはここが地球じゃないどこかの異世界であるということだ。正直最初は信じられなかった。というか、そもそも自分が赤ん坊に転生したことが驚きだ。まだ夢だといわれたほうが現実味がある。だが、それは完全に現実だった。

 

 生まれた次の日は大変驚いた。なんせ、死んだと思ったらいきなり赤ん坊になっていたんだ。驚かないほうがおかしい。生まれた日は前世で急死したり、気づいたら赤ん坊だったりと唐突に荒唐無稽で重大なことが起こりすぎて一周回って冷静になれたが、次の日には自分に起きたことを完全に受け止めてしまい、かなり混乱した。確かに異世界転生には憧れていたが、実際起こると喜びよりも驚きのほうが強い。幸いだったのは、赤ん坊だったから取り乱しても泣くだけであるし、泣いたとしても何も不審がられなかったことだった。


 この一年過ごしてきていろいろなことがわかった。まず両親の名前だが、母がミネルバで父がルークという。また、俺には三つ上の姉のシオンがいて、その弟である俺の名前はウォルコット、家族にはウォルと呼ばれている。うちはこの四人家族だ。前世では弟がいたが、上の兄弟がいたことも姉妹がいたこともなかったから、姉の存在は新鮮な気分だ。


 シオンはお姉さんぶりたいのか、よく俺の世話を焼いてくれる。『幼女に世話されるなどどんなプレイだ!』と思わないでもないが、現実の俺はそれより小さい赤ん坊なのでどうしようもないから、諦めてされるがままにしている。


 また、俺が生まれたときにいた両親以外の二人の男女は、この町の領主であるロークス子爵家の当主であるクライフとその妻ミリムというらしい。なんでも、子爵家の当主と父と母がこの町で生まれた幼馴染でありかなり仲が良く、その妻であるミリムさんとも懇意にしているらしい。 

 

 現在は両親とも子爵家に雇われている。

 

 また、ミリムさんが言っていたうちの子というのはロークス子爵家の一人娘、フィーネ・ロークスだ。この子は俺より少し早く生まれている同年代の女の子だ。今はまだどちらも幼いので、どちらか、もしくは両方の親がいるときのみ一緒に遊んでいる。


 彼女と遊ぶのも悪くないのだが、いかんせん精神年齢が違いすぎる。そのせいで時折腹が立つこともあるのだが、一歳児相手なので何とか抑えている。彼女は幼いこともありわがままなので、よく俺のものをとったりしてきていた。しかし、まだ一歳であるので流暢に話すわけにはいかず、かといって精神年齢の高さのせいでフィーネに実力行使をすることもためらわれた。


「おーいー(おい、返せよ!)」


「や!」


「ウォル君、うちのフィーネがいつもごめんねー」


「ウォル!男の子なんだから我慢しなさい!」


「ウォル君かわいそーにね。あそこで一緒に遊びましょ。」


 これがいつものパターンだ。これを聞くと、姉のシオンだけが頼れる味方であるように思えるが、この姉はただ俺と遊びたいだけである。また、姉についていってもなぜかフィーネも移動してくるので、結局フィーネから逃れる手段はいまだ見つかっていない。ミリムさんは一応謝りはするのだが、フィーネの暴挙を止めることはせず、母に至ってはなぜか俺に厳しい言葉を投げかけてくる。


 情報収集とシオンに見つからないことを両立させるために、部屋にこもって本ばかり読んでいると、やはりフィーネが母親たちとやって来て本をとっていってしまう。そこでその本を読むのならともかく、本を読むわけでもない。まあ、本が破かれないだけましだとは思ってはいるが、やはり多少はムカついてしまう。


 こうして俺以外平和に暮らしながら、俺は自分のためにもがんばってこの世界に関する情報収集をしていった。






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