せんとう
「俺は何という愚か者なんだ」
俺はこの世界に来て自分の考えの至らなさを心底痛感した。
なぜこんなことも考えつかなかったのか、誰にでもすぐに考えつけることだろうに。もしかしたら転生した影響でそこまで考える余裕がなかったのかもしれない。もしくは現在の幼いからだが俺の意識を引っ張ていたのか。
それにしたっておかしいだろう。今の体に意識が引っ張られているとはいえ、俺の意識は高校生だ。そう、『体は子供、頭脳は大人、その名も、名探偵〇〇〇!』というやつだ。彼だって同じようなことをしていたのだ。なぜ俺もしないのか、していけなくないはずはない。本当に馬鹿だ。
俺は前世でもこれほどまでに自分を責めたことはなかっただろう。それぐらいを俺は愚かだった。
だが、今ならまだ間に合うはずだ。
はやく、はやく実行せねば・・・
そう、女湯に入るのだ。
『は?お前バカか?なに言ってんだ』こう思う人もいるかもしれない。しかし、健全な男なら誰でも一度を夢見るし、なぜ小さいころの俺はもっとこの光景を覚えておかなかったのかと思うこともあったはずだ。俺は今そんなチャンスを手に入れかけているのだ。
俺はまだ三歳だ。女湯に入ってもだれに咎められることもない。俺の前世の時くらいの年齢、およびそれ以上の年齢の男が入ったら間違いなく犯罪だろうし、捕まっても何の文句も言えない。それはこの世界でも同じだ。
いや、この町ではもっと大変なことになるかもしれない。
この町の頂点はもちろん領主であるクライフ・ロークス子爵である。そこに疑いはない。しかし、この町の最強は俺の母親でもあるミネルバだ。彼女の女性人気はすごい。強い女性ということで町の女性たちから尊敬されている。
それに、この町の領主の妻であるミリムさんとも仲がいい。彼女は母さんよりも年下であり、姉のように慕っているようだ。領主である子爵の妻であり、伯爵家出身の生粋の貴族の彼女がそれでいいのか?とは思うが、家臣ではあるが領主の幼馴染である母さんなら大丈夫だろうということらしい。それに父さんと子爵は大の親友だ。貴族と平民ではあるがよく遊んでいたようである。
ロークス家は貴族だからといって偉ぶったりしないし、領民との交流も普通に行う。ミリムさんもそのことがわかっていて、というかそれが良くてここに嫁ぎたいと思ったらしい。
そういうわけで、この町で最も敵に回してはいけないのは母さんなのだ。そして母さんは悪人、特に女の敵には一切容赦しない。
町で女性を無理やり連れ込んで犯したとか、それくらいの大きさなら母さんが出るまでもなくひどい目に合うが、町で女性にしつこく迫ったとか犯罪かどうか難しいところだと、母さんからの制裁が下る。
女湯を覗くのは、紛れもない犯罪である。
しかし、女湯を除いても衛兵に連れていかれて何らかの罰を受けるが、基本的には軽犯罪だ。しかし、母さんにかかると違う。
以前女湯を除いたやつが、運悪く現行犯で母さんに見つかってしまい、容赦なく魔法をぶち込まれた。その騒ぎを聞きつけた衛兵が来た時には、男は瀕死だったらしい。
さらに、刑が終わった後も女たちから冷たい目で見られ続けた。それがご褒美に感じられる性癖の持ち主ではなかったらしい。
中には女性に冷たい目で見られたり、お仕置きされたりするのが大好きで、なおかつ見境がなく人目をはばからない迷惑な男がいたが、そんな男も母さんのお仕置きの恐怖には耐えきれなかったようで、町を出て違う町で性癖を発揮させることにしたらしい。それも迷惑だとは思うが・・・
そんなこともあってこの町では覗きなんてするものはめったにいない。
しかし、俺の場合は覗きではない。入浴なのだ。
一見、もっと悪いことのようにも聞こえるがそこは三歳児、問題はない。
この世界で風呂に入る、つまり浴槽につかるにはいくつかの方法がある。
一つ目は井戸から水を汲んできてそれを薪かなんかで温めるというものだ。しかし、この方法をとるものは皆無だ。
時間がかかりすぎることと、この方法をとらざるを得ないのは魔法が使えず金もないものであり、そんなものは水や薪を風呂に使うくらいなら別のことに使うだろう。
二つ目は魔法を使う方法だ。といっても初級魔法である《クリエイトウォーター》と《ファイア》くらいじゃどうにもならない。大体は水を汲んできてから《ファイアーボール》なりの火魔法を撃ち込むか、水を大量に出せる魔法を使ってから火魔法を使うかだ。
この方法は水を大量に用意する魔法は魔力量がたくさん必要であり、風呂のためにマナポーションを使うものはいない。費用対効果が合わないからだ。それに中級魔法以上の魔法はある程度練習しないといけない。一般人では中級魔法以上、しかも火と水の両方の魔法を使えた上に、風呂を用意して沸かすだけの魔力量も必要となる。
ある程度の魔法使い以外では荷が重すぎる。
三つ目の方法は魔道具を使うことだ。この世界には様々な魔道具があり、その中には水を毎日決まった量まで出せるものや、なにかを温めることができるもの、冷やしたり明かりをつけたりできるものまである。
魔道具は高価なものも多く、例えば浴槽に使えるくらいの大量の水を出せるものはそれなりの値段がする。これに水を温める魔道具も用意するとなると、庶民にはなかなか手が出ない。風呂のためだけにこれを個人で保有できるのは、貴族や商人くらいである。
ちなみにうちは三番目と二番目の融合である。つまり、水は魔道具で用意して、火は母さんが用意している。
うちは母さんたちが冒険者時代に稼いだ金と、騎士団長と魔法顧問として稼いでいる金があり、かなり裕福だ。
冒険者は命を落とす危険がある仕事だが、その分実入りもいい。装備やアイテムには金がかかるが、上に行けば行くほど、それが気にならないほど稼げる。
母さんはBランク、父さんはCランクまで上り詰めた。
二人は子供を作り家庭を築くために、冒険者にしては比較的早い段階で引退している。実際母さんたちよりも高齢の冒険者はこの町でも珍しくない。
母さんたちくらいの年齢で引退する高ランク冒険者は珍しが、母さんたちのように引退後に貴族に仕える高ランク冒険者は珍しくない。もう一生暮らしていけるだけの金を稼いでセミリタイヤしようとしている高ランク冒険者は、貴族から声がかけられることが多い。
大抵は母さんのように魔法顧問だったり、軍事顧問、貴族の専用護衛になることが多く、父さんのように騎士団長になるものは少ない。これは父さんたちが早めに引退したこと、父さんがこの町の出身で町や騎士団に知り合いがたくさんいたこと、父さん自身が騎士団配属を希望したことが背景にある。
普通元Cランク冒険者だからといってすぐに騎士団長にはならない。父さんもそうであり、最初から騎士団長であったわけではない。もっとも、元Cランク冒険者なので下っ端スタートではなかったが。
父さんが早くに騎士団長になれたのは、ロークス騎士団の規模が大きくなく、父さんが入団したころには父さんより強い人がいなかったこと、当時の騎士団長が幼いころ父さんが剣を習っていた師匠であり、かなりの高齢で今はもう騎士団を引退してしまったこと、父さんが領主の親友であること、騎士団には父さんの知り合いも多く、元Cランク冒険者の力を認めていたことがある。
そんなこともあってうちはロークスではかなり裕福な方である。
うちは魔道具を買っても問題のない金と、母さんの魔法があるのだ。家に風呂があるのは必然である。
しかし、風呂には需要がある。そこで登場するのが、前世でもおなじみの銭湯だ。
この銭湯は自宅で風呂に入るのが難しい人たちのためにあり、比較的安めの値段で提供されており、毎日はいる者も少なくない。
母さんや姉ちゃんと風呂に入るのが嫌なわけではない。むしろ好ましいといってもいい。
しかし、それはあくまでも家族という意味だ。
母さんは控えめに言っても美人だ。年齢は三十を超えているが魔力が高いからか若々しく、二十代前半だといわれてもおかしくはない。胸だってちゃんとあるし、前世で声をかけられたら思わずついていっちゃいそうなくらいだ。
しかし、まったく興奮しない。これが肉親だからか、それとも三歳だからかなのかわからないが、とにかく少なくとも現時点では対象外だ。
姉ちゃんは言うまでもなく対象外だ。だって六歳だぞ。かわいいとは思うが全く性的に見れない。前世でも無理だ。これは肉親とかの問題ではないだろう。
俺はこの体だ。もしかしたらまだ女性の裸では興奮しないのかもしれない。それを確かめるためにも女湯に行くべきである。
これは実験なのだ。俺に全く下心はない。とは言い切れないが、とにかく女湯に行きたいのである。
俺はさっそく作戦に移った。
女湯に入るにはまず銭湯に行く必要がある。
しかしここで一つ問題がある。それは俺に銭湯に行く理由がないということだ。
我が家では自宅に風呂があるしみんな毎日入っている。
母さんは大の風呂好きであり、うちの風呂はなかなかの広さがある。四人で一緒にはいってもみんな足を延ばしてくつろげるほどだ。そんな風呂があるのに銭湯に行くのは金の無駄だろうし、さすがにたくさんの人が同時に入ることを想定して作られた銭湯のほうが広いが、不特定多数とはいるよりは基本的に心地いいだろう。
定番である『広いお風呂に入りたい』はうちでは通用しないのである。実際母さんに使ってみたが通用しなかった。
そしてもう一つの問題は、父さんが来ると男湯に入らされるかもしれないことだ。
俺は男であるし男湯に入るのが筋だ。それに姉ちゃんがいたとしても姉ちゃんごと男湯に入れられるかもしれない。前世でも小さい女の子が男湯に入ることがあったし、六歳で日本でいうと小学校に入るかどうかの年齢だ。男湯に入ってもまだ大丈夫だろう。
つまり、俺は銭湯に行く言い訳と父さんをうまく外すことの二つが要求されるのだ。なかなかに難しいものである。
だが俺は今日画期的な作戦を思いついた。それは姉ちゃんの早い時間のトレーニング後の風呂だ。
うちで風呂に入るには母さんがいないといけない。今のところ風呂を満足に温められるのは母さんだけだからだ。俺も頑張ればできなくもなさそうだが、無理する必要はないだろう。全く必要ない。
しかし母さんは毎日家に帰ってくる。しかも遅い時間に帰ってくる日はない。もちろんそれは嬉しいことだが、たまには遅い時間になってしまうからお風呂は銭湯ではいっておいてといわれたい。
だが、姉ちゃんの早い時間のトレーニング後なら別だ。うちでは母さんが常に一番風呂だ。母さんしかお湯を沸かせないこともあるが、それ以上に母さんが一番風呂好きだからだ。
姉ちゃんは修業後はいつもタオルで汗を拭くだけにしている。俺も修行はしているが、これまでは朝に瞑想するだけだったし、今も魔法の修業だけで、疲れはするが姉ちゃんのしている剣術のようにたくさん汗をかくわけではない。
姉ちゃんは一年前から剣術の修業を毎日している。父さんが師匠であるが、父さんは仕事があるので基本的には一人で素振りしていることが多い。まだ剣術の修業を始めたばかりだから、父さんと修業といっても素振りをはじめとした基礎ばかりである。それでも汗はたくさんかいている。
そこで俺は思いついたのだ。姉ちゃんはいつもタオルで汗を拭くだけだが、その時に一緒に銭湯に行けばいいと。
いつもはタオルで汗を拭くだけに済ませているが、例えばいつもより激しい動きをしたからタオルだけじゃ物足りないとか、泥などで汚れたとかなら、風呂に入る理由になる。それが母さんが出かけている時間帯ならなおよしだ。『水浴びだけだときれいになりきらないからだめだよ』とかいって、銭湯に一緒に行けばいい。
俺は魔法が使えるから、ちょっと戦おうとか言うのも大丈夫だ。木刀とはいえきられるのは少し怖いが、これも野望のため、もとい研究のためだ。多少の犠牲は必要だろう。いや、魔法の打ち合いという形にして疲れさせれば『湯船にちゃんとつからないと疲れが取れないよ』に持って行けるかもしれない。
姉ちゃんをいつも以上に疲れさせるのは心が痛むが、これは修業にもなるので姉ちゃんにはマイナスにならないはずだ。俺にとっても修行と女湯で一石二鳥になる。我ながら悪くない。
もしかしたらそんな回りくどい作戦とか立ててないで、女湯に入りたきゃ一人で銭湯に行ってきて入ってくればいいじゃないか、と思う人も出てくるかもしれない。
しかしよく考えてみてほしい。男の子が一人で銭湯にやってきて女湯に入っていくのだ。絶対におかしい。なぜ男湯に入らないのかといわれてしまうだろう。男の子が女湯に入れるのは、あくまで一人じゃ心細いから保護者と一緒に風呂に入りたいからなのだ。それなのに一人で銭湯に来て女湯に入るのだ。子供とはいえ怪しまれるだろう。
だから俺は姉ちゃんか母さんと一緒に銭湯に行くことが第一条件なのだ。これを果たさなければ無理だ。
早い時間だとお客さんも少ないだろうが、背に腹は代えられない。過ぎた欲は己の身を亡ぼすのだ。
俺はさっそく母さんに出かける用事がある聞きつけて、魔法の勉強を途中でやめた。そして素振り中の姉ちゃんに向かって声をかけた。
「ねえ姉ちゃん、今日は一緒に修業しない?」
「ウォルと一緒に修業?でもウォルはまだ剣を使えないでしょ」
「剣は使えないけど魔法は使えるよ」
「でもだめよ。ウォルがまだ実戦をできないのは体が攻撃に耐えられないからでもあるんだから」
なるほど。たしかにいくら防御魔法が使えたとしても、三歳の体に攻撃魔法や木刀の一撃を食らわせるのはまずいか。五歳ならいいのかと思わなくもないが、そんなことを言っていたらいつまでも実戦ができないから、五歳というラインにしたんだろう。
「わかったよ。じゃあこうしない?俺がゴーレムを作るからそれを姉ちゃんが倒せたら勝ち。俺はそれを魔法で妨害するってことで」
「なるほどね。逆に魔法かゴーレムでわたしを倒したらウォルの勝ちってことね」
「そういうこと。これならいいでしょ」
「確かにそれなら問題ないけど、ウォルにゴーレムが作れるの?」
姉ちゃんの疑問はもっともだ。ゴーレムを作れる魔法は土属性の上級魔法であり、ふつう三歳が使うには技術も魔力も足らない。
「確かに強いのは作れないけど、簡単なのだったら何とか作れるよ」
《クリエイトゴーレム》は上級魔法ではあるが、使うう人の力量によって大きく作用される魔法の一つだ。
魔法というのはどんなものでも術者の力量に作用されるが、《クリエイトゴーレム》は特にその傾向が強く、未熟なものが使えばまともに動かず、普通に使えばそこそこの戦力になり、かなり熟練した者が使えばそれこそCランクくらいの力を持つゴーレムも作れる。
俺は残念ながらまだかなり弱いゴーレムしか作れない。それこそ六歳の姉ちゃんにさえ負けそうなやつだ。
おそらく魔法を使って本気で戦えば姉ちゃんには勝てる。《クリエイトゴーレム》はなかなか魔力を使うので、本当は姉ちゃん相手だと使う意味はほとんどないし、完全に魔力の無駄使いだ。
しかしこうしないと戦えないし、いいハンデになるかもしれない。
「わかったわ。勝負しましょう」
「よし、行くよ。《クリエイトゴーレム》」
そう言って出てきたのは大人くらいの大きさのゴーレムだ。これはゴーレムの中でも小さいほうであり、普通はこれの倍の大きさのゴーレムが主流だ。
俺もその大きさのゴーレムを作れないことはないが、まだ魔法に関しても《クリエイトゴーレム》に関しても未熟なため、三メートル越えのゴーレムを作るには通常以上の魔力が必要になってしまう。
そんなことをすれば姉ちゃんに使える魔法がほとんどなくなってしまう。
これは銭湯に姉ちゃんと行くことだけが目的ではなく、魔法の練習も兼ねている。
俺が練習したい魔法は《クリエイトゴーレム》だけではないので、ゴーレムに対してばかり魔力を使うわけにはいかない。
「やっぱりまだ弱そうなゴーレムね」
「さすがにまだしょうがないよ」
「それもそうね。それじゃあいくわよ!」
そういって姉ちゃんはゴーレムに向ってきた。なかなかのスピードである。
姉ちゃんは修業を始めてもう一年が過ぎている。
姉ちゃんは魔法が得意ではないので、修業時間のほとんどは剣のけいこに使っている。しかし、いくら剣を使うといっても身体強化魔法や遠距離攻撃手段、剣や体に魔力を込めて威力を上げるなど、魔法や魔力を使えなくてはならない。
姉ちゃんは《ファイアーボール》や《ウォーターボール》など、属性魔法、その中でも特に放出系は苦手らしい。
だが姉ちゃんは身体強化魔法や、剣やナイフなどに魔力を宿らせて強烈な一撃を加える《スラッシュ》、他にも魔力を込めて斬撃を飛ばしたりと、無属性、とりわけ剣に関するものだけは大得意だった。おそらく天性の剣士なんだろう。
姉ちゃんはおそらく身体強化魔法を使っているのだろう。そうじゃなかったら、まさか六歳があの速度で迫ってこれるはずはない。
《ストーンバレット》
俺は向ってくる姉ちゃんに対して石の弾丸を複数撃ち込んだ。
しかし、それらはすべて姉ちゃんにかわされてしまう。
直線軌道は読まれやすいのか?それにしたってなぜよけられる。いくら体が小さいとはいえ運動能力は六歳児のはずだ。防ぐならわかるがまさかかわされるとは思わなかった。
姉ちゃんがゴーレムの近くまで来た。俺はとっさにゴーレムに対して強化魔法をかけた。
『キィン!』
ゴーレムが魔法で強化された体で姉ちゃんの一太刀を受けた。
姉ちゃんはゴーレム相手なので真剣を使っている。普段使えないので、せっかくだから使ってみたかったそうだ。
姉ちゃんの一太刀を受けたゴーレムだったが、魔法でとっさに強度を上げたおかげで破壊されることはなかった。
《アースウォール》
俺は土の壁を姉ちゃんとゴーレムの周りに作り出し、それで一人と一体を囲んだ。
そして結界で上に蓋をした。
《ヒーティング》
そして加熱魔法を使った。
今なかはかなりの高温になっている。さすがに百度とかにして姉ちゃんを殺すようなことはしないが、サウナよりはきついと思う。
ゴーレムと壁は土であり、熱を逃がさないように上に結界を張っている。
当然逃げようと思っても、周りの壁を壊すか上の結界を壊すかしなければならない。
壁や結界を壊そうとすればゴーレムが邪魔するし、肝心のゴーレムは強化されているせいで硬い。さらにこの暑さのせいでうまく思考できなくなっている。
えげつない作戦かもしれないが、ちゃんと大事ないように姉ちゃんの様子を上から確認してるし、降伏を呼び掛けている。
それにこれによって汗をかけば、必ず風呂に入りたくなる。負けても勝っても作戦は成功することになる。
「おーい姉ちゃん。負けを認めたら?」
「・・・・・」
姉ちゃんからの返事がない。まさか悪いことが起こったのか?さすがにこんなことで殺したくない。
「今解除します」
俺はそういうとすぐに魔法を解除して姉ちゃんのところに行った。なかはまだ暑かったので、《フリーズ》をかけながら近寄って行った。
《ヒーティング》は本来初級魔法だが、《クリエイトゴーレム》のように術者によって大きく効果が異なる魔法だ。
今回のは中級魔法くらいの威力にしてある。本当は初級魔法の《フリーズ》ではなく、《ブリザード》などのもっと効果の高い魔法を使えば簡単に温度が下がるが、急激に下げすぎるのもよくはないだろう。
俺は姉ちゃんに近づいて声をかけた。
「姉ちゃん大丈夫?」
「ウォル君、おねえちゃんつらいわ」
姉ちゃんはそういって俺に抱き着いてきた。
「姉ちゃん・・・汗臭いしべとべとする」
そうなのだ。姉ちゃんは先ほどまで大量に汗をかいていたのだ。現在は汗だくだ。姉ちゃんに抱き着かれるのは嬉しいが、さすがに今の姉ちゃんに抱き着かれるのは嫌だ。
「そんな!汗臭くないわよね」
「そんなに汗かいているのに汗臭くないわけないよ」
「がーん。おねえちゃんショックよ」
確かにいくら六歳とはいえ女の子に汗臭いやべとべとはいわないほうがよかったか。
「ごめん姉ちゃん」
「いいのよ。おねえちゃん許すわ!」
よかった許されたようだ。というか姉ちゃんかなり元気じゃないか?
「ねえ姉ちゃん、なんか元気じゃない?」
「はっ!しまった」
「あ!やっぱり演技だったのか」
「ちっ違うわ」
この姉、完全に演技だったな。だがこれはある意味チャンスかもしれない。
「そうだ姉ちゃん。いっしょに汗流しに銭湯行こうよ」
「わっわかったわ。早くいきましょう」
そう、今姉ちゃんの立場は弱い。早く話を変えるためにこちらの簡単な要求ならすぐに呑むのだ。
そうして俺はやっと念願の女湯に入ることができた。
結論から言おう、体はさすがに三歳児なので反応しなかったが、心のなかではかなり興奮した。
やはり母さんの裸に興奮しなかったのは肉親であったからなのであろう。
銭湯と戦闘をかけてみました。
まあ見てる人は少ないですが(´;ω;`)
出来れば評価などお待ちしてます。




