1-3:止まぬ雨
弱まる事の無い雨の中、青白い光が行く先を照らす。やがて見えたのはオレンジ色の光を灯す街灯と、それに続く高い石組の壁だった。馬車は速度を落とし、壁を右に逸れて行く。
意外と立派な街がありそうだ。
星南が壁を見上げていると、フェルナンが腕の力を強めた。お腹が苦しい。
「顔を上げるな。きょろきょろするな」
「すぐに検閲です。セナは笑顔で、堂々としていて下さい」
「は、はい」
もしかして不法入国?
それ以前に、戸籍すら無い。笑顔でって、笑って誤魔化せるのは日本人だけかと思っていたよ。
ならばと、やる気を出して背筋を伸ばしてみる。強制とは言え、乗った舟。失敗はこの身に降り掛かる。ここで見捨てられてしまったら、それこそきっと大変だ。
並ぶ街灯が増え、どんどん先が明るくなった。やがてアーチを描く堅牢な石門が見えてくる。周りには兵隊のような服装の門番が数名いて、長い棒を持っていた。
「え?」
思わず声がこぼれ出る。フェルナンに後頭部を小突かれるも、開いた口が塞がらない。
なんだ、あのモケモケは。
全員、頭に三角の耳を付けているのだ。まるで猫耳。しかも取り付け位置を失敗したような、側頭の微妙な場所に。唖然と凝視していると、ふさふさの太い尻尾まであった。服装はカッチリしてるのに、なんでそんなコスプレなのか。門番は怖くないですよと、アピール期間?
「止まれッ!」
厳しい声に、星南は慌てて表情を整えた。
「ご苦労様です。先程出ました金糸雀です。任務終了に伴い、帰還しました」
エルネスが、相変わらず優しげな声で対応している。ガタガタと足音を立て、数人が馬車を取り囲んだ。そのきびきびした動きに、動物コスの油断はない。
「カナリの方。お一人多いようですが…………」
「あぁ、そうでした」
エルネスはそう言いながら、星南の肩に手を置いた。少し顔を上げて、と囁かれるままに視線を上げる。たまたま近くに居た門番と、ばっちり視線が合わさった。
「っ!!」
その人が尻尾の毛を膨らませたので、星南もびっくりして目を見開いた。生えてるの?あの尻尾、リアルに生えてるの!?
「大丈夫ですよ。はぐれとは言え、まだ子ども。私がちゃんと、面倒をみますから」
一気に空気が張り詰めた。エルネスはそれを気にもせず、通っても、と声を掛けている。
「お、お通ししろッ!!」
門番の上擦った声に、ちょろいな、とフェルナンが耳元で言い捨てた。思わず振り向くと、乱暴に前を向かされる。
「いいか、じっとしていろ。きょろきょろすんな。何度も言わせると殴るぞ」
「…………ハイ」
星南は上げた顔を、力無く伏せた。私の顔が何なのか。蛇顔疑惑が深まっていく。あの驚き様は、普通にショックだった。
馬車はそのまま低速で大通りを奥へと進む。結構な降りなのに、この世界には傘が無いのか、ローブにフードの人ばかりだ。後は、似たような幌馬車と箱馬車。煉瓦と木造の街並みは、横浜のレトロな雰囲気に何処か似ていた。しかし、時折見かける人の頭には大きな耳。尻尾。
ハロウィンイベントの一環だと、嘘でも良いから言って欲しい。
フェルナンの耳は横に長く尖っているし、それが少し変わってはいたけれど…………異世界なんだし、という許容範囲だ。蛇人族の耳は丸いのだろうか。そもそも、あのにょろにょろした方の蛇に、耳があるのか。
「さぁセナ、此処からが正念場ですよ」
「え?」
目を瞬いて前を向くと、丁度大きな鉄柵の門を潜ったところだった。その先は街灯の数が少なく、暗い森が広がっている。
「この国で我々の組織は、討伐ギルドと呼ばれています。此処は、そのアングラード分団の根城です。いいですね。決してフードを脱がず、私の隣に居て下さい」
「はい…………」
ギルドって、冒険したりする人の集まりだっけ。彼らについて行くという事は、私もギルドの所属になるのだろうか。そう思った星南の前に、重厚な石煉瓦造りの建物が見えてくる。まるで砦か城と言った構えだ。
何か思ってたのと違う?
そんな疑問も問えないままに、止まった馬車から降ろされる。金糸雀の四人に囲まれて内部に足を踏み入れると、ひんやりした空気に包まれた。壁で揺らめく光は、本物の火だ。それが意外と明るく照らす。
「痛ッ!」
「何度言わせる気だ」
フェルナンが言うなり、殴ってきた。
「セナ、良い子にしていて下さいね?」
「そうっスよ、せっかく命拾いしたんだし」
エルネスにも注意され、ウスタージュの命拾いに沈黙する。ダヴィドが、生きたまま皮を剥がされたくは無いだろう、と脅しにしては強烈な一言を言って、星南はしおらしく項垂れた。明るい室内に、気持ちが浮ついたようだ。
私は現在、種族に性別、恐らく年齢。氏名と国籍に至るまで偽装の身。日本でだって、これだけやれば相当ヤバい人物だ。
大人しくなった星南の頭を、大きな手がぽん、と撫でていく。多分ダヴィドだろう。落とした視線の先には、田んぼに落ちたように汚れた通勤靴が見えた。本当に酷い格好をしている、と改めて思う。そして無力だ。
とぼとぼ廊下を進んで行くと、時折、話し声が聞こえてきた。それはやっぱり、日本語しにか聞こえなかった。
「メートル・オブリ、良い所に」
ざわめきのする部屋に入ってすぐ、ダヴィドが声を上げる。
その声に、何だいのそ格好は、と笑いを含んだ年配女性の掠れた声が答え、エルネスが後発隊で出ていまして、と付け足した。その女性は、はぁー、と呆れたような息を洩らした。
「先発はとっくに帰って来ているよ。新顔が道草なんて、イケナイねぇ?」
「この国にとっては、大きな道草でして。セナ、いらっしゃい」
エルネスに呼ばれ、数歩前に歩み出る。顔は上げない。
「何だい、この小汚い坊やは」
「はぐれ者ですよ」
「はぁ?このアングラード近辺で、はぐれ者なんて話は、聞いた事が無いよ」
「そうでしょうとも。だから、我々も時間が掛かってしまったんです」
「坊や、ちょっと顔をお上げ」
言われた星南は、僅かに目線を上げた。床まで裾のある濃紺のドレスに、細い腰と豊かな胸が見える。掠れた声からは想像できなかった、グラマラスなお方のようだ。
「へぇ?これは驚いたね」
「髪色が似ているでしょう?もしかすると、ウチの血縁かもしれませんし、帰国まで金糸雀に混ぜようかと思いまして」
エルネスがすかさず要件を口にすると、成程ね、と彼女も納得を示した。
「とは言ったって、此処は討伐ギルドさ?いくら何でも、小間使いなんかじゃぁ、置いとけないよ?」
「薬草師の才がある。暫くは見習いで育成するつもりだ」
ダヴィドが、例の職業名を話題に混ぜた。本当に薬草師にされるみたいだ。他人事のように聞くしかない星南の前で、エルネスとダヴィドの巧妙な掛け合いが続いている。その会話に、ある事無い事盛られているから、肩身は狭くなる一方だ。
「ふぅん?黒に連なる血は伊達じゃない、と言う訳かい。まぁいいさ好きにおし。くれぐれもその子を、一人で野放しにするんじゃないよ」
「了解だ」
ダヴィドが締めくくると、目の前の女性は床に屈んで、星南の顔を見上げてきた。豊満な胸が零れ落ちそうだ。それにドキッとして後退る。彼女はふふふと微笑んだ。綺麗な栗色の瞳に三角の耳。化粧が彩る顔は、年齢不詳の妖艶さ。華やかで肉感的。これが女性の基準ならば、自分が女に見えないのも無理はない。
主に肉付きの面で。悲しい。
「おやまぁ。酷い格好だけど、なかなか綺麗な顔をしているじゃないかい」
その言葉に目を見開くと、彼女はコロコロ笑い出した。
「知識者じゃないんだね。反応が素直で可愛い事」
「立って下さい、メートル・オブリ…………」
「何だいエルネス。ヤキモチかい?優秀な薬草師に育ったら、此処に置いてっても良いんだよ?こんなに小さいなら、他の奴らだって懐くかもしれないし」
「考えておきますが、ウチの庶子かは本国で調べませんと…………ほら、行きましょう」
背中を押された星南は、軽く会釈して彼女に背を向けた。ダヴィドがまだ話しているのか、ほほほ、と明るい声が聞こえてくる。
「フェルナン、先にセナを連れて行って下さい」
「了解…………ほら、さっさと歩け」
そう答えたフェルナンは、足早に先導を始めた。石造りの建物に、小走りの靴音が響く。浸水した革靴の中で、足がツルツル滑っているようだ。気を抜くと脱げてフェルナンの後頭部を直撃出来るかもしれない。
最高の不慮の事故!
ちっ、と舌打ちの音が聞こえ時には、急に止まった彼の背に激突していた。
「いちいち、どうして落ち着きが無いんだ。鴨の子みたいに盲目に付いて来んじゃねぇよ!」
そんな事言われても。
「あー、もう、やりにくいな!」
それは私も同感だ。うっかり溜息をつくと、フェルナンはお前な、と低い声で唸った。
「それだけ…………」
言い掛けたまま黙ってしまった彼に、怒鳴られるかと身構えていた星南は、首を徐々に伸ばした。どうしたんだろう。そう思って辺りを窺うと、廊下の突き当りに人通りが見える。怪我人なのか、複数の担架が運ばれていた。
「お前…………」
「まだこんなところに居たんですか?」
言いかけたフェルナンを、エルネスの声が遮った。
「…………の言葉はまさか」
何を話したのだろう。落とされた声がよく聞こえない。星南が目線を移した時には、メモを手にしたフェルナンが背を向けた所だった。もしかして、知り合いが運ばれていたのだろうか?
「さぁ、セナ。行きますよ」
「…………」
返事をしそうになった口を寸前で閉じ、首を縦に振り動かす。エルネスはそれを見て穏やかに笑ったが、フードを深く被っている星南には見えなかった。ゆっくり歩き出した彼の後に続く事しばし、等間隔に扉が並ぶ廊下に行き着いた。ホテルと言うには質素だけれど、灰色の壁に時折下がるタペストリー、揺れる明かりが何とも洒落て見える。
「今夜は、この部屋を使って下さい」
開かれた扉の先は真っ暗だ。エルネスは気にも止めずに中へと入って、振り向いた。
「ガス灯の使い方を知っていますか?」
ガス?
プロパンですか、エルピーですか?まさか、都市って事は無いだろう…………首を傾げているとエルネスは、都市管理のガス管が、とまさかの都市ガス説を肯定し始めた。換気が必須で夜間のみ使用出来るそれを、彼はレクチャー付で点けてくれる。
「それから…………」
差し出されたのは、高級チョコレートでも入っていそうな小箱だ。ピンク色の蓋には、赤い花が描かれている。
「…………?」
まず、この怒涛の流れからして、プレゼントという事は無いだろう。ぬか喜びはしたくない。星南が慎重にそれを受け取ると、小箱は空のように軽かった。
「念のためにね。使い方は分かりますか?」
「…………使い、方?」
そう言うからには、食べ物ではなさそうだ。ならば道具のたぐい?裁縫セットという事もあり得るか。ひとまず、中を見ないことには話が見えない。そう思った星南が箱を開けようとすると、顔に影が差した。エルネスが屈んできたのだ。
「生理用品です」
彼は僅かも変わらぬ微笑みを浮かべたまま、声を落とした。
「一応、使い方をメモして頂きましたが…………読めますか?」
「えっ!」
読めますか?
読める訳無いじゃん。じゃあ、その説明書をエルネスさんが読む訳?顔に熱が集まるのが分かった。あり得ない、読めなくても読みますとも。これの使い方を男性に教わるなんて、ムリだ。絶対無理に決まってる!
エルネスは真っ赤になって焦りだした星南に向けて、何故か笑みを深めてみせた。にこり、とフードから見える口元が弧を描く。
「文字は、読めるんですね?」
差し出される厚手の紙片には、走り書きのような曲線。おそらく文字だ。男性にこれの使い方を聞かれて、やけくそで書き散らした、という走り書き。分かるよ、その気持ち!私などまさに、使い方をレクチャーされかかっている。セクハラだ、こういうのをセクハラと言うんだ!小箱を持つ手に汗をかく。英語の筆記体すら読めない星南には、この抜き打ちテストはレベルが高過ぎた。頭には、逃げの一手しか浮かばない。紙片をエルネスの手から引き抜くと、背後の部屋へ後退る。
「…………まぁ良いでしょう。朝まで大人しくしていて下さいね。くれぐれも、部屋から出ないように」
「はいっ!!」
「良い返事です。“はい”とは、了解の意味もあるのですね」
「…………多分、そんな感じです?」
「…………はっきりしませんね」
エルネスのフードが溜息に揺れた。
「後で支給品を持って来ますから、まだ眠らないで下さい」
そう言い残して、彼はやっと背中を向ける。パタンと閉じられた扉。火が揺らめく室内で、くたりと床に崩れ落ちた。良かった、追及されなくて良かったぁーっ!!
「っていうかコレ…………」
そっと箱を開くと、案の定タンポンだった。慣れると快適というそれとは、苦いプール授業の思い出と共にタンスの奥に眠ったままだ。出来る事なら使いたくない。
「…………というか私、本当に男の子するのかな」
握り込んだ厚手の紙片に視線を移す。手透き和紙を思わせる歪な形と、荒い繊維。製紙技術は、あまり高くは無さそうだ。けれど、メモに使うくらいは安価なのだろう。紙片で荒れる文字を見て、ナプキンならまだしも、タンポンの使い方を書かされた女性の心情は推して知るべし、である。しかも聞いてきた男が、エルネスさんだ。イケメンと言うより、美形という言葉が似合う人に、こんな事を…………させたのは、私か。
「…………」
星南は、重い溜息をついて立ち上がった。衛生管理は自己責任。滅菌処理は大丈夫だろうか。過る不安を押し込めて、ピンクの小箱に蓋をする。それをメモと一緒に窓際のチェストに置いた星南は、未だ降りしきる雨の夜を見詰めた。窓ガラスには、何も見えない暗闇を背景に、水色のカッパを着た自分が映ってる。それが変にリアルで、フードの中に視界を埋めた。
成せばなる。何もしないで泣くのは、もうしないって決めたんだ。けれど何をして、何をしないのか分からない時は、どうしたら良いのだろう?
今、どれくらい時間が経ったのかさえ、分からないのに。
結局ぼんやりとしていた星南は、ノックの音に飛び上がる事となる。鍵を掛けたか思い出している間に、扉が開いた。
相変わらずフードを被ったままの、エルネスだった。彼は濡れカッパのままの星南に対して、銀の紋様が縁に描かれた深緑のローブに着替えていた。その長身を見上げると、色の薄い瞳が優しく微笑む。
「支給品と軽食です。服のサイズは、これが一番小さい物なので、大きくても我慢して下さいね」
「あ、ありがとうございます」
エルネスは片手にトランクケースを下げたまま、一歩を踏み出した。反射的に後退すると、そのまま室内に入っていてくる。その後ろに続いたのは、湯気の上がる木桶を持ったフェルナンだ。目さえ合わせない態度が、嫌々来た事を物語っていた。
「さて、セナ」
パタンと扉が閉まった。エルネスはぞんざいな手つきでフードを背に払い落とし、青とも緑とも言えない、見慣れぬ色の瞳を星南に向けた。サラリとした黒髪に一瞬見とれ、逃げ遅れた肩を掴まれる。
「貴女、何処を怪我しているんです?」
「えっ!?」
「…………それは、どういう意味でしょう?」
「私は、怪我なんて…………」
ドンと音を立てて、フェルナンが木桶を床に置いた。彼は盛大に眉間にシワを寄せたまま、背負った麻袋をベッドの方へ投げ捨てる。フェル、とエルネスが窘めたが、不機嫌オーラと共に鋭く睨まれた。
「もう、ほっとけよエルネスさん。これだけ揃えてやったんだ、後は自分でするだろう」
エルネスは無言で星南を見下ろした。正体不明の笑顔は、ガス灯の揺らめく光で一層不気味に見える。美人は怒ると怖いらしい。けれど、それ以外の表情も怖いのかもしれない。そもそも怪我なんてない。一体どこ情報か。
星南も無言で彼を見上げた。
艶のある黒い髪。惜し気もなく短く切られたそれが、顎のラインでサラリと揺れる。
「セナ、血の香りに敏感な種族が居ることは、知っていますね?」
条件反射でコクコク首を縦に振る。勿論知るよしも無いのだが。彼にイエス以外の返事をしてはいけない。そう直感が叫んだ。
「種族がバレたら、命は無いんだ。ソイツだって、ちゃんと気を付ける…………なぁ?」
フェルナンの視線は刺々しい。彼も綺麗な顔なのだけど、結構睨まれ慣れてきた。ほら、美人も三分で飽きると言うし。第一、年下男子の癇癪は妙に可愛く見えるもの。つい口角を上げた星南に、エルネスは怪しいですね、と声を落とした。
「本当に分かっているんでしょうか…………そうですね。ひとまず、服を脱ぎましょう」
言い切った彼の逆の手が、肩に乗る。両肩を掴まれる事になった星南は、漸く身の危険を覚えた。
「ななな、何をする気です!?」
「貴女から、複数の血臭がしますよ?何時までそれを、着ているつもりです?そんな事をしていても、もう何の意味もありません」
「えっ!?」
複数?血臭!?
――――逃げたガキが一人足りねぇ。
目の前が暗くなった。ガサついた男の声と、打ち付ける水の幻聴が聞こえるようだ。他にはいない。
あの子達だ。
「おいチビ、エルネスさんの手を煩わせるなよ」
「…………自分で、出来ます」
どこかで、血を浴た?しかも、一人じゃないなんて…………それはとてつもなく気持ちの悪い事だった。一瞬でトラウマと化した光景。あの辺りは一面、血の海だったのではないか。
「何時まで着ていたって、彼等は蘇ったりしません。セナ、こうなってしまっては、弔う事も出来ませんからね。貴女の着ている物は全て、証拠隠滅の為に焼却処分です」
「…………はい」
震える手でフードを脱ぐと、エルネスは肩に置いた手を放して、溜息と共に背を向けた。
「出立は早朝です。鍵を閉め、身支度をして休みなさい」
「はい」
何事も無かったようにフードを被り、彼はそのまま部屋から出て行った。鼻を鳴らしたフェルナンが後に続き、扉が軋みながら閉じていく。
「早く脱がなきゃ…………」
星南の頭の中では、止まぬ雨が、赤く赤く降っていた。
誤字報告ありがとうございました。