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積木遊戯2  作者: とにあ
ミキの見る世界
5/7

5 実は、


 すれ違いも密会もない。

 あくまで上司と部下でそれ以上になれないのが切ない。

「私はあなたが好きです。男女の好きで」

 そんなふうに視線を合わせて言えたらいいのに。

 一年という時の流れはきっとまだ短すぎる。

「相談をしてもらえるほどは信用されてないのかな」

 不意の言葉にあなたを見つめる。

 だって、ずっとあなたが好きですなんてあなたに相談できるはずがない。かなしげに視線をはずされて私は胸を締め付けられる。

「好きなんです」

 嫌われるのが、拒絶されるのがコワくてたまらないんです。そんなことになれば、きっと私は何もかもを放り出して逃げ出すでしょう。弱虫だから。

 少し、動揺したように覚悟を決めたようにあなたは表情を引き締める。

「よし。誰かな? それとも名前は秘密かな?」

 あなたの思い違いに私は涙が滲みそうやら、笑っちゃいそうやら。

 表情を決められない。

 それを見たあなたが慌ててる。

「やはり、相談しにくいか」

 困ったように後退ぎみの頭をかく。

 違うんです。あなたなんです。どこかで引っかかってるその言葉。

「しかし、ダメな男ぐらい忠告はだね」

「あなたです」

 ころりと零れ落ちた。

 沈黙が少し。

 どちらの息を飲んだ音だろう?

「しかしね、年齢が」

「あなたには奥様がいましたもの。諦めてるつもりだったんです」

 ああ。止まらない。

「それでも、やっぱり好きなんです。ごめんなさい」

「ミキ君からすればおじさんだろう?」

 年齢なんて! その私の感情に気がついたのか困った笑顔。

「ゆっくり考えていいかな?」

「前向きに?」

「ああ。前向きに」

「はい!」

 困った子だねと微笑まれる。

「みんなには内緒だね」

 あー、この半年で私があなたに惚れてるのはバレてます。

 その前はバレてないはずなんです。たぶん。


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