装備を購入
開いて頂きありがとうございます。
「じゃあいこっか。街を案内してあげる」
そう言って、アンナさんは俺の手を取って、宿屋を出る。
服屋、雑貨屋、本屋、食料品店、料理屋、武器屋、防具屋、魔法道具店。
生活をするのに不自由無く、そこそこ楽しめるような娯楽設備も含めてお店が一通り並んでいた。
「これくらいね」
「あっちの通りのピンクのお店は何なんですか?」
「シズクにも私にも関係無いお店だよ。案内する?」
ニュアンスそういうお店だと感じ取って、いいです、と断った。
後でチェックしておこう……。
「じゃあ、まずは必要な物を揃えないとね。」
そう言って、まずは服屋に入った。
「あ、これシズクに似合うよ」
そう言って、アンナさんは俺をきせかえ人形にして遊んだ。
試着室で色々な服を着ながら改めて思ったが、自分はかなりの美少女だった。
男だけどな……。
「シズクは全体的に細いね。それは羨ましいんだけど、胸がもう少しあれば選べる服が増えるのになー」
そう言いながら、胸があまり目立たないような服を選んで試着を勧めてくれた。
「脚が綺麗だから、下はスカートね!」
「ズボンでいいんですけど……」
「……脚が綺麗だから、下はスカートなんだけど?」
なんで分かってくれないの?というような疑問形。
「……はい、スカートでいいです」
そして、俺の方が折れた。
最終的に、アンナさんが気に入った少し短めのスカートとフリルのシャツ。
普段用に、とシンプルなワンピースを買ってもらった。
どっちも脚を出すようなデザインだった。
「少し短く無いですか?」
「冒険者は動きやすいように短いスカートの方がいいのよ。森に行くと引っ掛けちゃうかもしれないし危険だしね」
この格好で森に行くと虫にさされたりして大変そうだけど……。
まあ買ってもらえる物に文句は言わないけど。
店を出ると、アンナさんは俺を引っ張った。
「次は武器ね。あんまり高いのは買えないからね」
武器も買ってくれるんだ。やっぱりチョロい……。少高くてもおねだりすれば行けるかもしれない。
そう考えていると、武器屋の前でアンナさんが立ち止まった。
「そういえば、シズクって冒険者になりたいんだよね。シズクは武器で戦うの?それとも魔法が使えたりする?」
少し考えこんで答えた。
「……魔法ですかね?」
疑問形なのは、魔法なんて使い方が解らないからだ。
魔法と言ったのはパンツでチートを使った時に、魔法ですと言う事ができる。
時間制限もあるので、魔力が切れた、とでも言っておけばそこまで不自然ではないだろう。
「そうね、シズクは足運びとか見ても武器の扱いの経験無さそうだしね。戦うなら魔法かなって思ったよ」
魔法も使えませんけどね……。
「じゃあ、武器は杖だね。杖なら値段も手頃だし、私がシズクにプレゼントしてあげる」
そしてアンナさんに魔法道具店に連れていって貰った。
「いらっしゃい、アンナ。可愛い女の子連れてるじゃない」
魔法道具店のお姉さんが、アンナさんに親しげに話しかけてきた。
「お知り合いですか?」
「同級生。性格は悪いけど、腕はいいからね」
アンナさんが性格悪い、と言うと、店員さんは顔を顰めた。
「アンナは考える事を放棄したような脳筋だけど、馬鹿だから面倒を見てもらいなさい。悪い人じゃないからね」
仕返しのように言う店員さんの言葉にアンナさんが顔を引き攣らせる。
険悪な雰囲気に耐えかねて、よろしくおねがいしますと声をあげた。
「シズクの……この子の杖を選んで貰える?」
アンナさんがそう言うと、じゃあ魔力を測るわね、と水晶を通して店員さんが俺を覗きこむ。
「うーん、魔力がある事はあるけど、すっごく微量よ。アンナ、この子の武器を探してるなら魔法で戦うための杖より短剣でも使わせた方がいいんじゃない?」
店員さんは、顔を顰めて言った。
……まずい、ここで魔法が使えないと思われると、チートを使った時に言い訳ができなくなってしまう。
読んで頂き、ありがとうございました。