二つ目のチート
開いて頂きありがとうございました。
俺はゆっくり大型犬から目を逸らした。
「あの、アンナさん。そのマッドウルフって、アレだったりする?」
「アレ?」
ゆっくりとアンナは俺の指差す方に目を向けると……固まった。
「「……」」
身体はこっち側に向けたまま、顔だけマッドウルフの方に向けて。
アンナは固まっていた。パンツが少しずつ液体で滲んで来ていた。
この経験豊富な冒険者は、ただ水を飲み過ぎただけだと思いたい。
「アンナさん、違った?」
アンナの方へ近寄ると……倒れこんだ。気絶していた。
「ちょ、アンナさん!?俺は戦えねえぞ!?」
マッドウルフはアンナが気絶して警戒するまでもない、とでも言うように、前傾姿勢をやめ、少しずつこっちへにじり寄ってくる。
「グルルルル……」
餌を与えて逃げるか?
餌を食べている時に全力で逃げれば追ってこないかもしれない。
ダメだ……。同衾イベントが無くなってしまう。
こんな巨乳美少女を犬に食べさせるなんてとんでもない!!
しかし、今の俺は虚弱体質なうえにチートもない。
『十枚あれば毎日十回の奇跡が起こせるねっ』
カミカの言葉が唐突に頭に響く。
「二枚あれば、二回目の奇跡!」
俺はアンナのスカートの中に手を入れる。
べちゃり、とした感触があった。
マッドウルフの恐怖からか、水を飲み過ぎたからか。
湿っていた。というか、濡れていた。
スカートに水滴で滴る程度にはぐっしょりだった……。
俺はゆっくりと、紳士的にアンナのスカートの中を覗かないように引き下ろした奇跡の元を見て固まった。
なんて事だ……!
握りしめて効果が発動する事は知っている。
だが、今のまま握りしめる事はできない。温かい液体で濡れているのだから。
「濡れている所を握りしめて、体液が溢れるのはもったいないだろう?」
俺はニヒルにマッドウルフに笑いかけ……迷うこと無く、マスクのように顔に装着した。
「ギャウン!?」
マッドウルフがパンツを被った俺に怯えた。
むしろご褒美なお漏らし液が付いている下着、興奮しない訳がない!
スー、ハー。俺は深呼吸する。美少女のお漏らし液が鼻孔に入り、俺を覚醒させていく。
「これだ、これだ!フハハハ、この匂いだ!この脱がしたての暖かさ。そして、この肌から吸収されそうな体液……そして、冒険者という事からか、数日変えてなく据えたような匂い!これが美少女という筆でパンツというキャンバスに描いた芸術だ!全て、全てが俺を刺激する」
一瞬視界の片隅に文字情報が流れた。
『五分の間、全ての能力値が千倍になります』
怯えたマッドウルフが後ずさり、逃げようとした。
「逃がすと思うか?」
俺は近くにある石を拾って投石した。
虚弱体質の俺が投げる石など、時速十キロにも満たないかもしれない。
ただ、時速十キロの石を投げる能力は千倍となる。
気温も気圧も解らないので計算するつもりもないが、時速十キロの投石速度は、およそ十マッハ程度となり、マッドウルフに直撃する。
投石による破裂と、投石によるソニックブームを受けて花火のようにマッドウルフははじけ飛んだ。
パァン!
風船を叩き割ったような音が遅れてやってくる。
「フハハハ、チートを得た俺に勝てる物など居らぬわ!」
「……ひっへ、変態が!!わ、私のパンツを被って!!シズク、シズクはどこ!?」
目が覚めたらしいアンナと目があった。そして
「……ひぐっ、う、うーん……」
もう一度気絶した。
今度は受ける下着がないからか、水の柱がスカートの先へとこぼれ落ちるのが見えた。どうやらバレなかったようだ。
俺はアンナを抱えて人里が見える程度まで移動した。
そこでチートが切れたので、アンナのお腹を枕に、胸を揉みながら仮眠を取る事にした。
読んで頂きありがとうございました。
変態ですみません……。