第『2』の扉 前半戦
俺は、呆然と立ち尽くしていた。 此の新たなる『部屋』。 新たなる『不条理』。 足が、どんどん冷たくなってきた。 先程開けた扉から水が入ってくる。 決めた。 今は、此の『不条理』な状況について何も考えない。 只、此処から脱出する事だけを考えよう。 俺は、天井の『2』と記された扉を見た。 やはり、取っ手の部分に『鍵穴』がある。 『鍵』が必要なのだ。 其の『鍵』は、『1』と記されたドアを開けた時の『鍵』と同じだろう。 そして、其の『鍵』は・・・・・・。 俺は、両手を見た。 『鍵』は、握られていない。 そう言えば、先程の扉の『鍵穴』に『鍵』を挿したままだった。 水が、腰の辺りまで来た。 もうあまり時間が無いようだ。 「やってやる」 俺は、先程開けた扉を見た。 其の目には、迷い等一切無かった。 闘志。 其れしかなかった。 「うぉぉぉおおおおおおおおぉぉぉおおぉぉぉおおおぉおぉ」 俺は、叫ぶと、開け放たれた『1』の扉に向かって飛び込んだ。