第『1』の扉 後半戦
「此処は、何処なんだ?」 俺は、呟いた。 俺の名前は、植村良昌。ただの大学2年生。身長は、190センチと背は高い。坊主頭で、一重の鋭い目つき。整った顔立ちをしており、よく異性にモテる。そんな俺は、楽しい大学ライフを過ごしているのではなく、謎のコンクリートで作られた球体に閉じ込められている。 「何でなんだ?如何して・・・・・・」 閉じ込められているんだ? 俺は、人に恨む事なんかしていない。 こんな処に閉じ込められる意味がない。 「最悪だ」 というか。 「此処から如何やって出ればいいんだ?」 其の時、 プシュー。 という音と共に、足元が急に冷たくなった。 「?」 俺は、足元を見た。 「え・・・・・・」 足元にある直径1センチ程の穴から水が勢いよく水が飛び出していた。 「え……何何?」 「如何しよう。如何しようっ」 水は、止まりそうにない。 此のままだと、溺れて死ぬ。 1分後。 水は、球体の半分を占めていた。 「ブクブクブクッ。ヤバい溺れるっ」 俺は、パンツ以外全て脱いだ。 如何にか泳げるようになった。 「そうだ」 俺は、ある事を思い付いた。 「此のまま水が溜まれば、俺は上へ上へと泳げる。だから、扉の手が届くはず」 更に1分後。 「届いた」 水は、5分の4溜まった。 そして、俺の右手は、扉の取っ手を掴んでいた。 取っ手を握り、右に回すと、引いた。 「開かないっ」 次は、押してみた。 「何で?」 開かなかった。 俺は、取っ手に『鍵穴』が有るのに気付いた。 其の時、俺は、『ある物』を思い出した。 「さっきの『鍵』・・・・・・此の扉を開ける為だったのか」 そう呟くと、俺は、『鍵』を探す為に水中に潜り込んだ。 何処だっ。何処だっ? 「あった」 俺は、元いた場所に『鍵』を見付けると、其処に向かって泳いだ。 『鍵』を左手に取ると、上へ上へと泳いだ。 其の時、 「ボコボコッ」 俺の息が持たなくなった。 「く・・・・・・苦しい」 俺は、沈んでいった。 然し、 「俺には、未だ遣り残した事が沢山有る。こんな処で死んでられっかぁ」 俺は、気合を入れると、泳ぎを再開した。 「うおおぉぉぉおぉぉおおぉ」 俺の右手が再び扉の取っ手に届いた。 そして、左手で、取っ手の『鍵穴』に『鍵』を入れ、右に回し、取っ手は左に回し、引いた。 ガチャ。 「開いた」 「此れで助かるっ」 俺は、扉の向こう側へ泳いで行った。 「ん?」 俺は、辺りを見回した。 「こ……此処は、何処だ?」 其処は、縦横高さ3メートル程のコンクリートで出来た正方形の部屋だった。 「何なんだよ」 天井には、明るい光を放った裸電球が1つぶら下がっていた。其れと、『2』と記された、鍵が必要な扉が1つ。 「さっきの鍵か・・・・・・?」 そして、先程開けた扉から水が・・・・・・。 「如何いう事だよ・・・・・・」 俺の声が正方形の部屋に虚しく響き渡った・・・・・・。