第『1』の扉 前半戦
其処には、1人の男性が眠っていた。 「う・・・・・・ん」 男性は、目を覚ました。 「此処は・・・・・・?」 男性は、辺りを見回した。 「何だっ」 男性は、突然叫んだ。 男性は、コンクリートで作られた直径3メートル球体の中にいた。 天井には、明るく光った裸電球が1つぶら下がっていた。其の御蔭で、部屋は、明るかった。更に、球体の形に合わせて、丸みを帯びた『1』とデカデカと記された長方形の扉があった。足元には、直径1センチ程の穴が1つあった。穴の底は、暗くてよく見えなかった。 男性は、自分の体を見た。 白いシャツ1枚を着、ジーパンを穿いていた。足には、靴下と靴を履いていた。 「大学に行った時と、同じ格好だ」 男性は、呟いた。 「くそっ。訳が分からんっ」 男性は、天井にある扉を見ると、「うおおおぉぉぉぉおおぉぉおぉぉ」と叫び、滑らかな壁を天井に向かって走った。 「うあああぁぁぁぁぁああああぁぁぁああぁぁあぁあぁ」男性は、滑って、元いた場所に戻った。「畜生、畜生っ」 其の時、ジーパンの左ポケットに違和感を感じた。 「何だ?」 男性は、左手を左ポケットに突っ込んだ。 「?」 男性は、突っ込んでいた手をポケットから出した。 「何に使うんだ?」 其の手には、『鍵』が握られていた。 「くそっ」 突然、男性は、『鍵』を下に投げた。 「くそっ。こんなの何に使うんだよっ」 男性は、叫んだ。 「此処から出せっ」