8全ての始まり
8 全ての始まり
体育際当日の朝も忙しい。
まだ朝の7時30分前だというのに係生徒は登校し準備をしている。
「いいんちょー。私達なにすればいいの?」
可愛らしい半分だけのツーインテール。両はじに少し多目に髪を出している淋。いかにめ眠そうで少し機嫌が悪い。
「今んとこやることないわ」
「じゃ!帰ります」
Uターンし校門へと向かおうとする淋。
「いや。それはなし」
大蔵は淋の手を引き校門から遠ざかる。
他の係生徒は慌ただしく準備を進めていた。
莉磨はずっと前から悩んでいた。この事をいうかどうかを。
ディセントだからと嫌わないんだ。言っても平気なのかもしれない。
そうかんがえる莉磨。
隊舎の窓から入ってきた気持ちのいい風に吹かれ心を決める。
全部いってしまおうと。
「おかしいなぁ。初めはこんなんじゃなかったのに」
前なら迷わなかっただろう。悩むことなく簡単に決められただろう。いつからか悩み迷うようになっていつからか笑うようにもなった。何が起こり何が変わったのか何が違うのか莉磨自身にもわからなくて思い浮かばなくて考えるのをやめてしまう。
「人形を生き物へと変化させるには自分自身に心がいる。………たしか誰かがいってたなぁ」
いつのまにかとなりに捺輝がいて昔、誰かが言った言葉を口にしていた。
「矢野さんには何かがそなわっているのかもね」
その何かはわからなくてまた、考えるのをやめた。
「!」
莉磨が何かに反応した。
「?」
「少し……嫌なことが起きるかもね」
莉磨はやはり冷静だった。これだけはまだかわらない。
「矢野さんより先に行くの?」
「うん。この時間ならぎりぎり間に合う」
窓とカーテンをしめ部屋をでた。