75 再戦Ⅲ
75 再戦Ⅲ
深夜0時を少し過ぎたころ。なれつつあった巡回中に妖気の異常な上昇を感じとる。
「あそこに人払いは無理がある。……球場のグランドにでも誘導しよう」
恭悟の意見に頷きまずは莉磨達へと連絡を入れる憲。恭悟は妖気を放出するそれに急接近する。その後少し離れては近付きを繰り返し誘った。憲は先に球場に向かい準備を進める。すでにその場にいた刹那と淋により人払いはすんでおりうっすらと赤色の結界が見えていた。そっとグランドに入り敬士達と合流し、敵を待つ。
「くる…」
そっと大剣を構えた。
「あのメンバーではまだ不安ですね。向こうは歴代を用意してるでしょうから」
竜一はカタカタとキーボードを操作しながら二人に言う。
「一人はマズイ」
広大は立掛けた愛刀をちらりと見るもふっと感情を殺した声で告げた。莉磨が無表情にうなずく。
「広大か私、どちらかはここに残らなきゃいけない」
一切の感情が感じられない声で淡々と言った。
「俺が行く」
不意に扉があき日本刀を持った青年が鋭い目付きで莉磨を睨む。広大が反射的に警戒した。
「竹内陸斗…なんでここに…?」
「海斗は……」
広大の問いには答えずしかし他に発する言葉もない。莉磨が小さく鼻で笑った。
「弟助けて組織に復讐。そんな表情してる」
図星なのか、陸斗の表情が揺れ動く。
「うん……今のところ駒は揃ってるけれどポーンはいくらあっても困らない」
莉磨がうっすらと笑みを浮かべた。陸斗が目を細める。
「久しぶりに契約でもしようか。……私の手足になってもらおうかな。そのかわり、バックアップは大きいの」
冷徹な笑みに陸斗は頷いた。
一条はゆっくりと地面におりたつ。警戒の色が強まり戦闘体制に入った。
「今晩は、海王くんか……。この前はどうも。東野はバラバラすぎて再生できなかったよ」
ひどくどうでもよさそうな憲の表情に一条は苛立ちを見せる。
「二対一での戦闘を主としろ!お互いにカバーしあえる位置での戦闘を心がけるように」
侑士の指示と同時に散らばり攻撃体制をつくった。一瞬の沈黙で戦闘は始まりを告げ、侑士が引き下がる。
「逃げるのか?水蓮ユウシ」
「真名を呼ばんといてや。男に真名呼ばれはっても嬉しゅうないわ」
冷徹な笑みを浮かべ侑士は一条の横を通りすぎた。