7 日常
7 日常
一時間目から四時間目まで体育際に向けて女子は創作ダンスをする。赤、青、白、黄、緑、紫の6色のブロックにわかれ、ダンスを創る。ちなみに男子は外で毎年恒例の組み体操。
「女子きいてる?」
話そっちのけに校庭に釘付けになっている女子達に体育科担任は怒鳴った。
「ちぇっ」
だいたいの女子は仕方なく体育科担任の話をきこうとする。もうすぐ体育際なんだなぁと淋は思う。
結局、あまり授業には集中していなかった。
時刻は午後3時。
風が吹き荒れる。強く吹き付け髪型が崩れそうだ。
「……隼斗が……」
莉磨は髪を抑え空をみあげる。
「なにかあった?」
篤史は手をポケットに突っ込み眠そうにあくびをした。
「かもしれない。もしくはただ機嫌が悪いだけか……」
樋内隼斗。高い身体能力を持つ一族の長男で風を操る。莉磨とは契約で繋がっていて本来、誰かに従うような性格じゃない。
「彼に機嫌がいい日なんてあるの?」
篤史はいつものことじゃんと言いたげな顔だった。
放課後は委員会の仕事がある。淋は放送委員で記録担当。アナウンスも掛け持ちでやっている。
「高橋先輩はホントに彼女命ですよね」
「亮平、マジかよ」
同じ放送委員の先輩、金子と高橋と恋愛話で盛り上がる。
「彼女が死ねというなら死ねるでしたっけ」
「危機的状況ならわかるけどなぁ」
金子と一緒に高橋をからかい楽しそうに笑う淋。
「なんだよ。ふつうだろ?」
高橋もまた、楽しそうに笑う。
「放送委員あつまって!」
よばれ、しかたなく集まる。
「本部席からこぉんなかんじに穴掘って」
放送委員長の大蔵がスコップで本部テントから校舎へと半円をえがいた。
「先輩!ジャージが汚れます!」
淋は笑顔で大蔵にいう。いつものこと。
「少しでもいいからやれ」
そういわれ仕方なく穴を掘る。
「あっごめん」
わざとらしく砂を飛ばす金子。
「先輩ヒドッ!靴に砂がはいったぁ」
掘るのをやめ靴の中に入った砂をだす淋。
「もぉ」
金子に砂をかけかえす。
「わっ、やめろ。こっちに被害が……」
金子にかけた砂はちかくにいた高橋にもかかる。
「なにやってんだよお前ら」
大蔵にいわれ渋々堀始める三人。
「なにやってんの?」
黄色ブロック団長である放送委員の近藤に声をかけられ振り向く大蔵。
「穴堀り」
「俺もやるよ」
スコップを探す近藤に淋はすぐ自分の使っていたスコップを渡す。
「どうぞ」
「お前は駄目だろ」
大蔵は近藤よりさきに反応しスコップを渡させなかった。
「えぇぇ」
「えぇぇ、じゃない。お前はやれ!」
大蔵は地面を指差し眉間にしわを寄せる。
黒い眼鏡がよく似合う大蔵を淋はじとっと見つめた。
家に帰って携帯電話を見ればメールが一通届いていた。
樋内隼斗からだ。
「任務に戻れ……か」
元々、東にきたのは任務のためだ。任務など忘れていた。
「隼斗ってさ……」
冷静でまわりをよくみている隼斗。
任務を忘れたかった淋にはっきりと思い出させた。