70 真実と戦
70 真実と戦
憲はもう一度、地面すれすれから同じように攻撃を仕掛ける。さっきと違うのは単純な移動スピードと体重移動のはやさ。素早く振り上げる。
「チクショウ…」
東野の表情に焦るが見え始め狙いを定めて大剣をふりおろすも空振りし大剣を持っていた右腕が斬り刻まれた。次に左足、右足、左腕の順に細かく斬り刻まれ、残った胴が地面に落ちるその前に見下ろす憲により全てが再度細かく斬り刻まれた。
その場所は日付が変わると共に静かさをまし重苦しい二人の雰囲気をより引き立てた。
「これは俺も信じたくないな」
最後の五ページを読み篤史の表情は険しくなる。
「ごめんなって……最後の最後に直筆で書かれてるから発案者か計画指揮者か……」
莉磨は瞳を閉じゆっくり自分を落ち着けつつも考えられると言う。
「俺が実行した」
莉磨はしりすぎている声に驚き困惑した表情を見せた。篤史もまた予想外の人物に微かな驚きを見せ莉磨の隣に座る男を強い眼差しで見つめた。
静まり始めた店を四人は出る。空は暗く星が輝き風が冷たい。眠気が蓄積され気が緩み欠伸がでた。
「やぁ。あまりこんなことはしたく無いんだけど」
片手をあげ片手をポケットにいれいつからか目の前に立ち笑顔を向ける男。
「隊長!」
慎吾は目を見張った。刹那は震える携帯電話を放置し平山と久保の前に立ちいつでも始められるように微かに言魂を唱え始める。
「何故…」
慎吾も守りに入るような戦闘体勢に入った。
「そんな警戒しないでよ」
ナイフが四本、投げつけられる。
「結!」
刹那は不意にくる攻撃に反応し平山と久保を呪術でつつみこむ。二本のナイフが結界にむかい他はそれぞれ二人を襲う。各自それぞれよけ反撃に出ようと体勢をととのえたとき光が辺りを照らした。
微かながらに息が荒れ始め心拍数が上昇する。それはお互い様で、淋が展開した呪術陣は少しずつ乱れ渉は体験の構えが崩れてきていた。
「!」
不意に扉のあく音。微かな光が反射し陰としてつつみこまれている少女。
「桜井……ゆかり」
淋は皮肉のこもる声でフルネームを呼ぶ。渉に一瞬のすきができるのを見逃すことはなかった。