69 緊急の戦Ⅱ
69 緊急の次戦Ⅱ
細かく呪術陣を展開させ人間の視界からこの場所を消していく。夜中とはいえ油断は出来ず黙々と作業を行っていた。不意に携帯電話がなり珍しい人からのメールだったが気に止めずふと正面をみる。
「荒木……渉」
体育館の端にただ立つ渉をみつけ淋はもう一つの呪術陣を展開させた。微かにさしこむ光に渉が持つ大剣が光沢を強調させ淋に半歩引かせる。
「煉獄姫…」
渉はしみじみと淋の通り名を呼んだ。
「炎を多く使う煉獄の番人で……人形か」
渉は情報を確認するように言う。お互いに構え一呼吸おき、一歩を踏み出した。
微かな音楽と共にまだ人のいるごく普通のファミリーレストランで莉磨は篤史に茶色い大きめの封筒を手渡す。
「捺輝もよんだけど……先に」
篤史は無言でうけとりそっと中身を取り出す。束になった紙の表紙には『クリスマスの逆襲』とかかれている。篤史は無表情に読み進め最後の五ページで微かに表情を変えた。
「信じたくないな」
篤史はただ、呟いた。
荒削りだとわかっていても単純に剣を振るった。大きくはじきとばさせざざっと砂が舞う。憲は舌打ちをして姿勢を低く東野の足元へと滑り込む。大剣を振り上げ左足を切り落とす。バランスを崩した東野は素早く再生を開始し筋肉と血管が、肉がまだ見える未完成な足でバランスを取り戻す。爪先から皮に包まれていき東野から表情が消えた。
「五席か……」
皮肉のこもる声で呟いた。
そろそろ寝ようかとゆかりは携帯電話を片手にベットに入る。「特別」と書かれたファイルにメールが一通。
from 渉先輩 sb 無題 本文「危ないから学校には近付かないこと」
いつも通りの簡単な簡潔な文で、重要なことは書いてない。渉らしい文でゆかりは微笑ましくおもい、そっと制服にきがえた。
「ごめんね」
ルナは泣きやむまでただそばにいた竜一へと謝罪をのべる。竜一は首をふり「そんなことないよ」と返した。妙な空気が流れ始めるなか、携帯電話がなり響きメールを受信したことを告げる。
from 早川拓也 sb 仕事 本文「荒木渉逃走」
竜一と顔を見合い小さくうなずく。大急がしの夜勤が始まる。