55 企みⅢ
55 企みⅢ
なおりかけの特別訓練室の前にある正面門。そこから離れた場所にある試験室。そこで試験は行われていた。五日間にわけられている春夏入隊試験。一日目に第一筆記試験その後筆記授業。二日目に第二筆記試験その後実技授業。三日目に実技個人試験。四日目に筆記試験復習その後実技最終試験。五日目に結果発表となっている。今日はその四日目にあたり、筆記試験の復習をしているところだった。
「実際に使われるフォリンのタイプや強さの表しかたです。フォリンのタイプ、特徴などはAからIで表し強さは1から30で表す。例えば大きめの人型強いフォリンが東14地区に表れた場合は「東14、C-10」と言います。東14は出現地区でありCはタイプ、10は強さになります」
求番隊長・杉内優哉はホワイトボードに書きつつ説明した。
「さて、最終試験について説明します。試験室の近く、正面門から東西南北にある門にてサインをもらい本部棟にたどり着くこと。中間地点には邪魔者である現役ディセントのナンバーもちが待ち構える。それぞれがそれぞれの方法で頑張るように。無論、一人では無理だ。そこで一日目にひいたクジで二人組、三人組をつくり協力するように」
長い説明をおえホワイトボードに書かれた文字を全て消した。
捌、求番隊以外の各隊上位席官九名は戦闘準備をおえそれぞれの場所に立っていた。各隊の五席は参加せず零、壱、弍、陸、求の隊長ははそれぞれ東、西、北、南、本部棟にペン一本を持ち―非常に暇そうに―立っていた。正面門には肆番隊長が立っておりリタイアを受け付けていた。
―はて、今年は何人リタイアするやら……。
リフは考え思わず笑みが溢れた。
―軽く手合わせして人たち浴びるか合格ラインに達する何かを持っていれば通せ、ねぇ。首は落とさず出来るだけ傷付けないって広大には無理やな。
侑士は水色のサインペンをクルクルとまわし呆れたような何とも言えぬ表情で思う。
―何もおこらんとええねんけど。
侑士の願いは届かずこれから史上最悪の事がおこる。