48 冷徹な消しⅡ
48 冷徹な消しⅡ
夏輝は勢いよく上半身を起こした。Tシャツ一枚の上半身に痛みが走り血が滲む。潰されたのであろう左足に感覚があまりない。そのことにイラつきしたうちする。
「足の感覚がないのかしら?」
問われ初めてせまいベットの上に莉磨が座っていることに気付き酸素マスクを強引にはずす。
「……」
確信をつかれ何をかえせばいいか分からず無言になりベットから出ようと手に力を入れた。
篤史は薄く開いた唇を閉じる。意味不明の説明文を聞いたように平山は放心していた。
「それから…」
篤史はそんな平山を無視し続ける。おそらく莉磨すら気付かず行われ続けている、平山の監視について。ほぼ全員が終ったと勘違いしていたが違う。まだ、続いている。広大も莉磨も敬士も煉夜も知らない。もちろん、監視は博紀が行っているわけじゃない。
「俺には誰が監視をしているのかわからないですけど……」
篤史が黙れば更に空気は重くなる。
「そんなに悩まんでもええんや。こんな恐ろしいチカラなんやから監視いて当たり前や。それから、早見は少しマジメすぎや。義理の娘でも大事ならええとちゃう?あと、もう一個。なんでこないディセント集まるんやろな。楽しくてええけどさ、なんかズルでもしとるん?」
篤史から思わず笑みが溢れる。自分よりチームのズルに目がいくとは、と思う。ヒトとしてかなわないと思った。
広大はそっと体を起こす。痛みはない。莉磨一人かばう程度で意識を飛ばすなど腕がにぶったなと思い実感する。部屋に自分一人な事から治療したのがリフであると予測できた。
「痛みますか?」
不意に声をかけられ一瞬驚き目線をあげる。
「いや。それで莉磨はなんか言ってたか?」
「まだ、その時ではない。次のステップまで現状維持……でしょうね」
リフの微笑みに対し広大は浮かない表情をする。
「広大さんにも情というものはあったのですね。その様な表情を見せるとは思いませんでした」
リフがなんとも言えぬ表情で言った。
「うっせ!だから嫌だったんだよ。訓練受けてねぇのに」
広大は眉間にしわをよせてリフと目があわないように逆方向を向いた。